農業・園芸・家庭菜園専門用語辞典

初めて農業に触れる方、新規就農の方や、園芸始めたての方、わからない漢字の読み方やよく聞くけど意味がちょっとわかりにくい用語などたくさん出てきますよね!

そこで、そんな悩みを解決するためにたくさんの農業・園芸用語をわかりやすくまとめてみました。

ぜひこちらを熟読してよりよい知識を増やせるように役立てていただけると幸いです。

農業・園芸専門用語一覧

あいうえお順

あ行

アーチ仕立て(アーチしたて)

アーチ仕立ては、果樹やつる性植物の栽培方法の一つで、アーチ状に支柱を設置し、

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その上に横枝を張り出すように伸ばして育てる方法です。

アーチ仕立てにすることで、横に広がるように育つつるや枝を上に向かせ、実をつけやすくすることができます。

果樹では、アーチ仕立てにすることで、枝が地面に接触することを避け、風通しを良くし、病害虫の発生を抑えることができます。

また、アーチ仕立ては、樹形が美しく、庭や農園の景観にも適しています。

代表的な果樹でアーチ仕立てにされるのは、ブドウやキウイフルーツなどです。

アーチ仕立ては、地面に植える前に支柱を立て、横枝を張り出すように誘引することで実現します。

若木のうちに行うことが望ましいため、定植前にアーチ仕立てにすることが多いで

ISTA(アイエスティーエー)

ISTAとは、国際種子検査協会(International Seed Testing Association)の略称です。ISTAは、種子の品質検査や認証に関する国際標準を策定し、種子の取引における信頼性を確保することを目的としています。

ISTAは、約70の国と地域から構成される国際的な組織であり、検査技術や認証方法の開発や、種子検査員の育成などを行っています。また、種子の品質検査に関する情報の交換や、品質検査に関する技術的な相談窓口としての役割も担っています。

ISTAは、種子取引における国際的な規則の策定にも関わっており、取引に際して必要とされる種子の品質についての規定を定めています。これにより、種子の品質に関する情報の共有が促進され、世界中の取引における信頼性が高まることになります。

青枯病(あおがれびょう)

青枯病とは、果樹や野菜の病気の一つで、青い菌糸が感染した部位から伸び、枯死した部分を形成する病気です。主に果樹の枝や幹、根、野菜の根などに感染し、病気の進行によって、植物全体が枯死することもあります。

青枯病は、枝や根の傷、剪定などによって侵入し、環境条件が適していると、菌糸が発芽して感染を広げます。高温多湿の気候や過湿な土壌環境が好条件となり、特に夏季に多発する傾向があります。

青枯病の予防には、植物の傷をつけないように注意することや、植物の密度を調整して通気性を良くすること、土壌の水はけを良くすること、また、感染した部分は速やかに除去することが重要です。また、病気に感染した場合は、適切な農薬の使用や、感染の拡大を防ぐための隔離などの対策が必要となります。

赤玉土(あかだまつち)

日本国内で見られる、土の一種である土壌です。主に、日本の太平洋側や、九州地方などで広く見られます。赤玉土は、風化した火山灰や凝灰岩、砂岩、頁岩などの火山岩類から形成されており、通気性が高く、保水性にも優れています。

赤玉土は、鉄分が多く含まれているため、鉄分に富んだ鮮やかな赤色をしています。また、赤玉土は、独特のにおいを持っていることがあります。

赤玉土は、主に農業用の土壌として利用されます。その特性を生かして、野菜や果物などの栽培に適しています。ただし、鉄分が多いため、土壌の酸性度が高く、特定の植物には適さない場合もあります。土壌のpH調整や、肥料の使用などを行い、栽培に適した環境を整えることが必要となります。

アザミウマ

アザミウマは、日本を含む世界各地に分布する昆虫の一種で、草食性の害虫として知られています。成虫は、体長が約5mmほどの黒褐色の昆虫で、羽があるため、跳躍力が非常に強く、跳ね上がるように移動します。

アザミウマは、特に米や野菜、果樹類などの農作物に被害を与え、一度被害を受けた農作物は、再生が困難なほどの深刻な被害を受けることがあります。アザミウマは、春から秋にかけて活動し、温暖な環境下でよく繁殖します。特に、梅雨の時期や、高温多湿な時期に被害が多くなる傾向があります。

アザミウマの駆除方法としては、天敵となる寄生バチの導入や、農薬の散布が一般的です。また、アザミウマが嫌う香草やハーブを植え付けることで、天敵の生息環境を整えることも効果的です。定期的な農薬散布や、予防的な対策が必要です。

穴肥(あなごえ)

穴肥え(あなごえ)は、果樹などの木本植物の根元に穴を掘り、そこに肥料を投入する栄養補給の方法です。穴肥えは、植物の成長に必要な栄養分を根元から補給することができ、効率的に肥料を利用することができます。また、肥料が周囲に広がることがないため、無駄な肥料の使用を防ぐことができます。

穴肥えに使用する肥料には、有機肥料や化成肥料があります。有機肥料は、動植物の排泄物や残渣などの天然物質で、長期的に栄養を補給することができます。一方、化成肥料は、窒素・リン・カリウムなどの栄養素をバランスよく含んでおり、速効性があるため、短期的に効果が現れます。

穴肥えの方法は、果樹や木本植物の根元に直径約20〜30cm、深さ約30〜50cmの穴を掘り、有機肥料や化成肥料を適量投入します。その後、穴を埋め戻して、肥料を根元付近に集めます。穴肥えは、成長期に適期に行うことで、植物の成長を促進し、収穫量の増加につながります。

亜熱帯(あねったい)

亜熱帯(あねったい)は、地球上の緯度の低い地域で、熱帯に次いで温暖で湿潤な気候を持つ地域のことを指します。一般的に、日本列島の南部地域や、アメリカのハワイ諸島、オーストラリアのクイーンズランド州などが亜熱帯地域とされています。

亜熱帯地域は、高温多湿で年間降水量が多く、植物の生育に適した環境です。多様な植生が生息しており、亜熱帯植物や果物が豊富に生産されています。例えば、日本の沖縄県では、パイナップルやマンゴー、シークワーサーなどの熱帯果物が盛んに栽培されています。

一方で、亜熱帯地域は台風やハリケーンなどの自然災害が多く、土砂災害や洪水なども発生しやすい地域でもあります。また、高温多湿な気候は熱帯性の病気や害虫の発生を促すため、農業生産にはさまざまな課題があります。

野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、沖縄県全域を含む南西諸島および伊豆諸島の一部、小笠原諸島を指す。年の平均気温が18℃以上の地域である。

油粕(あぶらかす)

油粕(あぶらかす)とは、植物油を絞った後に残る固形物のことです。一般的には、大豆や菜種、ごま、えごまなどの油を絞った際にできる残渣を指します。

油粕には、植物油に含まれる脂肪酸やタンパク質、食物繊維などが豊富に含まれており、飼料や肥料、化粧品原料などとして幅広く利用されています。

飼料用の油粕は、主に家畜の飼料に利用され、栄養価が高く、蛋白質、エネルギー源として重要な役割を果たしています。また、化粧品原料としては、保湿効果があるため、スキンケア製品などに配合されることがあります。

油粕はまた、肥料としても利用されています。油粕には窒素、リン、カリウムなどの栄養素が含まれており、これらが土壌に与える影響は植物の生育に大きく影響します。したがって、農地に油粕を施すことで、土壌の栄養素を補給することができ、作物の収量や品質を向上させることができます。

アブラムシ

アブラムシは、世界中に広く分布する、小型の昆虫で、多くの種類が存在します。植物の新芽や若葉、花などを好んで吸汁し、害虫として知られています。また、アブラムシは、植物の病原菌の伝播を促進することがあり、農作物の被害を引き起こすことがあります。

アブラムシは、温暖な気候や湿度の高い環境でよく繁殖します。また、天敵がいない場所では、短期間で大量発生することがあります。アブラムシが吸汁すると、植物の成長が妨げられ、枯死してしまうこともあります。

アブラムシの駆除方法としては、天敵となる寄生バチや捕食性の昆虫を導入することや、農薬の散布が一般的です。また、アブラムシが好む植物に、天敵の生息環境を整えるためのハーブを植え付けることも効果的です。アブラムシの早期発見・駆除が重要であり、定期的な農薬散布や、予防的な対策が必要です。

雨除け栽培(あまよけさいばい)

雨除け栽培は、野菜や果物などの作物を、雨や風によるダメージを軽減するために行われる栽培方法です。雨除け栽培では、ビニールシートなどのカバーをかけることで、雨や直射日光を遮り、気温や湿度の調整を行います。

雨除け栽培は、特に夏季において、高温多湿の環境下で行われます。夏場には、高温と湿度が高く、土壌中の水分が蒸発しやすく、乾燥によるダメージが懸念されます。また、夏季は台風などの天候不順が起こりやすく、野菜や果物がダメージを受けることもあります。このような状況下で、雨除け栽培を行うことで、作物の生育を安定させることができます。

雨除け栽培には、シートを直接かける方法や、ハウスなどの構造物を利用する方法などがあります。また、シートの種類によっても効果が異なり、透明なものや、赤、青、緑などの色のものがあります。透明なシートは光を通しやすく、温度が上昇しやすいため、遮光性の高い色のシートを用いることで、温度管理も行います。

雨除け栽培は、植物の生育を安定させるだけでなく、収穫量の増加や品質の向上にもつながることがあります。ただし、カバーをかけることによって、通気性が低下するため、病害虫の発生に注意する必要があります。

荒木田土(あらきだつち)

日本の伝統的な土壌改良材料のひとつで、稲作地帯である日本で広く用いられてきました。荒木田土は、河川の砂礫、石灰、おがくず、米ぬか、牛糞などを混合して作られる土壌改良材料です。

荒木田土は、主に水田の栽培に使用されます。水田では、土壌中の栄養素が流出することが多いため、荒木田土を施すことで、栄養分を補充し、水田の収穫量を増やすことができます。また、荒木田土に含まれる石灰が、酸性の土壌を中和する効果もあります。

荒木田土は、水を含むと比較的重くなるため、耕うん作業や移植作業を行う前には、十分に乾燥させる必要があります。また、荒木田土を使用する場合は、栽培する植物に合わせた配合比率を選ぶことが重要です。適切な配合比率にすることで、栄養分のバランスを良くし、植物の生育を促進することができます。

現在では、化学肥料の普及により、荒木田土を使用する農家は減少していますが、有機農業などで復活することが期待されています。

アレロパシー

アレロパシーとは、植物が生産する化学物質によって、周囲の植物や微生物、動物などに対して影響を与える現象のことを指します。アレロパシーは、植物と周囲の生物との相互作用の一つであり、植物が生存競争に勝つために用いる防御機構のひとつとされています。

植物は、根や茎、葉などの部位から、様々な化学物質を分泌しています。これらの化学物質には、生育促進作用を持つものもあれば、抗菌・防虫作用を持つものや、他の植物の発芽や生育を抑制する作用を持つものもあります。例えば、クルミの葉や実に含まれるジカルボン酸は、他の植物の発芽や生育を抑制する働きがあります。同様に、マメ科植物の多くは、根粘菌と共生することで、窒素を固定することができる一方、その根から分泌されるイソフラボンが、周囲の植物の生育を妨げるという報告もあります。

アレロパシーは、農業生産においても重要な役割を果たしています。一方で、畑作や森林管理などで植物の配置を考慮せずに行うと、アレロパシーによる影響が懸念されることがあります。また、アレロパシーを利用して、有効な防除手段や除草剤として活用する研究も進められています。

この現象を利用したものの例として、コンパニオンプランツがある。

暗渠排水(あんきょはいすい)

暗渠排水(あんきょうはいすい)は、地下に埋設された排水管を用いて、雨水や汚水を排出する方法です。暗渠排水は、地表の排水路がない場所や、排水路を設置するスペースがない場所で用いられます。

暗渠排水のメリットとしては、排水路を地下に設置するため、景観を損なうことがないことや、道路や建物などを邪魔することがないことが挙げられます。また、排水路を地下に設置するため、地表面が平坦に保たれ、雨水による浸水被害を軽減することができます。

暗渠排水は、主に都市部や市街地などで用いられ、集中豪雨などによる浸水被害を軽減するためにも重要な役割を果たしています。一方で、暗渠排水管の定期的な点検や清掃が必要であり、排水管内に汚物やゴミがたまると、排水能力が低下することがあるため、注意が必要です。

最近では、都市部の再開発や緑化の取り組みにおいて、暗渠排水とともに、地下水の浸透促進や都市緑化を促すための緑地水管理システムが注目されています。緑地水管理システムは、雨水を貯めるための水ため池や、緑地帯を利用して、雨水を浸透させるための施設などを設置することで、都市の環境保全に役立っています。

アンモニア態窒素(アンモニアたいちっそ)

アンモニア態窒素とは、窒素の化合物の一つで、化学式はNH3と表されます。アンモニア態窒素は、自然界や産業活動によって生産され、農業においても肥料として広く使用されています。

自然界では、アンモニア態窒素は、有機物の分解や動物の排泄物などから生成されます。また、産業活動によっても、アンモニア態窒素が発生することがあります。例えば、化学肥料の製造や、工業プロセスにおいて、アンモニア態窒素が使用されることがあります。

農業においては、アンモニア態窒素は、肥料として使用されることが一般的です。アンモニア態窒素は、植物の成長に必要な栄養素であり、肥料として使用することで、収穫量の増加や品質の向上につながることがあります。ただし、肥料として過剰に使用すると、周囲の水質汚染や大気汚染などの環境問題を引き起こすことがあります。

アンモニア態窒素は、一般的に水に溶けやすいため、排水や雨水によって、周囲の水質に影響を与えることがあります。また、アンモニア態窒素は、大気中に放出されると、酸性雨やスモッグの原因物質となることがあります。これらの問題を軽減するためには、適切な肥料の使用量や、農地の管理方法に注意を払うことが必要です。

い行

EC値(イーシーち)

「EC値」とは、水や土壌などの溶液に含まれるイオンの導電度を測定した値を指します。ECは「Electrical Conductivity」の略で、電気伝導率を示す指標です。一般的には、水や土壌の塩分濃度の指標として使用され、塩分濃度が高いほどEC値が高くなります。

農業においては、EC値を測定することで、土壌や水の塩分濃度を算定し、作物の育成に応じた環境を作ることができます。が高いため、根の発育や水分の吸収に支障をきたす可能性があります。そのため、適切な施肥や灌水管理などによって、EC値を調整する必要があります。

また、EC値は、水耕栽培や肥料管理など、様々な分野で使用されています。

萎黄病(いおうびょう)

「萎黄病」とは、果樹や野菜などの植物が発病する病気の一つで、葉が黄色くなってしまい、生育が滞る症状が現れます。によって結局される場合が多いとされています。

しかし、土壌中に鉄が不足している場合、植物は鉄を吸収できず、葉が黄色くなる黄ばみの症状が現れます。

萎黄病を予防するためには、土壌中の鉄の不足を補うために、適切な施肥が必要です。また、土壌のpHを調整することで、鉄の吸収率を改善することができます。黄病の症状があらわれた場合は、適切な鉄肥料を与えることで改善することができます。

硫黄(イオウ)

「硫黄」とは、元素記号「S」で表される化学元素の一つで、自然界に存在する非金属元素です。硫黄は、工業生産や農業などの分野で幅広く使用されています。

農業においては、硫黄は農薬や肥料などの原材料として使用されます。硫黄は、植物に必要な栄養素の一つであり、葉緑素の合成にも分配しています。も使用され、黒星病や粉疽病などの病気の予防や治療に役立ちます。

硫黄は、有機栽培や温室栽培においても重要な役割を担っています。有機栽培においては、硫黄を使用した農薬が多く使用されており、化学合成された農薬に比べて環境に優しく、人体へのまた、温室では、硫黄を燃やして白色硫黄を発生させ、病気の予防や温度調整に使用されることがあります。

維管束(いかんそく)

維管束とは、植物の茎や葉などの内部に存在する、水や栄養素を運ぶ管状の組織です。維管束は、主に2種類の細胞から構成されています。

1つ目は、木部(もくぶ)と呼ばれる細胞で、これは主に水やミネラルなどを運ぶ役割を担っています。そのため、柔軟性があります。

2 つ目は、師部(しぶ)と呼ばれる細胞で、これは主に有機物質を運ぶ役割を担っています。

維管束は、植物の成長や栄養素の吸収、水分の移動などに重要な役割を担っています。また、茎や葉、果実などの植物の部位によって、維管束の配置や形態も異なるため、それぞれの植物の特徴や機能を表しています。

育種(いくしゅ)

育種とは、人工的に植物の遺伝的性質を改良することを指します。植物育種の目的は、様々なものがありますが、一般的には以下のものが挙げられます。

  1. 収量の向上や品質の向上:作物の生産性を高めたり、風味や栄養価などを向上させたりすることで、より良い品質の作物を生産することが目的となります。
  2. 病気や害虫に対する抵抗性の向上:病気や害虫に強い品種を認めること
育苗(いくびょう)

育苗とは、種や挿し木などから苗を育てる作業のことを指します。植物を育てるには、まず種や挿し木から苗を育てる必要があります。育苗作業には、種まきや挿し木、接ぎ木、株分けなどの方法があります。

育苗の目的は、以下のようなものがあります。

  1. 生育の促進:苗を作ることにより、根や茎、葉などの発育が促進され、植物の成長を早めることができます。
  2. 品質の向上:苗を作る際に、土壌、肥料、水分などを管理することによって、より健康的で強い苗を作ることができます。
移行型除草剤(いこうがたじょそうざい)

移行型除草剤とは、植物の葉や茎から吸収され、根や地下茎などの地下部分に移動して作用する除草剤のことを指します。移行型除草剤は、葉っぱから吸収された成分が、植物体内を移動して根や茎、地下茎などの地下部分にも到達し、そこで雑草を枯らすことができます。

移行型除草剤の主な成分には、グリホサートやイミダクロプリド、クロロフロンなどがあります。効果を発揮します。

移行型除草剤は、効果が高く、効率的に雑草を駆除することができるため、広大な農地や公共施設、脇などでの草刈りに広く使用されています。そうしないと、周囲の植物にも影響する場合があるため、注意が必要です。

石ナス

低温期の栽培では、受精が悪いため果実の中にタネができないまま着果することがある。多くの場合、肥大が悪く石のように硬い果実になる。これを防ぐためにはホルモン剤を利用する。

異常主茎(いじょうしゅけい)

トマトの茎が異常に太くなり、ひどい場合は茎の中央部に穴があき、生長点が退化する。このような状態を異常主茎という。原因は、(1)若苗を植えた時、(2)元肥や追肥の過多、(3)1~2段花房に着果しなかった時、などがあげられる。対策としては肥料を控え、追肥は1段花房が着果してピンポン玉大になってから施すこと。

移植(いしょく)

セルトレイで育苗した苗をポットへ植えるなど、植物をある場所から他の場所へ植え替える作業をいう。

移植機(定植機)(いしょくき・ていしょくき)

野菜の苗を移植(定植)する機械。移植機用苗の形態には、引き抜き苗と根鉢のついた苗があり、これらの苗を定植する移植機には半自動移植機と全自動移植機とがある。
半自動移植機:苗の供給は人力で行うが、それ以降の工程である開孔・植付・覆土・鎮圧作業は機械が自動的に行う方式。
全自動移植機:田植機のように苗を自動供給し、移植作業を全て機械でできる方式。乗用タイプで複条植えの高性能機械などが市販されている。

一代雑種(いちだいざっしゅ)

品種や系統の違ったAとBを両親とする雑種の一代を一代雑種という。交配種(こうはいしゅ)、またはF(エフワン)ともいわれる。

一日花(いちにちばな)

一つの花の寿命がおおよそ1日しかない花のこと。アサガオ、ハイビスカス、ヘメロカリスなど。

一年枝(いちねんし)

生じてから1年未満の枝。春の芽吹き以降に出た枝で、まだ次の春を迎えていない、最も若い枝のこと。

一年草(いちねんそう)

1年以内に開花して、その一生を終わる性質を一年性(いちねんせい)といい、このような性質の草花を一年草という。

一番花(いちばんか)

株のうちで、最初に開花する花のこと。

萎凋係数(いちょうけいすう)

土中の水分が減ると、植物は次第に萎れ、しまいには、もはやいくら水を与えても回復できなくなる。回復できなくなった時の水分の量を萎凋係数という。

萎凋病(いちょうびょう)

主に花き類やトマトを侵す、土壌伝染性病害。多くの場合、糸状菌であるフザリウム・オキシスポーラムが病原菌となる。花きの場合は下葉の枯れ、トマトの場合は下葉の黄化といった症状から始まり、いずれの場合もやがて枯死に至る。防除には抵抗性品種の利用や、土壌消毒が有効である。

一季咲き(いっきざき)

開花特性の一つで、1年に一回だけ花を咲かせること。

一歳植物(いっさいしょくぶつ)

一般の樹木は、発芽から開花・結実するまで数年を要する。ところが、ある樹種や品種では、基本種に比べて非常に早く、1~2年のうちに発芽から開花・結実するものがある。これらを園芸上「一歳植物」または「一歳もの」と呼んでいる。

一般平坦地(いっぱんへいたんち)

栽培地を分類するうえで、高冷地・冷涼地・暖地などを除く地域で、一般には関東以西の平坦地をさす。

遺伝・遺伝子(いでん・いでんし)

親から子・孫に体の形や色などの形質が伝わる現象を遺伝といい、伝える物質が遺伝子、その本体がDNAである。

遺伝子組換え(いでんしくみかえ)

遺伝子(DNA)を生物から生物に組み換えて、目的とする形質を発現させる手法。この手法を使って育成された品種の生態系への影響が懸念されている。

遺伝子(DNA)検査法(いでんしけんさほう)

種子がその品種特有の形質を正しく備えているかを調べる、純度検査などで用いられる手法。外見判断を行う栽培検査での判断が難しい、遺伝上のわずかな違いも見極めることができる。

いもち病(いもちびょう)

イネいもち病菌の寄生による病害。普通、葉に褐色・紡錘形の病斑ができ、中心部から白化し、次第に茎や穂に広がる。低温多湿の年に多発しやすい。

忌地(いやち)

同じ場所で同じ種類を続けて栽培すると収量がおちる。この現象を忌地、または連作障害(れんさくしょうがい)という。忌地の原因は、土中の肥料など各種栄養分のバランスが崩れる、またその一部がひどく少なくなる、栽培した作物の根から分泌した特殊な有害成分の影響、あるいは土中の微生物の具合やセンチュウの増加、塩積(えんせき)、土の性質の変化など、さまざまである。

イングリッシュローズ

オールドローズとモダンローズを交配して作り出された、全く新しいバラ。

陰樹・陽樹(いんじゅ・ようじゅ)

陰樹は日陰や半日陰でよく育つ樹木のこと。アオキ、カクレミノ、カエデ、ツバキなど。陽樹は日なたでよく育つ樹木で、ケヤキ、ハナミズキ、サクラ、ウメ、マツ、サツキ、ツツジなど。

う行

ウィーピング作り

垂れ下がるツルバラを接いで、傘のように仕立てる作り方。

ウイルス病

ウイルスは一種の病原体で、この病原体による病害は種類も多く、病害の現れ方も種々雑多である。アブラムシやコナジラミ、アザミウマなどの昆虫や接触、土壌中の微生物によって伝染し、被害株は早く抜き取り処分するとともに、耐病性品種の導入や、アブラムシ・コナジラミなどの媒介昆虫の駆除が大切である。代表的なウイルス病として、キュウリモザイクウイルス(CMV)やトマトモザイクウイルス(ToMV)がある。

ウイルスフリー

カーネーション・宿根カスミソウ・ユリ・イチゴ・サツマイモ・ジャガイモなど株分けや挿し木・接ぎ木・球根などで殖やす植物は、ウイルス病に一度侵されると病気を取り除けない。ところが生長点を培養するとウイルスに侵されていないウイルスフリー株が得られるため、これを増殖し、無病苗として生産販売している。

植え傷み(うえいたみ)

植え付け、植え替えをしたときに起こる障害で、一時、生育が止まったり葉が落ちたり、ひどいときには枯れることもある。主な原因は、植え替えのとき根が切られるなどして、水を十分に吸うことができないのに、葉からはどんどん水が蒸散して、体内の水分が不足するためである。植え傷みの比較的少ない時期が、植え付け、植え替えの適期といえる。

ウォータースペース

鉢植えの土の表面から鉢の上縁までの空間。潅水の際、水を土中に自然に浸み込ませるためにとる。

雨前散布(うぜんさんぷ)

天候を見定め、降雨の前に殺菌剤の散布を行う。これを雨前散布という。
病原菌が雨水を得て活動をはじめ、組織内に侵入してから散布しても、殺菌効果は極めて低い。したがって、雨前散布は病害防除の基本であるとされている。

内張りカーテン(うちばりカーテン)

温室やハウスで、夜間の冷え込みを少なくするため、ハウス内部にカーテン式にポリエチレンフィルムなどを張る。特に加温時の効果が高く、近年は二重張りが普及してきている。

内芽(うちめ)

何本もの枝からなる株の、内側(幹側)に向いている芽のこと。

うどんこ病

胞子で空気伝染する病害。葉の表面に白い粉が発生し、白い粉で全面が覆われてしまう。各種作物で発生。

畝(うね)

栽培のために、畑の土をベッド状に盛り上げたもの。地温調節や排水性の向上などの利点がある。

畝立て・畝幅(うねたて・うねはば)

畝立ては畑に作物を植えつけるため、間隔をおいて土を高く盛り上げる作業で、その間隔を畝幅といい、作物によって異なる。

畝寄せ栽培(うねよせさいばい)

スイカ・メロン・カボチャなど特に幅の広い畝を必要とする場合に行われる栽培である。これらの這作りは普通3~4mの広畝を必要とし、かつ浅根性なので、畝の土をよい状態に保ち、根を深く伸ばし、追肥を深く入れるなどのために、当初は1/3~1/2の狭畝としておき、蔓の伸びに応じて、2~3回にわたって追肥と土寄せを繰り返して所定の畝に仕上げる。これを畝寄せ栽培という。

裏作(うらさく)

主な耕作をし、その収穫後に次の作付けまでの期間を利用して他の作物を栽培すること。例えば水稲の後に麦を作る時、水稲を表作、麦を裏作という。

ウリハムシ(ウリバエ)

スイカ・キュウリなどの葉を食害する害虫で、橙色の羽をもつ。

上根(うわね)

一般的には地表に近い部分にある根のことをいうが、ユリなどの場合は球根の上にある茎から出る根のこと。生育のための養分を吸収する大切な根なので、球根は深めに植え付ける。

え行

エアレーション

芝生面に農業用フォークやレーキで穴を開けていく作業。主に春先に行う。芝生の根に新しい空気を補給して、力強く発芽させる目的で行う。スパイキング。

栄養生長(えいようせいちょう)

花や子房などの生殖器官に対し、葉や茎のことを栄養器官という。栄養器官のみを茂らせる生育のことを栄養生長という。(生埴生長・せいしょくせいちょう参照)

栄養繁殖(えいようはんしょく)

タネでの繁殖に対して、挿し木、接ぎ木、取り木、株分け、組織培養などで繁殖する方法をいう。

A.A.S.(エーエーエス)

オール・アメリカ・セレクションズ=北アメリカ大陸の家庭園芸の普及に向けて、1932年に設立。現在、世界で最も優れた新しい品種が集まる審査会として評価されている。A.A.S.受賞品種に与えられるエンブレムは、家庭園芸のシンボルマークとまで言われ、世界中の育種家あこがれの存在となっている。

APG分類(エーピージーぶんるい)

従来、植物はその形態を元に分類が行われてきたが(自然分類)、遺伝子解析を元にした新たな分類法をAPG(被子植物系統分類グループ)分類という。

腋果(えきか)

多肉果、湿果ともいい、多肉化した果皮が成熟後も水分を多くもっている果実。

腋芽(えきが)

茎の側方につく芽。側芽とも言うが、種子植物の場合、側方の芽は葉腋(ようえき)から出るので、特にこう呼ぶ。

液肥(えきひ)

普通の肥料は粉状または粒状であるが、液状の肥料を液肥あるいは液体肥料という。

疫病(えきびょう)

トマトやジャガイモに多く発生する病害で、病害の進み具合が速くて激しい。葉や茎、果実が黒くなって腐る。

エスレル

生長調節剤(せいちょうちょうせつざい)の一種で、花数の増加や熟期の促進に効果がある。エスレルは植物に吸収されるとエチレンに変わる。

枝抜き(えだぬき)

樹木の込み合った枝を切り取って整理し、日当たりや風通しをよくすること。「間引き剪定」ともいう。切る場合は、枝のつけ根ギリギリのところで切ること。そうしないと再び発芽してしまい、かえって枝が込み合うことになるおそれがある。

越冬野菜(えっとうやさい)

秋~冬の初めに栽培を開始し、冬を越して翌春以降に収穫をする野菜のこと。タマネギやソラマメなど、生育に寒さが必要な野菜が例として挙げられる。

越年草(えつねんそう)

秋ごろに発芽し、越冬して翌年の春~夏ごろに開花結実する草花。冬型1年草。

エディブルフラワー

食材として用いられる花のこと。

N - P - K(エヌ・ピー・ケー)

N=チッソ、P=リン酸、K=カリのことで、肥料袋にはこの3要素がどの程度含まれているか記されている。
例)N-P-K=8-8-8(肥料100g当たり、3要素が8gずつ含まれている)

FRP鉢(エフアールピーばち)

ガラス繊維などを含ませた繊維強化プラスチック(FRP)製の鉢。

F1(エフワン)

(>>>一代雑種

塩化加里(えんかかり)

加里肥料の一種で、加里成分は60%。記号はKCL。副成分の塩素が、土中の石灰と化合して石灰を流失させ、土を酸性にする欠点がある。しかし硫酸加里より安価なので、かなりよく使用されている。タバコ・デンプン作物には適さないが、繊維作物に適する。

園芸植物(えんげいしょくぶつ)

人が栽培する植物のうち、園芸に利用されるもので、観賞植物、果樹、野菜をいう。大多数が品種改良されたものである。

園芸療法(えんげいりょうほう)

運動能力や精神状態など、心身の健康状態を改善するために園芸活動を取り入れた治療法。ホーティセラピーとも呼ばれる。

円錐花序(えんすいかじょ)

植物全体の外観が円錐形になる花序。

塩積・塩類濃度障害(えんせき・えんるいのうどしょうがい)

化学肥料は各種の無機塩類を伴っている。施肥に伴う土中のこれら塩類は、土壌溶液の濃度を高め、その結果として根の養分吸収を妨げ、さらには根を損傷する。また同時に、土壌の酸性化を進め、地上へは生育に有害な酸性ガスを排出する。
施設栽培の場合、土中の塩類は降雨による流亡もなく、換気も室外のように十分でないため、作物は地下部地上部ともに障害をうけるので、塩積とか塩類濃度障害と称して、特に重視されている。対策には多肥、特に酸性肥料の施用を避けること、石灰の合理的施用、換気、土の過湿・過乾に留意することが大切である。

お行

オーキシン

植物ホルモンの一つ。植物の体内において組織や器官、細胞の分化に作用し、茎の伸長などを促す。

オールドローズ

現代のバラが普及する以前の半つる性や半野生のバラ。

置き肥(おきごえ)

鉢植えなどに、練り肥や固形肥料を置く施肥方法のこと。土に混ぜたり、鉢の縁に置いておくと、水やりのたびに溶けてゆっくり効く。

晩生(おくて)

作物の熟期のうち、通常よりも遅く成熟するものをいう。<ばんせい>

押さえ床育苗(おさえどこいくびょう)

練り床育苗の変形で、枠の中に用土を均一に入れ、適度の水を加えて平らに押さえ、床を作る。後に必要な大きさにブロッキング(切り込み)をして、種子をまく。

雄しべ(おしべ)

種子植物における花の各部のうち、花粉をつくる器官である葯がついている部分のこと。

親蔓(おやづる)

双葉の生長点から最初に発生した蔓を親蔓といい、親蔓から伸びた側枝を子蔓、子蔓から伸びたものを孫蔓という。

お礼肥(おれいごえ)

花が咲いた後や果実を収穫した後に施す肥料。

オンシツコナジラミ

成虫は体長1.5mm内外でロウ物質に覆われて白色。各種の野菜・花・雑草などの葉裏に寄生して吸汁し、ウイルス病などを媒介して生育を悪くする。また、成虫や幼虫の排泄物にすす病菌が繁殖して同化作用を阻止したり、果実を汚染することがある。

温床育苗(おんしょういくびょう)

苗を作る場所として、板などで枠を組み、上にビニールトンネルをかけて、醸熱材料(じょうねつざいりょう)や電熱で加温して苗を作ることを温床育苗といい、その場所を温床という。
加温しないものを冷床といい、そこでの育苗は冷床育苗(れいしょういくびょう)という。

温帯性植物(おんたいせいしょくぶつ)

温帯、いわゆる四季があり、暑さ寒さも極端に厳しくなく、1日の日照時間は季節によって変化するものの、極端な差がない気候条件下で生活する植物のこと。

温暖地(おんだんち)

野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、北陸、関東、東海、近畿、中国の大部分および東北、東山の一部分を指す。年の平均気温が12~15℃の地域である。

温度較差(おんどかくさ)

昼の気温と夜の気温の差をいう。おおむね10℃ほどの差が望ましい。夜温が高すぎると呼吸による消粍が激しいなどの悪影響がある。

か行

開花調節(かいかちょうせつ)

花き栽培・採種栽培において、より有効な花を咲かせる目的で、温度・日長・薬品などの処理によって開花時期を調節することをいう。

カイガラムシ

害虫の一種で、種類が多く、体表がロウ物質で覆われているため薬剤で駆除しにくい場合が多い。木が弱るとつきやすいので、健全な生育を図ることが先決である。

塊茎(かいけい)

シクラメン・球根ベゴニア・アネモネ・カラーなどのように、茎が肥大した球根をいう。

塊根(かいこん)

ダリア・ラナンキュラスのように、根が肥大したものをいう。

かいよう病

トマトで被害の大きい細菌病。種子伝染と土壌伝染、接触伝染がある。茎や葉柄の内部が侵され、茎葉は萎れて枯れる。風雨による二次感染の場合は葉枯れを起こし、また果実に鳥目状の小斑点を生じる。

化学肥料(かがくひりょう)

硫安は空気中の窒素を、石灰窒素はカーバイトと空気中の窒素を、過りん酸石灰はりん鉱と硫酸を、それぞれ原料とするなど、化学的工程を使って無機質原料から作られた肥料のことをいう。

花芽分化(かがぶんか・はなめぶんか)

植物は、その生長点に発育して花芽となるべき新しい組織を作る。このことを花芽分化、更には花芽形成という。要因にはその植物の年齢・温度・日長などいろいろある。

花冠(かかん)

ひとつの花の花びらの集まり。美しい色をもつことが多く、昆虫を誘う。萼とともに雌ずい、雄ずいを保護する役目を担う。

可給態養分(かきゅうたいようぶん)

土中の養分のうち、作物に吸収されやすい簡単な化合物となっているものを、可給態養分という。複雑な化合物で吸収されにくいものを不可給態養分という。

萼(がく)

被子植物の花被の一番外側にあって花弁をかこむ部分。ヘタ。

隔年結果(かくねんけっか)

よく実がつく年(なり年)と実がつかない年(裏年)が1年おきに交互にくることがある。実をたくさんつけた枝には、次の年に花芽がつくられにくいという性質からくる現象で、ミカンやカキはその代表的な例。

がく割れ

カーネーションの栽培上、大きな障害となっているもので、がくが破損して商品にならなくなる。昼夜の温度較差や肥料の影響が大きな原因とみられる。また、品種による違いもある。

花茎(かけい)

キク科のタンポポやヒガンバナ科のヒガンバナのように、先に花がついているだけで、葉のついていない茎。葉のついている普通の茎と区別して呼ぶ。

果梗(かこう)

枝や茎から分かれて細く伸び、その先に果実をつけている部分。

花梗(かこう)

花柄のこと。

花崗岩砂礫(かこうがんされき)

花崗岩からできた砂とれき。

仮根(かこん)

原始的な植物である、コケ植物や海藻類の根にあたる部分。維管束は発達しておらず、植物体を支える役割などを担っている。

果菜類(かさいるい)

キュウリ・スイカ・カボチャ・トマト・ナス・ピーマンなどのように、果実を利用する野菜の種類をいう。スイートコーン・マメ類・イチゴなどもこの中に入る。

花糸(かし)

被子植物の花のうち、葯を支えている細長い部分のこと。

花序(かじょ)

花軸についている花の配列状態。

芽条変異(がじょうへんい)

形質の異なった芽なり枝が発生した場合、これを芽条変異という。枝変わりともいわれ、突然変異の一つである。

花芯(かしん)

花蕊に同じ。花のおしべ・めしべの総称。

花穂(かすい)

一本の長い花軸に、小形の花が多数、穂状についているもの。

下垂性(かすいせい)

茎や枝が垂れ下がる性質のこと。「枝垂れ(しだれ)性」ともいう。

化成肥料(かせいひりょう)

無機質の肥料とか、肥料の原料だけを単に配合したものを配合肥料と呼ぶが、原料に化学操作を加え、肥料三要素のうち二つ以上の成分を含ませた肥料を化成肥料という。

過石(かせき)

過リン酸石灰。

家族労働報酬(かぞくろうどうほうしゅう)

これは、次式による答をいう。
家族労働報酬=農業所得{粗収入-(資材費+雇用労賃)}-自己資本利子見積り
また、1日当たり家族労働報酬は次式で算出する。
1日当たり家族労働報酬=家族労働報酬/家族労働日数

花托(かたく)

被子植物の花において、雌しべや雄しべを支えている部分。花床ともいう。

花柱(かちゅう)

雌しべの部分のうち、柱頭と子房を結ぶ棒状の部分のことをいう。

褐色根腐病(かっしょくねぐされびょう)

トマトの根を侵す病気で、コルキールートともいう。被害をうけた根は褐変しコルク化する。薬剤による防除は困難であり、耐病性の台木を利用する。

活着(かっちゃく)

移植や挿し木をした植物が十分に根づいて生育すること。

果肉(かにく)

明確な定義はないが、果実のうち、肉質の可食部を果肉という。

鹿沼土(かぬまつち)

栃木県鹿沼地方に産する火山灰土の下層土。粒状多孔質で保水、排水性に富み、さつき用土や挿し木用土として使われる。酸性土。

カバープランツ

地表面を低く被覆させる目的で栽培する植物をいう。土壌の浸食を防ぎ、環境美化の効果をもつ。代表的なものに、ヘデラやツタなどがある。また、グラウンドカバープランツともいう。

過繁茂(かはんも)

茎葉が茂りすぎて着果や果実の肥大または結球などを阻げ、さらに風通しが悪くなり病虫害の被害が増大する。窒素肥料や土壌水分の過剰で発生しやすい。

果皮(かひ)

果実のうち、種子を包んでいる部分全体を果皮という。

株(かぶ)

根を含めた、一つの植物体全体のこと。

株立ち(かぶだち)

樹形の一つで、根本部分から3本以上の幹が伸びているもののこと。

株間(かぶま)

作物の株と株との間。作物によって適正な間隔があり、播種・間引きなどで等間隔にすることで、より揃いがよくなる。

株分け(かぶわけ)

根株を分割して繁殖する、栄養繁殖の一つ。宿根草の多くは株分けで増やす。

花粉(かふん)

種子植物が作り出す雄性の生殖細胞。雄しべの葯の中で、花粉母細胞が減数分裂することで小胞子が作られ、それが成熟して花粉粒となる。

花柄(かへい)

花序の主軸から分枝して、それぞれの花を支える枝。

果柄(かへい)

果梗のこと。

花弁(かべん)

花びらのこと。花弁とがくを合わせて花被といい、花弁はがくの内側にある内花被である。

花房(かぼう)

トマトなど房状についた花の集合体のこと。(実を指す場合は果房)

花木(かぼく)

花や葉、果実や枝条を観賞する木の類をいう。切り花・鉢物・庭木などに用いる。

可溶性りん酸(かようせいりんさん)

りん酸一石灰(CaH4P2O8)は水に溶けやすいので、水溶性りん酸といい、過りん酸石灰はこれが主成分となっている。また、りん酸マグネシウムなどは水に溶けにくいが、植物の根が分泌する炭酸や有機酸には溶けるので、く溶性りん酸といい、よう成りん肥の主成分となっている。
可溶性りん酸は、上記の水溶性と、く溶性の二つのりん酸を一括した呼び名である。

カラーリーフ・プランツ

草花、樹木のなかで、特に美しい葉色をもつ植物の総称。さまざまな葉色を見せる斑入り葉、銅葉、銀葉、黄金葉など、一風変わった葉色をもつ植物群が、庭のアクセントカラーとして注目されている。

花蕾(からい)

蕾のこと。特に花蕾という場合、ブロッコリー・カリフラワーなど、食用とする蕾を指すことが多い。

加里(かり)

肥料として重要な成分で、肥料三要素の一つとなっている。たいていの作物の吸収量も三要素のうち特に多い。しかし自然的に供給されやすいし、流亡も比較的少ないので、施用の量はそれほど多くないのが普通である。作物体内の養分移動や繊維質の生成に役立っている。記号はK。

仮支柱(かりしちゅう)

苗の定植後、倒伏を防ぐために立てる短めの支柱のこと。

過りん酸石灰(かりんさんせっかい)

りん鉱に硫酸を注いで製造される。主成分は水溶性のりん酸一石灰(CaH4P2O8)で、肥効は速い。

カロテン

色素の一種で、緑色・橙色・黄色の野菜に多く含まれており、この内β-カロテンは人体に摂取されたあとでビタミンAとなる。これをプロビタミンAと呼んでいる。

稈(かん)

イネ科植物の茎のこと。竹のように中空で、節に隔壁があるのが特徴。

寒起こし(かんおこし)

2月ごろの厳寒期に土を粗めに掘り起こすこと。下層の土塊を寒さに当てることで、通気性をよくしたり、害虫や病原菌を死滅させたりする効果がある。

換気(かんき)

温室・ビニールハウス・トンネル栽培などで、空気を入れ換えることをいい、重要な作業の一つである。温室などの換気は天窓や側窓の開閉によって行う。換気扇を用いて行う場合は、これを強制換気という。

環境制御(かんきょうせいぎょ)

作物の栽培にあたり、光・温度・湿度・二酸化炭素濃度・気流などの環境要因を、生育に適した状態に調整することで、作物の光合成速度を最大限に高めて生長を促進させ、収穫量を上げること。こうした設備を備えた施設を環境制御ハウスと呼ぶ。

還元分解(かんげんぶんかい)

土中の有機物が分解する形の一つ。土中の空気の流通が悪いため酸素が少なく、分解が不十分で、その大部分は腐植となって土中に残る。この場合、嫌(けん)気性の微生物が働いており、還元分解という。
反対に、通気がよく好気性微生物が作用する場合は、酸化分解(さんかぶんかい)が起こる。

緩効性肥料(かんこうせいひりょう)

肥料の有効成分が少しずつ土壌中に溶け出して、有機質肥料に似た効き方をする化成肥料で、肥効が長時間続く。1回の施肥量を多くしても濃度障害が出にくく、一般には元肥主体栽培に使われる。IB化成、CDU化成などがある。

寒高冷地(かんこうれいち)

栽培地の分類の一つ。一般に北海道・東北・長野・群馬などの標高の高い地域を指す。夏季冷涼な気候を利用して野菜や花きの栽培が行われる。

間作(かんさく)

栽培している作物の株間、あるいは畝間に別の作物を作付けすること。

完熟堆肥(かんじゅくたいひ)

わらや落ち葉など十分に腐りきったものを「完熟堆肥」という。未熟な堆肥を施すと、障害が出るおそれがある。

環状剥皮(かんじょうはくひ)

取り木を行うために発根を促す際、部分的に枝の皮を取り除く作業。

潅水(かんすい)

水を与えることを潅水という。潅水方法には、地表潅水・地中潅水・滴下潅水・頭上潅水などがある。

潅水チューブ(かんすいチューブ)

畝の上にチューブを乗せて潅水する。この潅水チューブは塩化ビニール製が多い。水をチューブから均一に流出させるために、種々の工夫が施されている。

乾生木(かんせいもく)

乾生植物。砂漠・荒原など水分の乏しい場所に生育し得る植物。サボテン、イワレンゲなど多肉で貯水組織が発達しているものが多い。

間接肥料(かんせつひりょう)

植物に直接吸収されるのでなく、間接的な効果によって植物の生育を助ける肥料。土壌の理化学的性質をよくしたり、微生物の活動を盛んにして養分の吸収度をよくする肥料。石灰・苦土肥料・けい酸肥料など。

完全花(かんぜんか)

一つの花に雌しべと雄しべを共に備えている花をいう。両性花と同意語。

寒地(かんち)

野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、北海道全域および東北、北陸、関東、東山の一部門を指す。年の平均気温が9℃未満の地域である。

乾土効果(かんどこうか)

土を乾燥して、その後水を加えると、あらかじめ乾燥させなかった場合より微生物の作用が促進される。また、水田程度の状態に水を加えた場合はアンモニア態窒素が増え、畑程度の状態に水を加えた場合はアンモニア態窒素と硝酸態窒素が増える。これを乾土効果という。

乾熱殺菌(かんねつさっきん)

タネを高温・低湿度で一定期間処理することによって、タネに付着あるいは侵入している病原菌・ウイルスを死滅させる方法である。処理温度は発芽に支障を起こさない範囲と期間で行う。
例えばスイカの緑斑モザイク病の防除には70℃・3日間、または73℃・2日間の処理。キュウリの緑斑モザイク病には70℃・3日間の処理が有効である。

寒肥(かんひ)

寒中に農作物、果樹、庭木などに施す肥料。

乾腐病(かんぷびょう)

タマネギの重要病害で、根は褐変腐敗し、茎盤部(根のつけ根)が乾腐状態となる。病原菌はフザリウム菌で土壌伝染する。防除として、苗床はあらかじめクロールピクリン剤で土壌消毒(どじょうしょうどく)し、連作を避けるか耐病性品種を利用する。

潅木(かんぼく)

樹木の主幹が不明瞭で、根ぎわから何本かの枝を出し、樹高がほぼ2mを超えないもの。ドウダンツツジ、ツゲなど。

冠毛(かんもう)

キク科の舌状花や管状花の子房の上部にある絹のような毛。もともとがくが変形したもの。

観葉植物(かんようしょくぶつ)

草花は、一・二年草や宿根草・球根など、いろいろに分類されているが、観葉植物もその一つで、美しい葉を観賞する植物のうち、主に温室で栽培する種類をいう。
アナナス・ベゴニア・コリウス・ゴムなどたくさんある。

寒冷紗(かんれいしゃ)

綿やビニロンなどの化学繊維で網目模様に編んだ布状の被覆資材の一種。目の粗さや色の違いで遮光率が異なるので、一般に遮光用にするが、防寒や防風、水分の蒸散防止などの目的でも利用される。

寒冷地(かんれいち)

野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、東北、東山の大部分および北陸、関東、東海、近畿、中国、四国、九州の一部分を指す。年の平均気温が9~12℃の地域である。

き行

偽果(ぎか)

果実の分類の一つで、子房のみが発達した真果に対し、子房以外の部分が肥大したものを偽果と呼ぶ。

機械選果(きかいせんか)

収穫した果実を等級別に揃える手段として、人手でなく、機械を用いて行うやり方をいう。

奇形果(きけいか)

果実が品種本来の正しい形をしていない場合、これを奇形果という。トマトの栽培で特に問題とされる。トマトの果実の発育・肥大・着色を早める手段としてホルモン剤をつけるが、濃度が高くて効きすぎると、果実が角張って空洞になったり、果実の先が尖って奇形果になってしまう。このように奇形果は、ホルモン剤の効果が不的確な場合や、受精が不十分な場合に特に発生しやすい。

木子(きご)

グラジオラスやユリなど、球根植物の球茎基部の節のえき芽が肥大してできた小球茎のこと。珠芽。グラジオラスのように、ストロン(地下茎の一種)ができて、その先端に小球茎ができる場合もある。

気孔(きこう)

陸生植物の表皮にある、空気や水蒸気の通路となる穴。穴を囲むように存在する2つの孔辺細胞が形状を変化させることで、開閉を行う。光合成のために二酸化炭素を取り込んだり、蒸散により植物体の水分調整を行ったりするための重要な器官である。

木子繁殖(きごはんしょく)

ユリは地中に植えた球根から茎を伸ばすが、この茎が地上へ出るまでの部分の節に、小さな球が作られる。これを木子(きご)といい、これを使って繁殖することを木子繁殖という。グラジオラスも木子で繁殖できるが、この木子は、はじめに植え付けた球の周りにくっついた形でできる。

気根(きこん)

植物の地上部から空気中に出る根。

岐根(きこん)

主にダイコンやニンジンなどの直根類において、何らかの障害によって主根の成長点が損傷し、側根が肥大してしまったもの。又根とも呼ばれ、商品価値が大きく下がる。

キスジノミハムシ

ダイコンやカブで問題となるアブラナ科の害虫。成虫は2mm、黒色で2本の黄色い筋がある。
主に葉を食べ、1mm程度の穴をたくさんあける。幼虫は白色の蛆虫状。土中で根を食べ、表皮に傷をつけるため、商品性が損なわれる。対策として、アブラナ科の連作を避け、成虫に対してはアセタミプリド水溶剤などの殺虫剤を散布する。幼虫に対しては播種時にテフルトリン粒剤などの殺虫粒剤を土壌混和処理する。

キセニア

タネや果実の形質に花粉(雄親)の影響が現れる現象をいう。トウモロコシの白色粒の品種の雌しべに黄色粒の花粉がついて受精すると、その粒が黄色になるのはキセニアの一例である。

拮抗作用(きっこうさよう)

二種類の成分が互いに作物への吸収を妨げ合う作用で、石灰と苦土との間が最も大きく、加里と石灰、加里と苦土との間にも認められる。

キッチンガーデン

家庭菜園と同様、食用の植物を植えた家庭の庭や花壇のことだが、実用面だけでなく色彩などの見た目を考慮し、観賞も楽しめるよう工夫したものを指す。

客土(きゃくど)

栽培上、必要によって圃場に特定の土を持ち込むことがある。このことを客土という。

キャップ栽培

春先の低温期に早く植え付けを行う場合、三角ボウシ状のフィルムを利用して、植え付けた苗に被せ、霜よけと保温を兼ね、生育を助長する栽培をいう。スイカで多く用いられる。

キュアリング

例えば、グラジオラスの掘り取った球根は、表面が傷みやすい。これを温度33℃、湿度80%の室に一週間余り入れると球根の表面に周皮が形成されて、傷みにくく貯蔵性を高める。このように収穫後、保存をよくするために行う処理をキュアリングという。野菜でもサツマイモやカボチャで行われる。

球茎(きゅうけい)

球根の一種で、茎が肥大して球状になり、その表面は薄くて膜のようになった葉で包まれているものをいう。フリージア・グラジオラスなどの球根がこれである。

球根(きゅうこん)

植物体の一部が肥大して、そこに養分を貯蔵して冬や夏を越えるものがある。この場合、肥大したものを球根という。このうち茎に肥厚した葉が集まって球となったものをりん茎(りんけい)といい、茎が球状に肥大したものを球茎、茎の肥大したものではあるが、表面に皮がなくて裸のものを塊茎(かいけい)、根が肥大したものを塊根(かいこん)という。

球根冷蔵(きゅうこんれいぞう)

芽の伸長を抑えたり、開花を促進させたりして開花調整を行うために、球根を低温下に置くこと。

吸収係数(きゅうしゅうけいすう)

土は肥料成分を吸収する。その力を土の肥料成分吸収力といい、その程度を表したものを吸収係数という。

厩肥(きゅうひ)

家畜の寝ワラや糞尿を厩肥またはうまや肥という。寝ワラや糞は有機物を多く含み、尿は窒素や加里を多く含む。

吸肥力(きゅうひりょく)

作物が養分を吸収する力をいい、作物の種類によって吸収力に差がある。例えばトマト・カボチャ・ダイコン・エンドウなどは吸肥力が強く、スイカ・ハクサイ・セルリーは弱い種類である。

休眠(きゅうみん)

生育に適さない環境に耐えるなどの理由で、植物が一時的に生長を停止させる現象。

休眠打破(きゅうみんだは)

植物は開花・結実・球根形成などが終わると生育活動が停止するか、停止に近いほどに弱まり、その後、時期がくると再び活動を始めるものがある。このような活動の一時的な休止を休眠という。活動を自然に再開するのを待たないで低温にあわせたり、一度高温にあわせてから低温にあわせるなどの手段で、活動の再開を促すことを休眠打破という。
球根やタネでの休眠も多く、ホウレンソウなどは高温で休眠を打破する。

距(きょ)

距とはもともとニワトリの蹴爪(けづめ)のことだが、植物では花の後ろに突き出した中空の角状のものをいう。花弁や萼(がく)が変化したもの。スミレ、オダマキなどに見られる。

夾雑物(きょうざつぶつ)

ISTA規定の種子の純潔検査において、純潔種子・異種種子のいずれでもないもの。具体的には、元の大きさの半分以下の破損した種子、種子ではないあらゆる物質(茎、葉、砂、石など)とされている。

共同出荷(きょうどうしゅっか)

出荷のための組合を作り、組合員の生産物をまとめて出荷することをいう。組合の形式には、申し合わせのものから町村単位のもの、農業協同組合の一部門となっているものなどいろいろある。

鋸歯(きょし)

歯の縁がのこぎりの歯のように細かく切れ込んだもの。=欠刻。

切花鮮度保持剤・切花保存剤(きりばなせんどほじざい・きりばなほぞんざい)

化学薬品で処理して切花の寿命を長くさせる研究は1929年以後続けられてきた。一般に切花保存剤として販売されているものは、蔗糖(しょとう)・抗生物質・金属塩・弱酸などを混合したもので、種類によっては有効である。なかでも近年切花前処理剤として脚光を浴びている薬剤にSTS剤(チオ硫酸銀)があり、カーネーション・スイートピー・キンギョソウ・宿根カスミソウ・トリカブト・デルフィニウム・アルストロメリアなどで効果が認められている。

切り戻し(きりもどし)

伸びた枝や茎を、その中間まで切り詰める作業のこと。切り戻しをすることで、下から元気な枝が伸び出てくるので、伸びすぎて姿をくずした株などの仕立て直しができる。

桐生砂(きりゅうずな)

やや風化した火山性砂礫。排水性・通気性に特に優れ、ラン、オモト、山野草などの用土に向く。

菌核病(きんかくびょう)

多くの野菜・草花に発生する病気で、茎の地際や葉柄などを侵して腐らせる。この部分に白い菌糸が現れ、さらに黒色の菌核(きんかく)を作る。菌核は一見して、ネズミの糞に似ている。低温・多湿の時に起こりやすい。

近郊園芸(きんこうえんげい)

都市近郊での園芸の営みを近郊園芸という。輸送費が少なく、新鮮な状態で市場に着荷できる、輸送のききにくいものが栽培できる、などの特長がある。

近交弱勢(きんこうじゃくせい)

例えば、ダイコンやキャベツなどのように他家受粉を常態としている植物は、形質の近似したものばかりの交配を繰り返してゆくと、次第に生育の力が衰える。この現象を近交弱勢という。内婚弱勢とも呼ばれる。

菌根菌(きんこんきん)

根に入り込んで植物と共生する菌類のこと。菌根菌は土壌中の養分を吸収し、それを植物に与え、一方で植物は光合成産物である糖などを菌に供給する。菌根菌は植物の生育に有益であり、生産現場でも積極的な利用法が模索されている。

均窯(きんよう)

中国の陶磁の一種。乳青色のうわぐすりをかけた陶器で、紅斑や紫斑を加えたものもある。

く行

クチクラ層(クチクラそう)

植物においては、表皮細胞の外側に分泌されたロウ質の層のこと。比較的かたい膜層で、水の蒸発を防ぐ、葉を保護する、などの役割がある。

苦土欠乏症(くどけつぼうしょう)

苦土(マグネシウム)の不足や、加里の施用量が多くて吸収が抑制された時に発生する。症状は葉脈間が黄化して、下位葉から上位葉に及ぶ。

苦土石灰(くどせっかい)

苦土(マグネシウム)と石灰(カルシウム)の両方を含む肥料だが、それが酸度の調整に役立つことから、肥料としてよりも酸度調整剤として使われることのほうが多くなっている。また、マグネシウム、カルシウムともに肥料の五要素に含まれているので、肥料としても十分役立つ。

窪地(くぼち)

周囲より低くなっている土地。くぼんでいる土地。

く溶性りん酸(くようせいりんさん)

可溶性りん酸(かようせいりんさん)の項を参照。

グラウンドカバー・プランツ

地面を覆う植物の総称で、茎や枝を横に伸ばして地面や壁面などを低く、または薄く覆う植物のこと。シバ、アジュガ、シバザグラ、スイートアリッサム、バーベナ、つるバラ、コバノランタナ、ツタ、アイビーなど、種類は豊富。

クラウン

茎と根の間にある、茎の基部と根の基部をまとめて、クラウンと呼ぶ。冠部ともいう。

鞍築(くらつき)

土づくりの方法の一つで、タネまきや植え付け前に、一株ごとに肥料を施して土を盛り上げるやり方。

グリホサート

グリホサートは、非選択的な除草剤の一種で、特に広い範囲での雑草の根絶に用いられます。グリホサートは、植物の成長に必要な酵素を阻害することで、植物を枯らす効果があります。そのため、グリホサートは広い範囲での除草に用いられていますが、周囲の植物にも支配するため、使用量や使用方法には注意が必要です。

グリホサートは、米国の農薬メーカーであるモンサント社が商品名「ラウンドアップ」として販売しています。現在、グリホサートは世界中で広く使用されており、農業だけではなく、公園や庭園、道路の除草などしかし、グリホサートの使用に対しては、環境や健康への影響が指摘されており、一部の国や自治体では使用制限や措置が取られています。

グリーンプラント・バーナリ型

バーナリゼーションの場合で、苗が一定の大きさになった時、一定の低温に遭遇すると花芽分化を起こすタイプで、青果栽培ではキャベツやタマネギなどが問題になる。

クレイボール

小粒の粘土を焼いたもの。多孔質で保水力と水はけが良いので、らん類や観葉植物の植え込みに使われる。

クロールピクリン

病害や害虫を防除するのに使う劇薬の一種で、土の消毒殺菌によく使用される。土中で揮発し拡散して、その効果を発揮する。催涙性が強く、使用の際は誤って吸入しないよう十分気をつけねばならない。以前は液体を用いたが、最近は錠剤もあり、より安全に使用できるようになった。

黒腐病(くろぐされびょう)

特にアブラナ科野菜で被害の大きい細菌病。葉縁の水孔や傷口から侵入し、V字型の病徴を示す。銅剤による早期防除が必要である。

黒土(くろつち)

火山灰土の表層部分で有機質を含み、黒褐色をしている土。黒ぼくとも言う。保水性と排水性に富み、粘性が少ない。酸性土。

黒葉枯病(くろはがれびょう)

ニンジンに多く発生する病害で、茎や葉に黒褐色の病斑ができる。夏の高温乾燥期に発病しやすい。

黒ぼく(くろぼく)

黒土と同じ

クロロシス

葉の萎黄症状。構成元素の欠乏や代謝異常によって葉緑素の形成が阻害されるため、緑色が失われる生理障害。マグネシウム欠乏が代表例。

燻蒸剤(くんじょうざい)

殺菌や殺虫の目的で、密閉した室・箱・天幕などを用い、ガス化させて使用する農薬をいう。クロールピクリンや二硫化炭素など。

燻炭(くんたん)

モミガラを炭化したもので、多量の細かい孔を持っており、土に混ぜると通気性と排水性がよくなる。

け行

経済品種(けいざいひんしゅ)

品種の中で、営農にとりあげる価値のある品種を経済品種という。

けい酸肥料(けいさんひりょう)

けい酸という成分は、土中に多く含まれているので、普通、肥料として積極的に施用する必要は少ないが、稲のようにけい酸をたくさん要求する作物や、けい酸分の不足している土地では、施用の効果がある。この場合は、けい酸石灰などをけい酸肥料として用いる。

形成層(けいせいそう)

たいていの樹木の幹、枝、根のすぐ内側にある組織で、新しい細胞をつくり出しているところ。接ぎ木をするときに、穂木と台木が活着するためには、両者の形成層を合わせて接ぐことが大切。若い幹や枝を輪切りにすると、緑色の輪が見える。これは形成層そのものではないが、実際は、その部分を形成層と見なして作業すればよい。竹やヤシには、形成層はない。

茎節(けいせつ)

主にシャコバサボテンやクジャクサボテンの、平らで葉のように見える部位の呼び方。根が出やすいので、挿し芽に利用する。

茎頂培養(けいちょうばいよう)

植物の茎の頂端部(メリステム)を取り出し、無菌的に無機塩や糖、ある種のホルモン剤を加えて培養し、完全な植物に育てる。無ウイルス植物の育成や、ランの栄養繁殖などに利用される。

系統分離(けいとうぶんり)

作物の種類には多くの品種がある。例えば、ダイコンは作物として一つの種類であり、耐病総太りなどというのは、ダイコンの品種である。品種はとてもよく揃っている場合と、いろいろの性質が混ざり合っている場合(早く生育するものとそうでないもの、あるいは枝の出やすいものとあまり出ないもの)とがある。混ざり合っている品種の中から、一定の性質のものだけを遺伝的に取り出して、もとの品種と区別できるものに仕上げることを系統分離という。この場合、区別はつくが、その程度がまったく別の品種というほどはっきりしていない時に、それはその品種の中の一つの系統として扱う。

鶏糞(けいふん)

他の家畜糞よりも窒素・りん酸・加里を多く含む。元肥として使用され、未熟のものは尿酸を多く含み根に障害を起こすので、施用後一週間経ってから作付ける。

茎葉(けいよう)

根生葉(根出葉)に対し、地上に伸びた茎につく葉のこと。

結果枝・結果母枝(けっかし・けっかぼし)

直接花が咲き、実を結ぶ枝を「結果枝」という。花芽があっても直接花をつけず、その花芽から次の枝を伸ばして花を咲かせ結実する場合は、花芽をもつ枝を「結果母枝」という。

結球(けっきゅう)

キャベツ・ハクサイ・レタスは、葉が集まって球を作る。これを結球という。なお、このような性質を結球性という。

けと土(けとつち)

ケト(化土)とも呼ぶ。ヨシやマコモなどからなる湿地の腐植土で粘りと保水性があり、石付け盆栽用土に欠かせない特殊な土。

下木(げぼく)

木の下などに生えている低木。

嫌気性(けんきせい)

好気性(こうきせい)の相対語。

嫌気性細菌(けんきせいさいきん)

土中の微生物には細菌・放線菌・糸状菌・そう類・原生動物などがある。このうちの細菌には、酸素が多い時によく生育し繁殖するものと、逆に酸素の少ない時によく生育し繁殖するものがあり、その後者を嫌気性細菌または嫌気性菌という。
なお、前者は好気性細菌(こうきせいさいきん)といわれる。

嫌光性種子(けんこうせいしゅし)

タネの発芽にあたり、太陽光線のあたらない暗黒状態を好むタネをいう。多くのウリ科植物や、トマト・ナス・ダイコン・タマネギ・デルフィニウム・ジニア(百日草)など。

原種(げんしゅ)

採種、つまり種子とりのためには、そのもとになる種子が必要である。これを原種という。原種をとるための種子は原々種という。

こ行

耕運(耘)(こううん)

田畑を耕すこと。

高温障害(こうおんしょうがい)

高温が原因で作物に起こる、収量や品質の低下を招く生育障害のこと。

抗火石(こうかせき)

低温流通体系と訳され、生鮮食品を冷凍、冷蔵、低温の状態で生産者から消費者の手に送りとどける仕組みのことで、とくに夏季の軟弱野菜の鮮度を維持することができる。

好気性(こうきせい)

生育・生存に対して、空気(つまり酸素)が有効な場合、好気性であるといい、その反対に有害な場合を嫌気性という。

好気性細菌(こうきせいさいきん)

土中にいる細菌のうち、酸素の多い状態を好むものをいう。

孔げき量(こうげきりょう)

土の中の隙間を孔げきといい、水や空気で満たされている。そして、一定容積の土の中にある孔げきの容積を孔げき量といい、次式で求める。

光合成(こうごうせい)

光合成は、炭素同化作用や炭酸同化作用、あるいは簡単に同化作用とも呼ばれ、緑色植物が光のエネルギーを利用して、炭酸ガスと水から糖やデンプンなどのような炭水化物を合成する働きをいう。

好光性種子(こうこうせいしゅし)

タネの発芽にあたり、太陽光線が与えられると発芽を促進するものを、好光性種子(光発芽種子)という。レタス・シュンギク・ニンジン、草花のペチュニア・プリムラなどはその例である。

交雑育種(こうざついくしゅ)

幾つかの品種を交配して、その子孫の中から目的に沿った新しい品種を作り出す改良のやり方を交雑育種という。この手段は、それぞれの品種が持っている遺伝的な長所を新しい一つの品種に併せて持たせたり、ある品種が持っている遺伝的な欠点を抑えたり、取り除くような効果が期待できる。

硬実(こうじつ)

タネの皮が水を透しにくいと、そのために発芽が妨げられる。このようなタネを硬実という。対策としては、浸漬などにより吸水を助け発芽を促す。また物理的に種皮に傷をつける。

向日性(こうじつせい)

植物の一部(茎など)が光に向かって伸びる性質のこと。

耕種的防除(こうしゅてきぼうじょ)

栽培する上で、害虫や病原菌ができるだけ発生しないように環境を整えることで、予防的に防除を行う方法。

更新剪定(こうしんせんてい)

多くは果樹で、野菜ではナスの場合に行われる作業。古くなって生産力が衰えた枝を切り捨てて、新しく元気な枝を発生させるやり方をいう。

抗生物質剤(こうせいぶっしつざい)

微生物によって生産され、かつ他の微生物を死滅させる物質で、細菌性病害に高い効果がある。植物組織に速やかに浸透、移行し、持続効果も長く効きめが安定している。
アグリマイシンやストレプトマイシンなどがある。

洪積土(こうせきど)

土は岩石の風化したものであり、それが重力・風雨・流水などで、他へ運ばれて積もったものを運積土という。この運積土には、洪積土と、それよりも遅れてできた沖積土(ちゅうせきど)がある。洪積土は現在、丘や低い台地の上部を形成していて、主に畑に利用されている。また沖積土は、現在の河川や湖、海に近い低地を作り、多くは水田に利用されている。

耕土(こうど)

圃場の土のうち、作物の根張りの大部分をおさめ、直接に耕運(耘)施肥など栽培操作の対象となる上層の部分を耕土といい、続く下層を心土(しんど)という。

高度化成肥料(こうどかせいひりょう)

チッソ、リン酸、カリのうちの二成分以上を含み、かつそれらの含有率が全体の30%以上の化成肥料を指す。

交配種(こうはいしゅ)

これは一代雑種(いちだいざっしゅ)の同意語で、一般に広く用いられている。

高品質種子(こうひんしつしゅし)

タネには、発芽率や発芽勢に優れる、病気にかかっていない、品種として純粋であることなどが要求される。これらの特性をすべて満たすような、安定した栽培につながるタネを高品質種子とよぶ。

厚膜胞子(こうまくほうし)

厚い細胞壁をもち、不良環境に耐える胞子。病原菌などの菌糸などの一部に形成され、細胞壁が二重になっているものが多く、低温や乾燥に強い。

高冷地(こうれいち)

低緯度地帯でありながら標高が高く(700~800mが目安)、寒冷な土地。都市部の市場に比較的近接しているため、夏季の冷涼な気候を生かして栽培した作物を、鮮度を保って市場に出荷することができる。また、標高400~700m程度の高冷地に準じる地帯を、準高冷地と呼ぶこともある。

高冷地栽培(こうれいちさいばい)

普通、標高700~800m以上の高地で行う栽培をいう。400~700mを準高冷地といい、いずれも夏の冷涼な気候を活用する。

コーティング種子

厚い細胞壁をもち、不良環境に耐える胞子。病原菌などの菌糸などの一部に形成され、細胞壁が二重になっているものが多く、低温や乾燥に強い。

コールドチェーン

低温流通体系と訳され、生鮮食料品を冷凍・冷蔵・低温の状態で生産者から消費者の手に送り届ける仕組みのことで、特に夏季の軟弱野菜の鮮度を維持することができる。

腰水(こしみず)

植物を植え付けた鉢などを、水を張った容器に浸して鉢底から吸水させること。

互生(ごせい)

葉のつき方。対生は、各節に2枚つき、2葉が茎をはさんで反対方向につく。互生は、各節に1枚の葉がつく。

木立ち性(こだちせい)

草であるのに、木の幹のように茎が立つ性質のこと。なじみ深いものに「木立ち性ベゴニア」がある。

骨粉(こっぷん)

動物の骨を主体に作った肥料で、主成分はりん酸三石灰(Ca3P2O8)・骨素・油脂。窒素や加里は少なく、効き方は遅く緩やかである。

子蔓(こづる)

親蔓(おやづる)の項を参照。

固定種(こていしゅ)

交配種(こうはいしゅ)、または一代雑種(いちだいざっしゅ)に相対する用語で、遺伝的に固定している品種のことをいう。これを一般種という場合もある。

コナガ

アブラナ科作物の重要害虫である。幼虫の多くは葉裏に寄生し、表皮を残して食害する。葉を動かしたり手で触れたりすると機敏に動き、落下・逃亡する。年10~12回発生。有効薬剤が少なく駆除が難しい。

コルヒチン

細胞分裂の時、染色体の分離を阻害する作用のある薬品で、染色体の数を倍加させるのに用いる。

ゴロ土(ゴロつち)

鉢植えのときに、水はけと通気性をよくするために鉢底に入れる、粒の大きな土。赤玉土の大粒などが用いられるが、土のほかに石や発泡スチロールの破片などが使われる場合もある。小さな鉢などの場合は、ゴロ土を使わないこともある。

根冠(こんかん)

根の先端を覆っている組織で、根端分裂組織(成長点)を保護する役割がある。

根茎(こんけい)

根のように横に伸びる茎。多くは地下で伸びてゆくが、地上を走るものもある。

根系(こんけい)

作物の根は上下左右に伸び広がる。この広がり全体を根系という。
根系は遺伝的能力と、土その他の環境とによって作られる。したがって、その広がり具合は、種類や品種によって一様ではない。

根圏微生物(こんけんびせいぶつ)

植物の根は水溶性有機物を分泌し、細胞の一部を脱落する。植物根はしばしばムシゲルと呼ばれる粘質の有機物で覆われている。これらの有機物を利用して増殖した微生物は植物根の周辺で高い密度を示す。これらを根圏微生物と呼び、植物に非常に重要な役割を果たしている。
マメ科植物に寄生する根粒菌もその一つである。

根菜類(こんさいるい)

ダイコン・カブ・ニンジン・ゴボウなどのように肥大した根部を食用とする野菜類をいう。肥大して食用となる部分は、主根だけではない。主根は子葉の下端から出ているが、子葉の下の胚軸部分も肥大して食用部分を作りあげている。

混作(こんさく)

2種類以上の作物を同時期一緒に混植栽培すること。

根生葉(こんせいよう)

冬季のタンポポやマツヨイグサなどに見られるように、節の間隔が極端に短くなった茎から出ている葉。ロゼット葉。

コンテナガーデニング

プランターや植木鉢をはじめ、ハンギングバスケットやウインドーボックスなど、さまざまな容器に植物を植え込み、美観形成などに役立てること。一般的な鉢植えよりも、容器自体の鑑賞性や、植物と容器の調和を意識したものである。

コンパニオンプランツ

主植物の側に植栽して、主植物の生育上有益な働きをする植物。トマト圃場の側に植えて害虫除けの働きをするハーブ類など。

コンポスト

家庭からでる生ごみや落ち葉を微生物の働きによって分解させた肥料のこと。

根毛(こんもう)

根の先端近くに生える毛状の組織。根の表面積を増やすことで、養分や水分の吸収をよくする役割がある。

根粒菌(こんりゅうきん)

植物の根に共生し、空気中の窒素ガスを固定する細菌類。自然界の窒素循環に大きな働きをする。マメ科植物でよくみられ、固定した窒素は寄主植物が利用する。

さ行

催芽(さいが)

タネをまく前に、発芽を始める状態にすることを催芽という。発芽を早めたり、発芽の不揃いを避ける効果があり、方法としては、十分吸水させたタネを、そのタネの発芽適温よりいくらか高い温度に保って発芽状態にする。

細菌病(さいきんびょう)

農作物の病気は、糸状菌(かび)による場合と、細菌類(バクテリア)による場合が多い。バクテリアは、糸状菌と違って表皮を破って侵入することができず、傷口や気孔、水孔などから侵入し発病する。軟腐病・黒腐病・青枯病などがある。薬剤が限られ、予防散布が大切。

採種圃(さいしゅほ)

栽培用のタネをとるために用いる畑をいう。他種の花粉、タネなどが混入することのないよう、努めて純正な、そして充実したタネがとれるように管理することが大切である。

最小容水量(さいしょうようすいりょう)

毛管作用で保持できるぎりぎりの水分量を最小容水量といい、100gの乾燥土が重力に逆らって保持できる水分の量を“容水量いくら”というように表す。圃場容水量(ほじょうようすいりょう)と同意語。砂土は水がよく浸透するが、粘土は容易に浸透しない。このように土の種類によって、水分を保持する力は違う。

最少養分律(さいしょうようぶんりつ)

作物が完全に生育するためには、必要な無機養分が全部揃っていなくてはならない。どれか一つでも不足すると、この場合の生育・収量は、他の養分は足りていても、不足している一つの養分に支配されてしまう。このことを最少養分律という。

栽植密度(さいしょくみつど)

単位面積当たりの栽植本数をいう。作物の種類によって大体決まっているが、環境条件などによってかなり左右されることが多い。密植し過ぎると生育が悪くなり、収量も低下するので、各々その地に合った栽植密度を知ることが大切である。

最大容水量(さいだいようすいりょう)

土の中が水で満たされて、飽和したときの水分量をいう。pF =0である。
※pFの説明は圃場容水量(ほじょうようすいりょう)を参照。

細胞壁(さいぼうへき)

植物細胞のもっとも外側にある、セルロースを主成分とした組織。骨格がない植物においては、細胞壁が体を支える役割を担っている。

在来品種(ざいらいひんしゅ)

限られた地域の中で伝統的に栽培され、食されてきた品種。長い歴史の中で日本の環境に順応し、交配と選抜・淘汰を重ねながら各地の在来種として定着した。例えば、京野菜(37品目)・加賀野菜(15品目)・江戸野菜などがある。

蒴果(さくか)

成熟して乾燥すると、数室に裂開して種子を放出する果実。

作型(さくがた)

作物は作る時期や作り方によって、いろいろの場合があるが、それらを作型という。
例えば促成・抑制栽培、夏秋どり、冬どりなどいずれも作型である。

砂耕栽培法(さこうさいばいほう)

砂を用いて、水や養分の水溶液によって栽培する方法をいう。

挿し木・挿し芽(さしき・さしめ)

植物の枝や若芽などを切り取り、砂などに挿して発根させ植物を殖やす。栄養系の一つ。カッティングともいう。

挫止現象(ざしげんしょう)

主にスイカやメロンの接ぎ木栽培の場合に使われる用語で、接ぎ木したものが、温湿度の急変など不良条件にさらされて、生育が停頓あるいは枯死する現象をいう。他の作物でも、また接ぎ木に限らず起こることがある。

挿し接ぎ(さしつぎ)

接ぎ木方法の一種で、台木上部の中央部分に小さい穴をあけ、この穴へ穂を挿し込む方法。穂はあらかじめ、下端を鋭く尖らせておく。

挿し床(さしどこ)

挿し芽(挿し木)に用いる床をいう。用土は保水性や排水性に優れたものが良い。

サッカー

株元から離れたところから生えてくる新芽。

雑種強勢(ざっしゅきょうせい)

ある二つを両親とした子供の代には、生育の旺盛な場合がある。これを雑種強勢(ヘテローシス)という。自家受粉を常としている作物や、また、他家受粉を常としている作物であっても、自家受粉を何代も続けた系統であれば、雑種強勢が強く現れる。原則的には、両方の遺伝的な素質の違いが大きいほど、雑種強勢の現れ方が強い。

莢(さや)

種子を覆う果実の一種。莢果。

砂礫(されき)

砂と小石。つぶて。しゃれき。

酸化分解(さんかぶんかい)

土の中に酸素が多い場合の有機物の分解を酸化分解といい、好気性細菌が作用している。
有機物の分解が旺盛な時は、多量の炭酸ガス・水・アンモニア・硝酸などを生成し、腐植として残る割合が少なくなる。通気がよいことの他、温度が35~40℃で適量の水分があり、石灰分がたくさんあると、一層活発な酸化分解が進行する。

サンクガーデン

西洋庭園の形式の一つ。一般に長方形の区域を掘り下げ、底面と斜面を植栽し、花壇などで修飾したもの。沈床庭園。

三小葉(さんしょうよう)

葉のつき方の一つ。頂小葉と側小葉からなる。

酸性土壌(さんせいどじょう)

土壌中の水溶液が酸性であれば、その土壌を酸性土壌という(pH・ピーエッチ)参照。

三相分布(さんそうぶんぷ)

土壌は固体(粘土などの鉱物)、液体(水)、気体(空気)の3要素で構成されており、それぞれを固相、液相、気相という。この三相の比率を、三相分布と呼ぶ。

散播(さんぱ)

ばらまきのこと。

三倍体(さんばいたい)

作物の染色体の数は、普通、その作物の花粉や卵核の染色体の2倍であるが、これらを倍加して四倍体にしたものとの雑種は三倍体になる。三倍体は正常な受精をしないのでタネができない。タネなしスイカは、この理論を応用したものである。

し行

GMO(ジーエムオー)

遺伝子組換え作物(Genetically Modified Organism)。ある生物の遺伝子の一部を別の生物に組み入れる、遺伝子組み換え技術を用いて開発された作物。害虫への抵抗性を有したトウモロコシや、除草剤耐性を備えたダイズなど。

シード・バーナリ型

バーナリゼーションの場合で、タネが吸水し発芽に動いている状態プラスー定の低温があれば低温感応するタイプで、ハクサイ類やダイコンがこれに属し、春どり栽培で問題になる。

シードテープ

シードテープはタネを一定粒数ずつ、一定間隔に封入したテープをいう。テープの主原料は水溶性ポリマーである。野菜及び花のタネの省力播種法として普及している。

シードパン

花の栽培ではタネをまく際、浅い専用のはちを使うことがある。普通30cm×30cmの角形で、これをシードパンという。

シードプライミング

タネの発芽率、発芽勢および実生の初期生育の促進を図ることを目的として、タネに施す各種処理をいう。

地植え(じうえ)

鉢などの容器に植物を植えることに対し、地面に直に植えて育てることを地植えという。

シェード栽培(しぇーどさいばい)

短日植物の花芽分化を促すため、資材を用いて遮光を行い、短日条件を作り出す栽培方法。遮光栽培。

自家受粉(じかじゅふん)

自花受粉(じかじゅふん)とも書く。これは一つの花の雌しべに、同じその花の花粉をつけること、または同一株の異なる花相互間で行う交配のことをいう。

自家不和合性(じかふわごうせい)

不和合性(ふわごうせい)を参照。

直まき(じかまき)

タネを花壇などに直接まく方法。移植を嫌う直根性植物などに用いられる。

師管(しかん)

植物の維管束組織のうち師部にある、葉で生成された有機養分の通路のこと。

四季咲き性(しきざきせい)

特定の開花期がなく、年間に何回も繰り返して咲く性質のこと。冬は低温のため、戸外ではほとんど咲かない。

四季なり性(しきなりせい)

その植物本来の開花時期以外であっても、開花・結実する性質のこと。生産の観点からは、周年栽培が可能という利点がある。

敷きワラ(しきわら)

乾燥や雑草、泥はねを防ぐために、株元や畝の上に広くワラを敷くことをいう。

自根苗(じこんなえ)

接ぎ木苗の項目を参照。

糸状菌(しじょうきん)

かびのことをいう。糸状の菌子体を形成する病原菌で、フザリウム・バーティシリウム・ピシウム菌などがあり、これによる代表的な病気として萎凋病、半身萎凋病、苗立枯病などがある。

自殖弱勢(じしょくじゃくせい)

自殖を繰り返すと、色々な性質はよく揃うようになるが、トウモロコシ・アブラナ科・セリ科・ユリ科・そ菜などは、草勢がたいそう弱まる。この現象を自殖弱勢という。

雌ずい(しずい)

雌しべのこと。

自生(じせい)

人工的に植え付けたものでなく、自然に初めからその場所に生えていること。ただし、外国の植物が日本で勝手に生えている場合は、日本の自生植物とはいわない(帰化植物)。

施設園芸(しせつえんげい)

ビニールハウスやガラス室などの施設で、野菜や花を作る農業を施設園芸という。近年は、昼夜の気温・湿度・Co2濃度・地温などの制御や、換気や潅水などを機械化して自動化するなど、施設の充実が進められている。

自然交雑種(しぜんこうざつしゅ)

人工的に交配してつくり出したものではなく、自然に他の種類や品種の花粉がついて生じた植物のこと。

下根(したね)

ユリの場合で球根の下から出る根のことで、植物体を支える太い根をいう。

支柱(しちゅう)

株が倒れないよう、また枝や蔓(つる)を思うように配置するために用いるものを支柱という。細竹やパイプが使われているが、キュウリや草花では網も用いられる。

湿害(しつがい)

排水不良なところでは、土壌中の酸素が乏しく、根の呼吸が阻害されることで作物の生育が著しく低下する。対策として、畝を高くすることや、排水溝の整備、サブソイラー、暗渠の埋設などがある。

指定産地(していさんち)

野菜の価格安定のため、指定消費地域に対する指定野菜の計画的安定供給を目的として定められた生産地のことである。
指定野菜の種類、その作付面積と生産・出荷量が決められており、産地に対しては最低価格が保証される。

指定野菜(していやさい)

農林水産省が、野菜生産出荷安定法および野菜生産出荷安定法施行令によって定めた野菜。指定されている品目は、国民生活において相対的に消費量が多い、キャベツ、キュウリ、サトイモ、ダイコン、トマト、ナス、ニンジン、ネギ、ハクサイ、ピーマン、レタス、ホウレンソウ、タマネギ、バレイショ(ジャガイモ)の14種である(2022年現在)。

地ばい栽培(じばいさいばい)

つる性の野菜(カボチャなど)を育てる際、支柱につるを誘引するのではなく、地面にはわせる栽培方法のこと。

ジベレリン処理(じべれりんしょり)

植物ホルモンの一種であるジベレリンを、生長調節物質として農業に利用すること。具体的な用途は、茎の伸長促進、開花調節、発芽促進などである。

ジベレリン

植物の生長を促進する作用をもった植物ホルモンの一種で、シクラメンなどはこの薬品によって開花を早めることができる。

子房(しぼう)

雌しべの一部で、花柱の下に接して肥大した部分。下端は花床上に付着し、中に胚珠を含む。受精後、種子を入れる果実となる。

子房柄(しぼうへい)

特にラッカセイにおいて、花が枯れた後に土の中に入っていくところ。この先端が地中でふくらみ、種子が入った莢になる。

しみ腐病(しみぐされびょう)

ニンジンの根に発生する土壌病害。症状は、初め根面に水浸状の小斑点が現れ、やがて径3~5mmの円形または長円形の褐色水浸状となり、病斑中央に縦の亀裂を生じる。収穫時に被害根が混入すると、輸送中に被害が進み、市場病害として問題になることがある。主にピシウム菌が原因とされているが、フザリウム菌など諸説あり、根部に現れる病斑を総称してしみ症と呼ばれている。対策として、根の肥大時期に排水をよくすることが重要とされる。

遮光(しゃこう)

光を遮ること。植物の栽培上で使う意味は、直射日光を遮るために、ネットやよしずなどで覆いをすること。

遮光栽培(しゃこうさいばい)

短日処理で開花期を調節したり、強光線を一定の程度に遮(さえぎ)るために日除けをしたりする栽培をいう。シェード栽培ともいう。また、遮光栽培に用いる資材を遮光資材という。遮光ネット・寒冷紗・よしずなど。

遮光資材(しゃこうしざい)

遮光栽培に用いる資材を遮光資材という。遮光ネット、寒冷紗、よしず、など。

雌雄異花(しゆういか)

葉を含む枝全体。園芸では、木の根元や株元から長くのび出た若枝をいう。

雌雄異株(しゆういかぶ)

雄花と雌花とが異なる株に生ずるもので、アスパラガス・ホウレンソウ・イチョウなど、その例は少ない。なお、ウリ科の植物のように雌花と雄花とが1株上に生ずるものを雌雄同株という。

集散花序(しゅうさんかじょ)

花のつき方および花のついた枝全体を花序という。集散花序とは、花が上(頂花)から下に向かって咲き進むもの。

十字花植物(じゅうじかしょくぶつ)

アブラナ科植物など、4枚の花弁が十字に見えるもののこと。

集団選抜法(しゅうだんせんばつほう)

品種の一株一株に性質の違いがある場合、その内から目的の性質を現している株を集め、それらの間で交雑させてできたタネを育て、前年に選んだ性質がどのように現れているかを調べる。このやり方を繰り返して、目的とする性質を持つ株に揃える。このような改良の方法を集団選抜法という。

シュート

葉を含む枝全体。園芸では、木の根元や株元から長くのび出た若枝をいう。

周年栽培(しゅうねんさいばい)

作型の組み合わせを工夫するなどして、ある一つの品目を一年中栽培すること。

秀品率(しゅうひんりつ)

全体収量の中で良品が占める割合。

就眠運動(しゅうみんうんどう)

植物の日周期運動の一つ。葉が夜間に閉じたり下垂したりする運動などをいう。昼夜運動。

収量漸減の法則(しゅうりょうぜんげんのほうそく)

施用する肥料を増やすと収量が多くなるが、施用量と収量とは平行して増加しない。次第に収量の増加が少なくなり、ついにはもはや収量が増えない点、すなわち最高収量に達する。このように収量増加が、施肥量の増加に伴わないで次第に少なくなることを、収量漸減の法則といい、収穫逓減(しゅうかくていげん)の法則ともいう。

重力水(じゅうりょくすい)

地上に溜まっている水、地下に浸透する水、地下水などのように、重力によって土の粒子間を自由に移動する水をいう。

樹冠(じゅかん)

樹木の枝や葉によってつくられる冠状に茂っている部分。種によって一定の特徴のある形状を呈するのが一般的。

種間雑種(しゅかんざっしゅ)

優良品種を育成するためには、異種属と交雑させること(種間交雑)によって有用遺伝子を導入して、これまでの種内交雑育種では期待できなかった有用形質を持つ品種を育成する。

主根(しゅこん)

種子から発生した幼根が伸長したもの。双子葉植物では主根が旺盛に伸長し、主根の側面からは細い側根が分岐している。一方、単子葉植物では主根と側根の区別がつかず、多数の不定根が発生する(ひげ根)。

主枝(主茎)(しゅし)

双葉の間から出た最初の枝が伸長して、株の中心となったもの。つる性の植物では親づるという。

種子(しゅし)

種子植物において、子房内にある胚珠が受精し、成熟したものをいう。

種子系(しゅしけい)

タネから育てる系統のこと。実生系(みしょうけい)ともいう。

種子消毒(しゅししょうどく)

安全に発芽・生育させる目的で、薬品や温湯・乾熱などによりタネの殺菌をすることをいう。

種子伝染(しゅしでんせん)

病原体に汚染された種子から病気が発生すること。

種子休眠(しゅしきゅうみん)

完熟した種子が、発芽に適した環境下であっても発芽しない状態になっていること。成熟に伴い自然に誘導される休眠を「一次休眠」と呼び、発芽を妨げる何らかの要因で誘発される休眠は「二次休眠」と呼ばれる。

種子繁殖(しゅしはんしょく)

野菜や草花の多くは、タネによって殖やす。このようにタネによって殖やすことを種子繁殖という。樹木や花木は普通、接ぎ木や挿し木によって殖やすが、これを栄養繁殖という。

樹勢(じゅせい)

木の勢いのこと。おう盛に育っているものを「樹勢がよい」と表現する。

受精(じゅせい)

卵子と精子が融合すること。高等植物では、花粉が雌しべの柱頭につく(受粉)と発芽して花粉管を伸ばし、中の精核が卵細胞内の雌性核と融合する(受精)ことによって行われる。

宿根草(しゅっこんそう)

根が土中で生き続けるので、長年株が残り、毎年開花するような草花を宿根草という。これにはキク・カーネーション・ハナショウブなどたくさんの種類がある。一般には多年草とも呼ばれる。

種皮(しゅひ)

珠皮が変化したもので、種子を囲んでいる皮状の部分。

種苗法(しゅびょうほう)

農林水産業の発展のため、品種の育成の振興、および種苗の流通の適正化を図ることを目的に、主に新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制などについて定めている法律。2020年、登録品種の海外への持ち出しや自家増殖の制限を盛り込んだ改正がなされた。

受粉(じゅふん)

花粉を雌しべの頭につけることをいう。人手でつけることを人工受粉(じんこうじゅふん)といい、風や虫が媒介となって受粉することを、それぞれ風媒(ふうばい)受粉、虫媒(ちゅうばい)受粉という。

授粉樹(じゅふんじゅ)

自分の花粉では結実しない花に結実させるため、花粉を与える木。主に果樹栽培で用いる。

シュロ紐(シュロひも)

ヤシ科の常緑高木シュロの幹を包む毛をより合わせてつくったヒモ。

順化(じゅんか)

植物が気象条件などに適応し、体質が変化する現象。養生中の育苗を外気温に適応させること(馴化)。

純系(じゅんけい)

作物の品種や系統で、更に自家受粉や近親交配を続けると、形質は一層揃ってくる。このような系統を純系という。品種改良の過程として重要である。純系は草勢が弱まる場合が多い。

子葉(しよう)

植物の生長過程において、はじめに形成される葉のこと。被子植物のうち、単子葉類は1枚、双子葉類は一般的に2枚の子葉を出す。

条間(じょうかん)

タネのまき条とまき条、または苗の植え条と植え条の間の間隔。狭すぎると軟弱徒長しやすく、広すぎると本数が入らず収量が上がらない。

蒸散(じょうさん)

体内の水分を、主として葉から水蒸気として体外に出すこと。

硝酸化成作用(しょうさんかせいさよう)

アンモニアが亜硝酸に、そしてさらに硝酸に変化するのを硝酸化成作用という。この作用は好気的な条件下で、亜硝酸菌と硝酸菌の働きで起こる。

硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)

肥料の窒素には三つの形態があり、そのうちの一つが硝酸態窒素である。この形態で植物に吸収されやすいが、水に溶けやすく、土にほとんど吸着されないので、流亡しやすい。

消石灰(しょうせっかい)

石灰質肥料の一つ。生石灰に水を加えたもので、水酸化カルシウムが主成分である。

焼土法(しょうどほう・やきつちほう)

土の中の病害虫をとり除く手段の一つ。100℃くらいで10分間、かき混ぜながら熱し、後にコモをかけるなどして、4~5時間、60~70℃に保つ。オートクレーブという高圧反応釜を用いる場合もある。

醸熱材料(じょうねつざいりょう)

苗床に必要な温度を与えるため、床の底に有機物を詰め込み、その腐敗発酵によって生ずる熱を利用する。この場合の有機物を醸熱材料といい、稲ワラが最も多く用いられる。

商品化率(しょうひんかりつ)

収穫される作物のうち、販売されるものの割合をいう。

常命種子(じょうめいしゅし)

寿命(発芽力を維持している期間)が2~3年の種子。

小葉(しょうよう)

葉身が2枚以上に分かれた複葉において、個々の葉を小葉と呼ぶ。

照葉樹(しょうようじゅ)

カシ、シイ、ツバキなど、葉の幅が広く、日光を受けやすい形になっている常緑広葉樹で、亜熱帯から暖温帯にかけて広く分布している。

常緑(じょうりょく)

植物が1年中緑色の葉をつけていること。または、1年中地上部が枯れずに残っていること。

省力栽培(しょうりょくさいばい)

機械化や共同化など何らかの手段方法によって、従来よりも労力を少なくするか、不要にするような栽培法をいう。

植生(しょくせい)

ある場所に生育している植物の集団。荒原、草原、森林などはその例。

植物生長調節剤(しょくぶつせいちょうちょうせつざい)

植物の生育(伸長、開花、結実など)に対して作用する物質を含む、作物の生育調節に用いられる薬剤。

初生葉(しょせいよう)

ダイズなどで、子葉の展開後、本葉に先んじて出る葉。

除草剤(じょそうざい)

雑草を防ぐ目的で使用する薬剤をいう。除草労力の節減に大きく役立っている。選択性のトレファノサイドや非選択性のラウンドアップなどがあり、利用にあたっては対象となる作物や雑草の種類に応じた選択が必要となる。

除雄(じょゆう)

花の雄性器官の機能を除く操作。果菜類を中心としたF  採種では欠かせない操作である。

尻腐病(しりぐされびょう)

トマトの果実に発生する病害で、幼果の先端部に黒色のくぼみができ、商品価値をなくしてしまう。これは病原菌が原因ではなく、乾燥などによる石灰の欠乏によるもので、生理障害だといわれている。

白絹病(しろきぬびょう)

植物の病害。菌類の白絹病菌の感染による。根や地際部の茎が腐敗し、その表面を灰白色の病原菌の菌糸が網状におおう。ナスの白絹病など。

シンクイムシ

ハイマダラノメイガという蛾の幼虫のことで、発芽後まもない小苗に生みつけられた卵からふ化して、小苗の芯(生長点の部位)を食い荒す。

深耕(しんこう)

深く耕す作業のこと。それによって土壌の物理的性質や化学的性質を改善し、それに伴う土中微生物の活動をよくすることで、耕土の生産力を高める。
この作業は冬季に行って、土塊を風化させることが好ましい。

人工種子(じんこうしゅし)

受精によらないで、植物のカルス(植物の一部を切り取り植物ホルモンを含む培地上で培養した時にできる未分化の細胞塊)から不定胚(タネの中にある胚に似た器官で、将来芽や根になる生長点が備わり遺伝的にも安定している)を大量生産して、それをゼリー状のカプセルに封入したタネで、天然のタネと同様に圃場にまき、正常な植物体を得ることができる。

人工授粉(じんこうじゅふん)

人の手を介して行われる受粉(花粉が雌しべの先端に付着すること)。自然状態では受粉しにくい場合や、育種を目的とする場合などで行われる。

人工繁殖(じんこうはんしょく)

いろいろな方法によって、自然のままでは不可能・不十分な繁殖を助長することをいう。例えば、ユリのりん片繁殖やその他組織培養などによる増殖をいう。

新梢(しんしょう)

新しく伸び出た枝のこと。1年枝、1年生枝と同じ。

深層施肥(しんそうせひ)

肥料を施す位置も施肥効率を上げるうえで大切なことであり、表層施肥・全層施肥・深層施肥の方法がある。深層施肥は50~70cmの深さの深溝やタコツボを堀り、土中深く施肥する方式で、労力を要するが根群を深く導き、生育後期まで草勢を保つことができる。

心土(しんど)

耕土(こうど)に続く下層を心土といい、耕運(耘)・施肥などの栽培操作に直接関係を持たないが、心土の適否は生育や作柄に大きく影響する。

浸透移行性(しんとういこうせい)

主に殺虫剤で使われる用語。散布したり、根元に施した薬剤が葉や根からしみ込んで、植物の体の各部に移っていく性質のこと。農薬が害虫に直接かからなくても、食害すると殺虫効果が得られる。一般に効き目が長く保てる。

唇弁(しんべん)

左右対称の花の花冠の中でくちびる状に見える花弁や裂片のこと。スミレの仲間やシソ、ランなどの仲間で見られる。

針葉樹(しんようじゅ)

アカマツ、クロマツ、スギ、ヒノキなど、細い針状~鱗片状のかたい葉をもつ樹木で、温帯から寒帯にかけて広く分布している。

親和性(しんわせい)

果菜類などで接ぎ木栽培を行う場合、台木の種類により活着後も順調に生育し良好な結実をする組合せを親和といい、活着しないか、あるいは活着しても異常発育を呈し実用価値のない組合せを不親和という。
また、二つの品種なり種類なりを交配し、受精して発芽力のあるタネができる場合、この二つの間には交配親和性があるという。

す行

髄(ずい)

植物の茎や根の中心部に見られる、環状に並んだ維管束で囲まれた部分。

水耕(すいこう)

養液栽培の代表的な方法で、ベッドの表層または根鉢だけに培材を用いて根を液中に伸ばす方法。根に対する養液の供給と酸素の補給が重要となる。

吸込性(すいこみせい)

ダイコンなどで主根の肩部分が、土の中に入る性質。

水生植物(すいせいしょくぶつ)

池や川、湖沼などの水中や水辺に生育する植物の総称。

水溶性りん酸(すいようせいりんさん)

りん酸一石灰(CaH4P2O8)・りん酸アンモニウム(NH4)H2PO4・りん酸カリウム(KH2PO4)などのように、水に溶ける形のりん酸をいう。過りん酸石灰やりん安系の肥料のりん酸はこの形態の成分を含んでいる。

す入り(すいり)

ダイコンやカブの根身の中におきる異常の一種で、内部の細胞がだめになり、そのために空洞ができる。これをす入りという。収穫が遅れた場合や、何かの障害で肥大が停滞した場合に起こりやすい。

水和剤(すいわざい)

農薬のうち、水や油類に溶けにくい有効成分は水和剤として実用に供する。粉状であるが、水に入れると壁土を水で溶かしたような濁った液となる。これをこん濁液と称し、噴霧器などで散布する。殺菌剤に多く見られる。

条植え(すじうえ)

苗を列状に植える植え方をいう。

条腐病(すじぐされびょう)

トマトの果実に発生する生理病。果皮近くの導管が褐変し硬くなるもので、光線不足や栄養過多の場合に発生が多い。

条まき(すじまき)

タネまきの方法として、適当な間隔の条をつくり、この条にまきつけるやり方をいう。

ストロン

ほふく枝のこと。茎全体が地を這うように伸びて、節ごとに根を下ろしているもの。

スプリンクラー

噴口が回りながら散水するように工夫された潅水装置で、噴口のついた立ちあがりパイプを送水管で連結して使用する。

スプレー咲き

バラ・キク・カーネーションなどの切り花は、普通、中心の一花のみを咲かせ、周辺の蕾は取り除くが、これらをそのまま開花させて切り花に利用するものをスプレー咲きという。蕾かきが省略でき、賑やかに咲いて盛り花などに適している。

素焼き鉢(すやきばち)

陶器(とうき)は表面にうわ薬を塗って焼きあげるが、うわ薬を塗らないで焼きあげるのを素焼き(すやき)といい、植物を育てるのに適している。うわ薬を塗った鉢よりも通気性がよい。

ずらし

苗を本畑に定植する場合、植え傷みを少なくする目的で、苗を掘りあげず、苗床内で土とともに、その位置を少しずつ移動させる作業をいう。また外温が低いとか、その他の事情で定植ができないため、一時、苗の生育をおさえる目的で、この作業を行うこともある。

せ行

生育因子(せいいくいんし)

作物の生育に必要な条件は、肥料、水、空気、温度などたくさんあり、このような条件を生育因子という。このほか、遺伝学では、生育を支配する遺伝因子のことを生育因子といったが、近年はこれを生育遺伝子といっている。

整枝(せいし)

枝や蔓の数を適当に制限したり、またその配置を図って作柄をよくすることを整枝という。

生殖生長(せいしょくせいちょう)

栄養生長(えいようせいちょう)に対する言葉で、発蕾・開花・結実など生殖に関係する生育過程のこと。

整地(せいち)

作物の植え付けや、タネまきの準備として、まず、あら起こしをするが、この作業を耕起(こうき)という。この次に、土塊を破砕(はさい)し、高低をならし、畝をこしらえる作業、これを整地という。

生長調節剤(せいちょうちょうせつざい)

植物の生長を左右する効果を持つ薬品で、生長の抑制や促進に使用される。植物ホルモンとも呼ばれる。これにはMH-30・エスレル・ビーナインなど多くの種類があり、用途も一様ではない。

生長点(せいちょうてん)

植物の茎および根の先端にあって、もっぱら細胞分裂が行われる部分。

生物農薬(せいぶつのうやく)

病害虫の防除に用いるために、天敵昆虫や微生物を生きたまま製品化したもの。

西洋芝(せいようしば)

日本産のノシバやコウライシバと異なり、タネをまいて作る外国産のシバで、年中緑を保って美しいが、高温・多湿に弱く管理が難しい。ケンタッキーブルーグラスやベントグラスなど多くの種類があり、ゴルフ場や競技場でよく用いられている。

生理障害(せいりしょうがい)

根の養分吸収機能阻害や養分の欠乏・過剰によって発生する障害をいう。カルシウム(Ca)欠によるトマト果実の尻腐れやハクサイの芯腐れ・縁腐れ、マグネシウム(Mg)欠によるトマトの下葉のクロロシス、ホウソ(B)欠などがある。

生理的酸性肥料(せいりてきさんせいひりょう)

硫安・硫酸加里・塩化加里などの反応は中性であるが、土に施してアンモニアやカリウムが作物に吸収されると、土の反応が酸性に傾く。このような肥料を生理的酸性肥料という。

積算温度(せきさんおんど)

毎日の平均気温を合計したものを積算温度という。例えば、スイカの果実の成熟には一定の日数がかかるが、日数よりもむしろ毎日の気温の累積が重要であり、それは800~1,000℃とみられている。つまり快晴が続いた場合、日数は少なくても累計がこのぐらいの積算になれば成熟に達するとみられている。このように積算温度は作物の栽培の多くの場面に共通した重要な意味をもつ。

石灰欠乏症(せっかいけつぼうしょう)

乾燥や、土壌中に存在する他の成分との拮抗作用により石灰吸収が妨げられた時に発生する。トマト・ピーマンの尻腐れ、キャベツ・ハクサイの縁腐れが代表的。

石灰窒素(せっかいちっそ)

カルシウムシアナミド(CaCN2)・酸化カルシウム・炭素からなる窒素肥料の一つである。カルシウムシアナミドは土の中でまずシアナミドとなり、尿素を経て、次にアンモニアに化成されるが、カルシウムシアナミドそのものは植物に有害なので、元肥や土壌消毒を兼ねて施用されることが多く、施用時には作物にかからないように注意する必要がある。

石灰肥料(せっかいひりょう)

炭カルなど、石灰成分が主体で、その補給に用いられる肥料をいう。作物の生育に必要な成分として施用すると同時に、土の酸性を中和する目的で施用する。

節間(せっかん)

葉が茎に着生する部分を節といい、隣り合わせの節と節の間のことを節間という。

セックスリバース

性転換のこと。雌雄異株植物では、受粉が行われないと、本来雌花のみをつける雌株に雄花が咲き、受粉を行うものがある。

接種(せっしゅ)

微生物・培養細菌・ウイルス・ワクチンなどを、培地・生物体などに植え付けること。

雪中栽培(せっちゅうさいばい)

積雪までに生育を進めておき、積雪の下で冬期間における生鮮野菜の確保手段として栽培することをいう。キャベツ・ニンジン・ホウレンソウが代表的な野菜。

施肥(せひ)

作物に肥料を与える作業をいう。

施肥量(せひりょう)

作物の栽培にあたり、施用する肥料の分量を施肥量という。施用する成分の割合と、その各々の量や施用する時期は栽培上きわめて大切であるから、これをどのようにして求めるかは、十分に理解しなければならない。
施肥量=(所要要素量-天然供給量)÷肥料成分の吸収率
なお最近は前作の残存肥料が問題となっており、これらを念頭においた施肥設計が大切である。

セル成型育苗(セルせいけいいくびょう)

数センチ以内に区分けして成型された容器に専用培土を使用して育苗する方法。セル育苗、プラグ育苗とも呼ばれる。規格された苗の大量一括生産に適している。移植・定植時の取扱いが容易であり、輸送性がある。また省力・機械化が図りやすい。根巻きを生じやすいため、適期の移植や定植が大切。

セル形成苗(セルせいけいなえ)

セルトレイと呼ばれる育苗容器で育てられた苗のこと。

セルトレイ

「セル(cell)」と呼ばれる小さな穴状の育苗用小型容器を連結させたトレイ。

セル培土(セルばいど)

園芸用培土の中でもやや粒子が細かく、セルのような小さい容器に均一に入り、発芽した苗を均一に生育させる培土。作業性にすぐれ、有害な病菌や雑草の種子が混入しておらず、土壌のpH(酸度)が調整され、肥料が含まれた培土。

染色体(せんしょくたい)

遺伝情報を担う生体物質で細胞の核の中にあり、塩基性の色素でよく染色されることからこの名が付けられた。遺伝子の集合体として、親から子へ伝える役割を持つ。

全層施肥(ぜんそうせひ)

肥料を畑の下層まで全体に行き渡らせるやり方を全層施肥という。

選択吸収の作用(せんたくきゅうしゅうのさよう)

作物は根の周囲にある各種の養分のうち、生育に必要なものだけを多量に吸収するが必ずしも一様ではない。これを選択吸収の作用という。

選択性除草剤(せんたくせいじょそうざい)

例えばイネ科の植物は殺さないが、広葉の植物は枯死させるなど、特定の植物に限って毒性を発揮する除草剤のこと。

センチュウ

英名をネマトーダといい、作物の根、特に新根の先端を侵し、なかでもネコブセンチュウは根に小さいこぶを作り、作物に激しい被害を及ぼす。

剪定(せんてい)

目的に適した枝を残し、不要の枝を切り取ったり、折りつめたりする作業を剪定という。

全面散布法(ぜんめんさんぷほう)

畝の全面なり、畑の全面に散布する施肥のやり方をいう。

腺毛(せんもう)

植物の表皮細胞から生じた単細胞または多細胞の毛で、多くは先端が球状に膨らみ、その中に分泌物を含むもの。花の蜜腺の毛、食虫植物の消化液を分泌する毛などがある。

そ行

ソイルブロック

練り床育苗の方法で作った用土を一定の大きさの立方体に整形したものをいう。播種・育苗用に用いる。

草姿(そうし)

草型とも言い換えられるが、立性や開張性など、それぞれ固有の特徴を示し、特に商品性や収量に関係の深い形質である。

増収率(ぞうしゅうりつ)

標準の肥料による収量に対して、他の肥料による収量を比べた数値をいい、肥効率(ひこうりつ)ともいう。栽培方法などの効果を比較する場合にも用いる。

早熟栽培(そうじゅくさいばい)

栽培の型の一つで、育苗だけを温床で行い、トンネルや露地へ植え付ける栽培をいう。

草勢(そうせい)

茎葉の伸長する勢力のことで、野菜や花の作りやすさに関係する。

早晩性(そうばんせい)

ある品種の収穫までに要する栽培期間の長さを示す分類。大まかには、栽培期間の短いものから、早生、中生、晩生の順になる。

草本性(そうほんせい)

草としての性質。

草木灰(そうもくばい)

草や木を燃やしてつくった有機質肥料。速効的で、特に花や実をつけるのに重要なリンサン・カリ分が多く含まれる。石灰分も含むため、酸度矯正効果もある。

属(ぞく)

18世紀半ばスウェーデンの博物学者リンネが提唱した動植物分類に基礎をおく生物の自然分類法における段階のひとつ。種の上、科の下の段階。(門・綱・目・科・属・種)。

側芽(そくが)

茎の側面につく芽のこと。種子植物では葉腋につくので、腋芽ともいう。

側枝(そくし)

「わき枝」のこと。幹や茎から直接出る枝を一次側枝、一次側枝から出る枝を二次側枝と区分することもある。

促成栽培(そくせいさいばい)

収穫の前進をねらって、育苗から収穫の終わるまでハウスあるいは温室で栽培する方法をいう。特別な温暖地は加温しないが、それ以外の地域では加温する。出荷は冬の終わりないし、春早くから始まる。

速成積肥(そくせいつみごえ)

ワラ類に石灰水・硫安・下肥・石灰窒素などをかけてワラの腐敗発酵を促し、短期間のうちにうまや肥に近いものを作りあげる。これを速成積肥または速成堆肥(そくせいたいひ)という。

蔬菜(そさい)

かつては、副食用の栽培植物(作物)をこのように呼び、栽培されていない(野生のもの)ものを野菜と呼び区別していたが、今日では野菜と全く同義の言葉として扱われている。

組織培養(そしきばいよう)

生物体から無菌的に組織片を取り出して、ガラス器内の人工培地上で増殖させること。
植物では実際にラン・ユリ・イチゴなどの大量増殖に用いられている。

組織培養苗(そしきばいようなえ)

健全な親株の一部(脇芽など)を用い、組織を培養して増殖させ、鉢あげして作った苗のことを組織培養苗という。また、茎頂組織を培養して作ったものをメリクロン苗といい、ウイルスフリー苗が得られるため重要な技術である。

粗植(そしょく)

単位面積当たりの栽植本数を一般的な基準より少なめにすること。

速効性肥料(そっこうせいひりょう)

効き方の速い肥料を速効性肥料という。例えば硫安や尿素などがある。1回に多量を施すと障害(肥やけ)が発生するので、分けて施すよう注意が必要。

側根(そっこん)

茎に連なる主軸である主根に対し、その側面に生じる細い根を側根という。

外芽(そとめ)

何本もの枝からなる株の、外側に向いて出ている芽のこと。

た行

台刈り(だいがり)

地上茎を地際部より切り取って、残った地上部や地下部の芽の生育を促すこと。

耐寒性(たいかんせい)

低い気温に耐えて生育する性質を耐寒性という。

台木(だいき)

植物を接ぎ木する場合、根部に当たるものを台木という。例えば、スイカの双葉苗をユウガオの双葉苗に挿し込んで接ぎ木すると、根はつる割病(つるわれびょう)に侵されないし、地上の蔓には目的のスイカが実る。この場合のユウガオを台木といい、スイカを穂木(ほぎ)という。
なお、果樹などは病害防止の目的ではなく、品種の形質を正しく保持する苗木をつくる目的で、それぞれ必要な台木に接ぎ木する。

胎座(たいざ)

植物の子房内で、胚珠がついている部分のこと。

耐暑性(たいしょせい)

高温条件下であっても、生育障害が生じにくい性質のこと。温暖化が進む現代において、重要さが増している性質である。

堆肥(たいひ)

ワラ・落ち葉・その他植物有機物を微生物の働きで腐らせたものを堆肥と呼び、畑に混和して用いる。植物の生育に有効な多くの微量要素を含むが、単なる肥料成分のみでなく、土壌の物理性をよくし、土壌微生物の働きを高める、栽培上欠かせないものである。積肥(つみごえ)ともいう。

耐病性(たいびょうせい)

多くの病害について、作物の品種間で抵抗性のあるものと、さほどないものがある。抵抗性のあるものを耐病性と呼ぶ。

太陽熱消毒(たいようねつしょうどく)

夏季の栽培休閑期のハウスで、太陽熱を利用して土壌消毒と有機物施用の併用効果を得る方法。稲ワラなどの粗大有機物と石灰窒素を施用し、その畝間に水を溜めて古ビニールで覆い、ハウスを昼夜密閉状態にして20~30日間高温処理する。

駄温鉢(だおんばち)

一般的に流通している鉢。1000℃で焼かれた陶器の鉢で、縁に釉薬が塗ってある。素焼き鉢と比べて、強度はあるが排水性はやや劣る。

高畝(たかうね)

耕土を高く盛り上げてつくる畝のこと。排水性がよくなるので、水はけが悪い、あるいは耕土が浅い圃場に向いた立て方である。高畝に対し、土地を整地するだけで立てた畝を、平畝という。

他家受粉(たかじゅふん)

ある株の花粉が、別株の雌しべに受粉すること。

高接ぎ(たかつぎ)

台木の高い位置で穂木を接ぐ、接ぎ木の方法のひとつ。さまざまな理由で、低い位置に枝を必要としない場合、太く丈の高い台木を別に用意し、その頂端部分に穂木を接ぐ。棚仕立てにしたフジやスタンダード仕立てのバラがこれにあたる。

高芽(たかめ)

洋ランのデンドロビュームは、本来花がつくべきところが、環境や栽培状態で葉芽に変わり小さなバルブができ、根も出てくることがある。この芽を「高芽」と呼ぶ。環境や栽培状態で、芽が花芽になるか、葉芽になるかは、デンドロビュームに限らず起こる。

抱き畝(だきうね)

2本の畝を合わせたような形の畝を抱き畝という。

托葉(たくよう)

葉の基部近くの茎あるいは葉柄に生ずる器官のこと。

立ち性(たちせい)

枝や茎が上に伸びる性質のこと。

田土(たつち)

荒木田土とも言う水田の土。沖積土で粘性があり、病害虫が少なく、保水、保肥力に優れ基本用土としてよく使用される。

脱窒現象(だっちつげんしょう)

植物に吸収されなかった硝酸は、浸透水とともに土中から流失するが、一部は脱窒菌の作用で窒素ガスになり、地上に出てしまう。これを脱窒現象という。また、稲ワラなど生の有機物を多量に投入する時に、腐敗を促すため石灰窒素を施すが、多量の窒素を要するので不足を起こす場合がある。これも脱窒現象である。

多肉果(たにくか)

トマトやみかんのように果実のうち、果皮が液質または多肉質のもののこと。湿果、液果ともいう。

多肉植物(たにくしょくぶつ)

観葉植物のうち、葉や茎の肥厚していることが特徴となっているものをいう。リュウゼツランやアロエなどがその一例である。

タネなしスイカ

作物の染色体の数は、普通二倍体である。スイカの生長点にコルヒチンをつけると、それから伸びる蔓は染色体が倍加されて四倍体になる。この四倍体と二倍体とを交雑すると三倍体ができる。この三倍体を育て結実させると、タネが正常に発育しないため、果実はできてもその中にタネのないスイカができる。
この理論によって改良されたスイカをタネなしスイカという。

多年草(たねんそう)

長年にわたって生育し、開花結実する草本植物をいう。球根類も広義では多年草に属するが、一応分けられている。多年草のうち低温に強く露地で越冬するキク・オダマキ・ミヤコワスレなどは、冬季地上部は枯死しても、地下部の根・地下茎などで越冬して、再び芽を出す宿根草である。

タバココナジラミ

ナス・トマト・キュウリなど多くの作物を加害する害虫である。吸汁によって作物を枯死させたり、トマト黄化葉巻病などの植物病原ウィルスを媒介する。多くのタイプが存在し、日本には在来系統の他、1989年に海外からの侵入が確認されたバイオタイプB、2005年に侵入が確認されたバイオタイプQが存在する。バイオタイプQは多くの殺虫剤に抵抗性を示すため、問題になっている。

単為結果(たんいけっか)

受精しなくても果実ができることをいう。普通はタネなしとなる。
単為結果には二種類あり、花粉やそれにかわる物質の刺激によって、受精せずに結果するものを他動的単為結果といい、受粉やその他の刺激なしに結果するものを自動的単為結果(キュウリ・バナナ・イチジク・ブドウ)という。

短果枝(たんかし)

花芽や果実をつける枝を結果枝というが、伸長の度合いによって、短果枝、中果枝、長果枝などに分けられる。結果枝の長いものほど葉芽の割合が多いので、充実した短果枝あるいは中果枝を多く発生させることが大切である。

短花柱花(たんかちゅうか)

ナスは生育が衰えると雌しべが短くなる。この花を短花柱花といい、受精しにくいので、たいてい落花してしまう。

断根(だんこん)

苗の周りにナイフなどを入れ根を切断する作業をいう。これによって、新根を多く発生させ、植え傷みを少なくする。(ずらし)

炭酸ガス施肥(たんさんガスせひ)

気密性の高い施設では、日の出後、作物の光合成が始まるとともに室内は炭酸ガス不足になる。この炭酸ガス不足を回避し、さらに最適濃度まで炭酸ガスを与えて植物の生長を活発化し、生育の増進・収量の増大・品質の向上を図ることをいう。晴天日は1,000~1500ppm、曇天日は500~1,000ppmがよい。なお、大気中の炭酸ガスは300ppmである。

炭酸同化作用(たんさんどうかさよう)

空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して、光のエネルギーと葉緑素の働きで、いろいろな物質が植物体内に合成されること。

短日(性)植物(たんじつ(せい)しょくぶつ)

一定時間以上の暗期をもつ光周期(光を周期的に受ける時、その明期と暗期の組合せをいう)が与えられないと開花しない植物。暗期が明期より長いとは限らない。(長日(性)植物・ちょうじつ(せい)しょくぶつ)

短日処理(たんじつしょり)

短日の条件(暗期を長くする)を与えることで、短日植物の開花を早めたり、キュウリの節成性を高める、などの目的で使用する。

単子葉植物(たんしようしょくぶつ)

種子植物中、被子植物の二大群の一つ。特徴としては、発芽時の子葉が1枚、葉脈は一般に平行で、茎の維管束は不規則に散在、花の各器官は主として3またはその倍数。イネ科・ユリ科・ラン科などの草本類がその大部分を占めるが、タケ、ヤシなど高木状になるものもある。←→双子葉植物。

単性花(たんせいか)

不完全花(ふかんぜんか)と同意語。1花中に雌しべか雄しべのどれか一方だけしかない花。

炭そ病(たんそびょう)

葉・茎・果実に、それほど小さくない黒い病斑をつくり枯死させる病害で、発生すると被害の進行はかなり速い。

炭素率(たんそりつ)

有機物中の炭素量を窒素量で割ったものでC / N率ともいう。温床の踏み込みは適当な発熱がその要点であり、それに大切なのが踏み込む材料の炭素率である。C / N率が30ぐらいのときに発熱が適度だとされている。

暖地(だんち)

野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、四国、九州の大部分および関東、東海、中国の一部分を指す。年の平均気温が15~18℃の地域である。

単肥(たんぴ)

硫安や過りん酸石灰などのように、肥料成分を一つしか含んでいない肥料をいう。

短命種子(たんめいしゅし)

寿命(発芽力を維持している期間)が1~2年と、比較的短い種子。

単粒構造(たんりゅうこうぞう)

土壌粒子が結合または集合しておらず、一つ一つがバラバラの状態のときを単粒構造という。
砂や粘土は、単粒構造である。

団粒構造(だんりゅうこうぞう)

土の粒子が集合したものを団粒といい、団粒でできている土の状態を団粒構造という。保水性・通気性・排水性を兼ね備えており、植物栽培上好ましい土壌状態である。

ち行

地下茎(ちかけい)

球根のうちの一種で、地下の茎が肥大して球を作っているもの。例えばジンジャー・カンナなどの球根をいう。竹のように地中に伸びている茎も地下茎という。

遅効性肥料(ちこうせいひりょう)

効き方の遅い肥料をいう。例えば油粕・魚粕・骨粉などがある。1回にかなり多く施しても害がない。

窒素(ちっそ、N)

植物の肥料成分として最も重要なものの一つで、植物体の主要な物質を構成する元素である。窒素が不足すると作物は小型になり、葉は黄色を帯びて子実の収量も低下する。一方、過多の場合は、葉は濃緑となり軟弱徒長して病虫害を受けやすく成熟も遅れる。

千鳥植え(ちどりうえ)

作物の植え付け方の一つで、2条以上の条に対し、互い違いに(千鳥模様に)植え付ける方法。

着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)

樹上や石上に付着して生活する植物の総称。寄生植物とは異なり、養分をその相手からは摂取しない。セッコク、ノキシノブの類。樹上植物。

着花(果)習性(ちゃっかしゅうせい)

枝や蔓に花が着生する状態は、種類や品種に固有の遺伝的な性質であり、この性質を着花(果)習性という。

着莢(ちゃっきょう)

主にダイズやインゲンなどの豆類において、莢がつくこと。

中央卸売市場(ちゅうおうおろしうりしじょう)

中央卸売市場法に基づいて設立されたもので、東京都・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市・福岡市などの他、全国の主要都市に設置されている。荷受け会社といわれている専門会社が、都・市が提供する用地と建物とを使って、生産地から農産物や水産物を集荷し、委託の形式でこれを仲買人なり小売人に販売する組織体で構成している。

中間地(ちゅうかんち)

気候区分において「温暖地」に当たる地域。年平均気温の目安は12~15℃である。

中耕(ちゅうこう)

栽培中、畝の表層が硬くなるため、通気性をよくする目的で浅く耕す作業のこと。除草と同時に行うことが多く、この場合、中耕除草という。

中国野菜(ちゅうごくやさい)

中国より導入された野菜で、代表的なものとして、チンゲンサイ(青軸パクチョイ)・タアサイ(搨菜)・ツルムラサキ(蔓紫)・サイシン(菜心)・キンサイ(芹菜)・べニマルダイコン(紅丸大根)・コウシンダイコン(紅心大根)などがある。

抽根(ちゅうこん)

ダイコンなどにおいて、根部が地上に露出する性質。

中山間地域(ちゅうさんかんちいき)

山間地およびその周辺の地域で、地理的条件が悪いこともあり、農業には必ずしも向いていない。一方で日本の中間山地における農業は、全国の耕地面積・総農家数の約4割に上る。

沖積土(ちゅうせきど)

河水が運搬して漸次沈積して生じた沖積平野や、デルタあるいは海岸平野の低地に分布する土壌。土壌としては十分に熟成していないため、母材の性質がそのまま土壌の性質を規定する。

抽苔(ちゅうだい)

気温や日長などにより花茎(かけい:花をつけた茎)が伸びだすことを抽苔という。また、とう立ちともいう。

柱頭(ちゅうとう)

雌しべの先端にある、花粉が付着する箇所のこと。

頂芽(ちょうが)

茎や枝、幹の最先端にある芽のこと。通常は他の芽よりも優先して早く芽吹き、長い枝をつくる。そのため、丈が高くなり枝が広がる。

長花柱花(ちょうかちゅうか)

株によって花柱の長さが異なる異形花柱性の植物において、雄しべよりも柱頭の位置が高いところにある花のことをいう。⇔短花柱花

頂花蕾(ちょうからい)

株の先端に形成される花蕾。主にブロッコリーで食用とされる部分。

長日(性)植物(ちょうじつ(せい)しょくぶつ)

日長の長くなってくる時期に花芽を作る植物。1日のうち光の当たる時間が一定時間より長くならなければ花芽を作らないものをいう。代表的なものにホウレンソウがある。

長日処理(ちょうじつしょり)

植物のなかには昼間の長さが、ある一定の長さより長くなると花芽をつけるものがある。その性質を利用して、夜間に人工照明を行い開花を早めることを、長日処理といい、またこの栽培方法を電照栽培という。

長命種子(ちょうめいしゅし)

寿命(発芽力を維持している期間)が比較的長く、5~6年以上に及ぶ種子。

直播(ちょくは)

じかまきともいう。直接畑にタネをまくことをいう。直播栽培はそのまま育てて収穫するやり方で、移植(栽培)(いしょく(さいばい))と対応する方法として使われる。

直根(ちょっこん)

細かく分かれた根が少なく、まっすぐ下に伸びている太く長い根のこと。この根をもつ植物は移植困難。

直根性(ちょっこんせい)

植物体の真下に根が伸長していく性質のこと。ニンジンやダイコンは、この伸びた根が肥大し可食部になる。

つ行

追熟(ついじゅく)

果実を樹上ではなく、バナナやアボカドのように収穫してから熟させること。野菜類ではほかにトマトやカボチャ、メロン、サツマイモなどが追熟する。

追肥(ついひ)

作物の生育期間中に肥料を施すこと。肥料の種類や量、施肥の回数や時期は、作物の種類・気候・土壌・生育状況により異なるが、一般には速効性肥料を用いる。

接ぎ木(つぎき)

地上部となる穂木とは別に、異なった品種または品目の台木を用意し、つなぎ合わせて一体化させること。特にトマトやナス、キュウリなどの果菜類においては、病害を防いだり、収量を上げたりするのに重要な手法である。

接ぎ木栽培(つぎきさいばい)

寒さや病気に強くするため、あるいは生育を強くして収量を増やすことを目的に、病気に強く生育旺盛な台木を利用して接ぎ木を行い栽培すること。トマト・ナス・スイカ・キュウリなどで、広く行われている。

接ぎ木親和性(つぎきしんわせい)

接ぎ木を行うにあたっての、台木と穂木の相性のよさ。接ぎ木親和性が高いと、接着部の組織が癒合し、うまく結合する。

接ぎ木装置(ロボット)(つぎきそうち)

果菜類の接ぎ木において、穂木・台木を切断から接合まで自動的にできる装置。接ぎ木人員の不足から苗業者中心に全自動だけでなく半自動接ぎ木装置も普及している。

接ぎ木苗(つぎきなえ)

接ぎ木を行って育てた苗のこと。対義語として、タネからそのまま育てた苗である実生苗(自根苗)がある。

接ぎ木養生装置(つぎきようじょうそうち)

果菜類のウリ科・ナス科の幼苗接ぎ木後に適切な温度・湿度の環境を与え活着率を向上させることができる装置。温度・湿度・光が一定に設定できるため、大量の接ぎ木生産が可能になる。

辻成り(つじなり)

スイカにおいて時に10節前後に着果することがあり、この果実を辻成りという。たいてい奇形あるいは空洞果で、一般に15~20節以上に着果したものでないと正常果とならない。

土寄せ(つちよせ)

作物の株元に土を寄せる作業をいう。一般には株元を保護するために軽く行うが、根深ネギの軟白部は、特に深い土寄せで作られる。

蕾授粉(つぼみじゅふん)

自家不和合性系統における自殖のタネを得るための手段(不和合性・ふわごうせい)参照。ピンセットで、蕾の時に授粉することをいう。

蔓おろし(つるおろし)

キュウリ栽培の作業の一つで、蔓の伸びた分だけ蔓を引き下げ、管理しやすい高さにする。

つる枯病(つるがれびょう)

キャンカーともいわれ、ウリ類に被害を及ぼす。多湿の時に、蔓の根元が侵され赤褐色の液をにじませ、ついには萎れて枯死する。糸状菌による病害。

蔓ぼけ(つるぼけ)

スイカ・メロン・カボチャなど、蔓もの野菜の場合、蔓や葉が茂りすぎて開花や着果が妨げられる状態を、蔓ぼけ現象という。

蔓もち(つるもち)

スイカ・メロン・カボチャなど、蔓もの野菜の場合、栽培後半期の生育の強さを示す用語で、後半期に生育や果実の発育が弱まるものは、蔓もちが悪いといい、反対に元気な状態を持続するものは、これを蔓もちがよいという。

つる割病(つるわれびょう)

フザリウム菌によるウリ類の重要な土壌病害の一つで、葉が萎れ黄化し、やがて枯死する。防除はカボチャ・カンピョウなど耐病性をもつ台木に接ぎ木することで防ぐことができる。

て行

DNAマーカー育種(ディー・エヌ・エーマーカーいくしゅ)

ゲノム上における有用遺伝子の存在の目印となるDNA配列を「DNAマーカー」と呼び、その目印を用いることで従来よりも品種選抜の大幅な効率化を図ることができる。このようにDNAマーカーを活用した育種方法を、DNAマーカー育種という。

T / R率(ティーアールりつ)

植物の地上部(Top)と、地下部(Root)の重さの割合をパーセンテージで示したもの(地上部重/地下部重)。根の生育状況を見るための指標の一つ。

低温処理(ていおんしょり)

生育に何らかの制御を加えるために、植物を低温下に置くこと。単に生長を抑え、貯蔵する目的で低温下に置くことは、低温貯蔵と呼ばれる。

低温伸長性(ていおんしんちょうせい)

ある程度の低温であっても、正常に生育する性質をいう。さらに広義には、単に蔓や葉の生育だけでなく、着果や果実の肥大をも含めて、この用語を用いる場合がある。また温度が低いだけでなく、太陽光線の少ない状態を伴っている場合もしばしばである。
省略して低温性と呼ぶ場合もある。省エネの見地から、重要な性質である。

抵抗性品種(ていこうせいひんしゅ)

病害に対して抵抗性をもっている品種。「真性抵抗性(true resistance)」、「圃場抵抗性(field resistance)」の2種類が存在する。前者は特定の病原菌に感染しないもの、後者は圃場条件において病原菌の増殖を抑えることで被害を軽減するものである。野菜の分野では前者を抵抗性、後者を耐病性(tolerance)と称している。

定植(ていしょく)

ポット苗などを本圃に植えるなど、植え替えのうち最終の作業をいう。

底面潅水(ていめんかんすい)

花などを鉢植えにした場合、鉢の底から吸水させるのを底面潅水といい、潅水の労力を節減するのに役立つ。底面給水(ていめんきゅうすい)ともいう。

摘芯(てきしん)

枝や蔓の先端を芯(しん)といい、これを摘み取ることを摘芯という。夏栽培に用いるキュウリの品種は、蔓に着生する花の数が少ないので、最初に伸び出す蔓(これを親蔓という)の芯を早めに摘み取って、わき芽の伸びとその数の増加を図る。

摘葉(てきよう)

葉を摘み取る作業をいう。葉は葉齢によって幼葉・成葉・老葉に大別できる。生育に役立っているのはもっぱら成葉であって、幼葉は養分の供給を受けて生育し、老葉はすでに同化力を失い病害の誘発源となっている。
したがって、老葉や病葉を摘み取ることはもちろん、場合に応じて成葉の一部をも摘除して、通風・採光を図ることは大切な作業である。

摘蕾(てきらい)

蕾のうちに摘んでしまうこと。小さな苗や弱った株をおう盛に育てるために、すべての蕾を摘み取る方法と、花や果実を大きくするために、いくつかの蕾を残して摘み取る方法がある。

摘花(てっか)

花を摘み取る作業を摘花といい、その目的は多すぎる数を制限するなど、いろいろである。
果樹では隔年結実しやすいものがあり、摘花(果)をすることによって緩和を図ったりする。

摘果(てっか)

1株に、あるいは1ヵ所に成らせる果実の数には限度がある。多い場合は、果実が幼く小さい間に摘み捨てて、残した適当数の果実の発育を図る。この作業を摘果という。

適期栽培(てっきさいばい)

栽培の時期や方法が自然の気象に合っている場合、これを適期栽培という。例えば、トマトでは春から夏にかけてタネまきから収穫の全部を済ませる栽培が適期栽培であり、苗床で育苗してできるだけ早く植え付けるのが露地早熟栽培、さらに育苗を早めてトンネルの中へ植え付けるのがトンネル栽培である。また、ハクサイを9月の上旬にまくのは適期栽培であり、1月に温床で育苗し2月にトンネル内に植え付けるのはトンネル早出し栽培である。普通栽培ともいう。

天挿し(てんざし)

挿し木のうち、枝先を用いるものを天挿しという。なお、枝先でなく枝の途中を用いることを茎挿し(くきざし)という。

電照栽培(でんしょうさいばい)

植物の開花や生育は、日長(にっちょう)─日の出から日没までの長さ(植物が感じるのは夜の長さ)─に左右されるものが多い。人工の照明で日長を変えて開花や生育を調整する栽培を電照栽培という。電照栽培でキクの開花を遅らせたり、イチゴの生育を促進させたりする。

テンションメーター

土壌の湿度(水分)を検出する機器。

天地返し(てんちがえし)

耕土(こうど)が年々の作付けなどによって老朽化した場合、これを下層の心土(しんど)と入れかえて、耕土の生産力を取り戻す作業をいう。

展着剤(てんちゃくざい)

使用する殺菌剤や殺虫剤の散布効果を高める目的で添加する薬剤をいい、主剤の成分と反応しないこと、付着性に優れ、薬害の懸念が少ないことなどが大切である。

天敵(てんてき)

害虫を侵す自然界の外敵を天敵という。天敵を保護・増殖させると害虫の被害を軽減させることができる。

電熱温床(でんねつおんしょう)

被覆した電熱線を苗床の土の下に引き並べ、これに電流を通して苗床を加温する。このやり方の温床を電熱温床という。

天然養分供給(てんねんようぶんきょうきゅう)

作物は肥料を施さなくてもある程度生育する。これは、土中にいくらかの養分が含まれているからで、この養分を天然養分といい、それが作物に吸収されることを天然養分供給という。

点まき(てんまき)

タネまきの方法の一つ。くわなどで小幅の溝、または小穴を作り、一定の間隔を設け、点々と数粒ずつタネをまく方法。

と行

登熟(とうじゅく)

スイカ・メロンなどが肥大を完了したのち、果肉の色や味、肉質が次第によくなり、完全に熟する過程をいう。

とう立ち

花を着生する茎が伸び出すことをとう立ち(とうだち)といい、これを抽苔(ちゅうだい)ともいう。温度や日長がその大きい要因になっている。

登録品種(とうろくひんしゅ)

法令により、米麦・野菜・花き・果樹・飼料などに適用される品種登録制度に採用された品種のこと。
新規性とそれら形質の均一性・持続性を強く求められ、登録の有効期間は基本的に25年、果樹・観賞樹などの永年植物では30年で、その間品種登録者の許諾なしに他の者が販売などをすることはできない。

床土(とこつち)

苗を育てるために使用する土で、保水性・通気性・排水性のよいことが大切。無病の土に堆肥や肥料を用いて作る。

土壌改良(どじょうかいりょう)

花壇や庭の土に堆肥や腐葉土、パーライト、石灰などを混ぜ込み、土の状態をよくするために行う作業。

土壌酸度(どじょうさんど)

土壌の酸性度のことで、酸性の強さの単位であるpHで示される。野菜の多くは弱酸性~中性の土壌を好むが、日本は降水量が多いなどの理由で土壌が酸性化しやすい環境にあるため、石灰質肥料の施用など、土壌改良が欠かせない。

土壌障害(どじょうしょうがい)

栽培する作物にとって不適当な塩類濃度や、未熟堆肥の施用による有害ガスの発生など、土壌が原因で起こる発芽や生育の障害のこと。

土壌消毒(どじょうしょうどく)

土壌中の病原菌や害虫による作物の被害を防ぐため、土壌を蒸気熱・太陽熱または化学薬剤で消毒すること。

土性(どせい)

土を構成する砂と粘土の割合による分類を土性といい、粘土含量により次の5種類に区別されている。砂土(12.5%以下)、砂壌土(さじょうど、12.5~25%)、壌土(じょうど、25~37.5%)、埴壌土(しょくじょうど、37.5~50%)、埴土(しょくど、50%以上)。

徒長(とちょう)

チッ素や水分過多、日照不足などで、植物の茎や枝が通常以上にやわらかく長く伸びること。

徒長枝(とちょうし)

樹木において、勢いよく、長く伸びる枝。あまり花芽を付けず、樹形の乱れも招くため、早めに剪定するのが基本。

突然変異(とつぜんへんい)

ある集団の大多数の形質と異なる形質を持つようになり、それが遺伝する現象。遺伝子が変わって起こる遺伝子突然変異、染色体の異常でおこる染色体突然変異などがある。

トピアリー

樹木などの装飾的な刈り込み法のこと。球形や方形、らせん形などの幾何学模様や、リス、クマ、シカなどの動物をかたどることもある。庭の添景物。

トラフ

Troughとは元来、家畜のかいば桶や水槽のことだが、園芸上では、石やコンクリートを加工して作られた栽培容器を指す。

取り蒔き(とりまき)

採取した種子をそのまますぐにまくこと。

トレリス

ついたて状のもので、格子柄が一般的。植物を誘引して壁面を装飾するために用いる。

トンネル栽培(トンネルさいばい)

露地・早熟栽培における低温期の保温、ガラス室・ハウス内の保温で用いられる。二重トンネルにしたり、マルチングやべたがけなどと併用すると、保温効果が高くなる。

な行

内婚弱勢(ないこんじゃくせい)

たとえば、ダイコンやキャベツなどのように他家受粉を常態としている植物は、形質の近似したものばかりの採種を繰り返してゆくと、次第に生育の力が衰える。この現象を内婚弱勢という。

苗立枯病(なえたちがれびょう)

地際部の茎が侵されて枯死する病害で、多くの作物が害される。ピシウム菌とリゾクトニア菌が原因となる場合が多く、幼苗期に多発する。

苗床(なえどこ)

苗を育てる場のこと。ふつう、草花はタネをまいて、出てきたごく小さな苗を苗床に移植して、ある程度大きく育ててから鉢や花壇に定植する。

苗の馴化処理(なえのじゅんかしょり)

温床でつくられた苗の植え傷みを少なくする目的の作業で、植え付け予定の5日ぐらい前から床の中の苗を外気にならすためビニールを取り外し、日光や風に直接当てる。はじめは日中の少しの時間とし、次第にその時間を長くして、最後は昼夜ともビニールを全開する。

苗物(なえもの)

草花や野菜の苗などをポット栽培し市場出荷する場合、これを苗物という。

中生(なかて)

作物の早晩性のうち、栽培期間が早生と晩生の間くらいの品種。

夏ぼけ(なつぼけ)

夏の高温に傷められ、生育や収穫の調子を悪くする現象を夏ぼけ、または夏ばてという。
ナスやトマト、その他夏野菜にしばしばみられるので、これらには耐暑性に優れた品種が要求される。

軟化(なんか)

作物の細胞が酵素などの働きで変質し、果肉がやわらかくなってしまうこと。

軟弱野菜(なんじゃくやさい)

ホウレンソウ・シュンギク・ミツバなど、日持ちが悪く輸送性に乏しい野菜のことで、消費地に近い都市近郊で栽培されることが多い。

軟白(なんぱく)

土を寄せたり、紙を巻きつけたり、そのほか日光を遮断することによって、茎葉の緑色化を防ぎ白色に仕上げる作業をいう。根深ネギ・セルリーなどがこの一例。

軟腐病(なんぷびょう)

ハクサイ・ダイコン・ネギなどに被害を及ぼす細菌性病害で、どろどろに軟化し強い悪臭を出す。土から伝染し、はじめ地際から侵される場合が多く、高温多湿であるほど発生しやすい。連作を避け、排水・通風を図ることで発生を抑える。農薬は銅水和剤・マイシン系のものが効果が高い。

に行

二重鉢(にじゅうばち)

植物が植わっている鉢を、鉢のままそれより大きな鉢に入れ、その間に詰め物をすること。鉢土の温度を高すぎたり低すぎたりしないように保ちたい場合や、鉢土を乾きにくくする場合に行う。詰め物の種類や扱い方は、その場合によって異なる。

ニジュウヤホシテントウムシ

この害虫は成虫・幼虫ともに加害する咀嚼口(そしゃくこう)をもった甲虫の一種で、成虫は半球形、羽に大小28個の黒点がある。ナス科作物に被害をもたらす。

日射量(にっしゃりょう)

太陽光線の強さをカロリーで表すもので、太陽光線を直接計る直達日射量と、天空全体からの光を計る全天日射量とがある。農業上では後者で考えることが多い。

日長反応(にっちょうはんのう)

日の長さに対する植物の反応のことで、明期の長さ(植物が感じるのは暗期の長さ)によって、花芽分化(花のもとが作られること)や抽苔が左右されること。

二年草(にねんそう)

タネをまいてから満1年以上、2年以内に開花してすぐ枯れてしまう草花のこと。多くの二年草は一年目は葉をロゼット状にして冬を越し、二年目に開花する。環境により本来二年草であるものが一年草や多年草のような生活環を示す場合もある。

乳剤(にゅうざい)

農薬のうち、水に溶けないが油類にはよく溶ける有効成分は、乳剤として実用に供する。水で薄めると、ちょうど牛乳のような白濁した液が得られる。これを乳濁液と称し、噴霧器などを用いて散布する。乳剤は殺虫剤に例が多い。

尿素(にょうそ)

炭酸ガスとアンモニアを加圧・加熱して製造する肥料で、窒素46%を含むもの。田畑に施用する他、0.5%くらいの溶液として葉面に散布し、葉面から吸収されるのにも用いられる。

ぬ行

ね行

根傷み(ねいたみ)

肥料の過剰で、根が傷んでしまうこと。肥やけともいう。

根腐れ(ねぐされ)

植物栽培中に根が腐ること。根の腐る要因は多種多様であるが、どの場合も一応根腐れという。

ネコブセンチュウ

センチュウ(ネマトーダ)の一種。作物の根、特に先端に寄生し、こぶを多数作り、作物を弱らせる。

根こぶ病(ねこぶびょう)

土から伝染する病害の一つで、根にこぶを作り生育を妨害する。アブラナ科の野菜が侵されやすく、大きな問題となっている。

根挿し(ねざし)

根を切り取って、これを挿し木して繁殖すること。

根締め(ねじめ)

庭石や灯籠、庭の立木、鉢植えの木などの根の周り(足元)に植える小草。

ネダニ

ネギ・タマネギ・ニンニクなどの野菜や、ユリ・スイセン・チューリップなどのユリ科植物に被害を及ぼす害虫。別名球根ダニともいう。

根付け肥(ねつけごえ)

植え付けた苗をうまく活着させて、早く調子よく生育させる目的で施す肥料を根付け肥という。たいてい定植の4~5日前に植え穴を作り、その上に施す。待ち肥、またスターターともいう。

熱帯性植物(ねったいせいしょくぶつ)

熱帯、つまり四季らしい季節の変化がなく、いつも高温のもとで育っている植物のこと。日本のたいていの地方では、防寒しないと育てるのは困難。

ネット栽培(ネットさいばい)

支柱の代わりにネットを張って倒伏を防ぐ。これをネット栽培という。

根詰まり(ねづまり)

鉢の中で植物の根が繁茂し過ぎ、生長に悪影響が出ること。

根鉢(ねばち)

鉢の中などで、植物の根と、根についた土壌の集まりのことをいう。

根張り(ねばり)

土中における作物の根の分布状態。一般的には根が土中に十分に広がっている方がよいとされる。

根伏せ(ねぶせ)

根挿し。挿し木の種類で、根を切り取って、これを挿し木して繁殖すること。

根巻き苗(ねまきなえ)

畑から掘り上げ、土のついた根をわらなどで巻いた苗のこと。鉢で育苗されるポット苗に対する言葉。

根回し(ねまわし)

植え傷みを少なくする手法のひとつ。掘り上げる予定の根の直径および深さにあらかじめ根を切っておき、切り口近くから新しい根を出させておいて、移植したときの植え傷みを軽減する。長年植わっていた大きな木の移植に際して行う。

稔性(ねんせい)

受粉してタネができることを、稔性があるという。

粘土(ねんど)

土の粒子のうち、径が0.01mm以下のものを粘土という。

の行

濃度障害(のうどしょうがい)

殺虫剤や肥料などの濃度が高すぎたために生じる障害。根や葉が傷み生育不良や枯れる原因となる。

農薬取締法(のうやくとりしまりほう)

農薬の登録制度や、販売および使用の規制について定めた法律。農薬の安全性や品質、その安全かつ適切な使用の確保を図ることが目的である。

農林水産省登録品種(のうりんすいさんしょうとうろくひんしゅ)

種苗法に基づき、農林水産省に登録が行われた品種。品種登録がなされると、育成者は該当品種について、一定の権利を認められる。

は行

バーク堆肥(バークたいひ)

木材の皮や切りくずなどを発酵させて作った堆肥で、野菜や花の栽培に利用される。

パーゴラ

植物を誘引して立体的に仕立てるために用いる。基本構成は柱と梁で、柱はつる性植物を固定し、梁は這い上がってきた植物を横に広げるために必要。

バーティシリウム黒点病(バーティシリウムこくてんびょう)

バーティシリウム菌によるダイコンの土壌病害。主な症状は、根部の維管束の黒変で商品価値を著しく損なうが、外観的には健全株と見分けがつきにくく注意が必要である。冷涼地での発生が主で、対策としては被害残渣の除去、アブラナ科の連作回避、土壌消毒を行うなどが挙げられる。

バーナリゼーション

植物の春化、つまり花のもとをつくる段階を、人為的に経過させるために行う操作がバーナリゼーション(春化処理・しゅんかしょりともいう)で、その手段は低温にあわせる方法が普通である。低温の程度とそれを与える期間や処理する植物の生育度は、種類や品種によって違い、グリーンプラント・バーナリ型シード・バーナリ型に大別される。

バーミキュライト

ひる石という鉱物を高温で発泡させることで、薄い板状に多層になったもの。軽くて保水性・通気性に優れ、用土の原料や覆土材として使用される。

パーライト

真珠岩という鉱物を高温で焼いて発泡させたもの。白色で軽い粗粒状の素材。多孔質で非常に軽く、通気性や排水性に優れる。用土の原料として使用される。

胚(珠) 培養(はい(しゅ)ばいよう)

種間・属間など縁の遠い植物間の交配では、雑種胚が発育を停止し、やがて枯死する場合がしばしばみられる。胚(珠)培養とは、雑種胚が枯死する前に、胚や胚珠を取り出し、人工培地上で培養し発芽させる技術をいう。カンランとハクサイの種間雑種のハクランは胚(珠)培養によって作られた。

灰色かび病(はいいろかびびょう)

この病害は高温多湿の時に発生しやすい。茎葉や花や果実に灰色のかびを生じて生育を害し、ときに大被害となる。ボトリチス菌による病害。

バイオテクノロジー

生物体およびその機能を効率的に活用する技術。通常、遺伝子組換え・細胞融合・組織培養技術の他、バイオリアクター技術(酵素や微生物の反応を効率的に行わせて物質を生産する技術)などを指す。また様々な関連技術がある。

バイカラーコーン

スイートコーンのスーパースイートタイプで、成熟期の粒色が黄色に30%程度の白い粒が混入する品種。

配合肥料(はいごうひりょう)

普通肥料を配合し、肥料の三要素のうち二成分以上を含み、合計量が15%以上を保証するもの。

胚軸(はいじく)

種子内にある胚のうち、子葉と幼根とを結んでいる軸の部分のこと。

倍数性育種(ばいすうせいいくしゅ)

染色体の数を倍加することによって新しい品種を育成する方法をいう。タネなしスイカを育成する上で行われる場合もある。

這い性(はいせい)

茎や枝が立ち上がらず、地表を這うように伸びていく性質。

胚乳(はいにゅう)

種子の中にある、胚を包んでいる組織。発芽時に養分を供給する役割をもつ。

培養液(ばいようえき)

生育に必要な成分の水溶液を生育のために使用する場合、この液を培養液という。水耕(すいこう)・磔耕(れきこう)・ロックウール栽培にはもちろんこれを用いる。

培養土(ばいようど)

植物を育てるときに使う土のこと。鹿沼土など自然の土を単体で使う場合もあるが、多くは赤玉土や腐葉土など、いろいろな土質の用土を混ぜて使う。水ゴケもその一つ。

ハウス育苗(ハウスいくびょう)

ハウス内で育苗することをいう。作業・保温性に優れ、ことに雨や風で妨げられず適期に作業ができる。

葉かび病(はかびびょう)

ハウスや温室栽培のトマトに多発する病害で、葉の裏面に灰白色粉状のかびを生じ、次第に灰褐色のかびとなる。主に施設栽培で問題となり、発生適温は20~25℃、多湿条件下で多発する。

葉枯病(はがれびょう)

種子伝染をする病害で、セルリーが侵されやすく、被害は下葉から若葉に及ぶ。

葉変わり(はがわり)

植物の一部の葉に生じた突然変異。

白斑病(はくはんびょう)

ハクサイに多発する病害で、葉に白い不整形の斑紋をつくる。

葉挿し(はざし)

葉を挿し穂に使う挿し芽のやり方。茎(枝)を葉に少しつけたままで挿す場合も「葉挿し」ということがあるが、厳密には葉だけ(葉柄は含む)を挿し穂にする。代表的な例として、レックス・ベゴニアやセントポーリアの繁殖に利用される。

播種(はしゅ)

タネをまくことを播種という。散まき(ばらまき)条まき(すじまき)、点まき(てんまき)の三方法があり、省力化のためシードテープやコーティング種子が利用される。

ハダニ(アカダニ)

吸収口をもった、針の先ほどの大きさの害虫で、葉の裏につきやすく、葉を黄変、脱落させる。乾燥すると特に発生しやすい。

鉢上げ(はちあげ)

苗床から鉢に移植すること。庭植えの木や草を鉢に移植する場合にも使われる言葉。

鉢育苗(はちいくびょう)

鉢を用いて、苗を育てることをいう。植え傷みを避ける利点があるが、時期を失して鉢の内壁に苗の根がはびこってしまうと、植え付けてからの生育がひどく遅れる。ポット育苗ともいう。

鉢増し(はちまし)

ひとまわり大きな鉢に植え替えること。

発芽(はつが)

種子内の幼芽や幼根が、種皮を破り外に出てくる状態。

発芽勢(はつがぜい)

タネは揃って一斉に発芽することが望ましい。この揃いの度合いを発芽勢という。

発芽適温(はつがてきおん)

植物のタネが発芽に好適な温度範囲のこと。植物によって異なるが、温帯から亜寒帯にかけて生育する植物の場合、15℃前後が目安になる。

発芽率(はつがりつ)

播種されたタネのうち発芽したタネの割合をいう。
つまり、発芽率=発芽数/播種数×100(%)で、この数値は高いほど望ましい。

発根促進剤(はっこんそくしんざい)

挿し木や取り木による繁殖の際、インドール酪酸5~20ppmやナフタレン酢酸50~100ppmの処理により発根促進を図ることができる。このような製剤を発根促進剤という。

初霜(はつしも)

晩秋または初冬の候、そのシーズン最初に降る霜のことをいい、毎年地域によってその時期は大きく変わらない。したがって、その地方の作物の作付時期を決める有効な条件の一つとなる。

花落ち(はなおち)

トマトをはじめとした果実で、花が落ちて間もない状態。

花がら(はながら)

咲き終わっても散らずに残っている枯れた花のこと。いつまでも残しておくと見苦しいだけでなく、病気を誘発することがある。タネを採取する場合を除き、「花がら」は早めに摘むことが鉄則。

花芽(はなめ)

発達すると、花になる芽のこと。<かが>

花芽分化(はなめぶんか)

植物の生長の過程において、花の各部分(花弁や雄しべ・雌しべなど)の基が形成されること。

葉水(はみず)

葉にかける水のこと。普通は霧吹きを用いるが、ジョウロで植物の頭から水をやる場合も「葉水」という。葉のまわりの空中湿度を高める効果がある。ハダニを防ぐのにも有効。

葉芽(はめ)

葉や枝(茎)の「もと」が入っている芽のこと。小さめで細い形をしている。

ハモグリバエ

幼虫が葉の表皮の内部を食害するハエの一種で、エンドウなどにその被害が多い。

散まき(ばらまき)

播種方法の一つで、苗床などの全面にタネを均一に散らばらせてまくことをいう。

春植え球根(はるうえきゅうこん)

耐寒性をもたないため、春に植え付ける球根のこと。カンナやダリアなどが該当する。

バルブ

一般には球根のこと。洋ランでは、養分や水分を蓄えるため葉がついている茎が大きくふくらんでいるものをいう。

春まき一年草(はるまきいちねんそう)

一年草のうち、耐寒性がないため春にタネをまくもの。

半枯病(はんがれびょう)

ナスだけを侵すフザリウム菌による土壌病害で、発病適温は地温28℃以上で高温乾燥の時に発生しやすい。初め下葉の葉柄付近から黄変し始め、しだいに主脈を境に葉の半分が黄変枯死する。黄変葉はしだいに上葉に及び、半身萎凋病のように萎れて垂れ下がることなく、下葉から落葉する。病株の茎を切断すると導管部が黄褐色に変色している。赤ナス台木の接ぎ木ナスにはほとんど発病が見られない。

ハンギングバスケット

草花を植えて、壁に掛けたりつるしたりするためのバスケット。

半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)

バーティシリウム菌による根から感染する病害で、トマト・ナスなどで発生する。生育途中から萎れて枯れる。連作地に多く発生するので連作は避け、土壌消毒が効果的。耐病性品種の選択や接ぎ木栽培で回避する。

半数体(はんすうたい:ハプロイド)

体細胞の染色体数が半数になっている植物体。花粉などの生殖細胞を人工培地上で培養することにより作られる。不稔(ふねん)の場合が多い。

晩霜(ばんそう)

晩春になってからの降霜を晩霜という。植え付けが済み、あるいはすでに生育を進めている時期なので、その被害は大きい。
冷え込み・快晴・無風の三つが降霜を誘う条件で、夜8時の気温が10℃以下だと翌朝はたいてい霜、12℃以下であれば70~80%の確率で霜が降りる。

半促成栽培(はんそくせいさいばい)

収穫の前進をねらった栽培で、加温をしないハウス栽培をいう。出荷期は促成栽培の出回りの後に続く。

晩抽性(ばんちゅうせい)

抽苔(ちゅうだい)の遅い性質のことで、品種差がある。葉根菜類の春まき栽培で特に問題となり、晩抽性の品種が求められる。

斑点病(はんてんびょう)

セルリーなどに多い病害で、高温多湿の時に発生しやすい。葉・葉柄・茎に黄緑色水浸状の斑点を生ずる。

半日陰(はんひかげ)

直射日光を受けるのではなく、また、日光をまったく受けないのでもない、日光が当たりながらも多少日陰になる状態をいう。木もれ日や寒冷紗を通した日光がそれにあたる。かなりあいまいな光の強さの表現だが、実用上はそれで十分なことが多い。

ひ行

pH(ピーエッチまたはピーエイチ)

溶液中の水素イオン濃度を常用対数で1~14に表したもの。土壌溶液のpHは植物の生育に大きな関わりを持つ。中性はpH7、酸性度が強まるにしたがって順次にpH6、pH5、pH4…、またアルカリ度が強まるにしたがって順次にpH8、pH9、pH10…のように表す。ペーハーとも読む。

ピートモス

寒冷な湿地帯で生育しているミズゴケが堆積し、分解して繊維状になったもの。保水性に優れ、用土の主原料として使われる。酸性が強いので注意が必要。

ピート

ミズゴケなどの植物有機物が、寒冷地の低湿地で長年月の間堆積し、褐変腐植化したもの。軽くて通気性、吸水性に富み、鉢花の栽培用土としてそのまま、あるいは他の土と混和して用いられる。酸性が強いので注意が必要。

ppm(ピーピーエム)

partspermillionの略。100万分のいくつかに当たるかを示す語。濃度・存在比率などを表すのに用いる。百万分率。

微気象(びきしょう)

地表や植物体の側などのように、限られた局部の気象を微気象といい、普通の気象観測では明らかにできない。

ひげ根(ひげね)

主根と側根の区別がつかず、多数の細い根がひげ状に生えているものを、ひげ根という。単子葉類の根の生え方である。

肥効(ひこう)

肥料を施したことによる効果をいう。

ひこばえ

樹木の切り株や根元から群がり生える若芽。

被子植物(ひししょくぶつ)

花を咲かせて種子をつくる種子植物のうち、種子の基となる胚珠が心皮によって包まれている植物。種子植物の大部分は、この被子植物である。

非選択性除草剤(ひせんたくせいじょそうざい)

どの植物も一様に枯らす性質の除草剤をいう(選択性除草剤)

肥培(ひばい)

肥料をやって作物を育てること。

被覆資材(ひふくしざい)

ベタがけやマルチング、ビニールハウスの内・外張りをはじめ、その他遮光、防虫、防風など、栽培において何らかの目的のために、覆いとして用いる資材のこと。

被覆肥料(ひふくひりょう)

水溶性肥料を硫黄や合成樹脂などの膜で被覆し、肥料の流出量や流出期間を調節したもので、被覆窒素・被覆複合肥料がこれにあたる。被覆資材の種類や膜の厚さにより流出量や流出期間が異なり、かなりの精度で作物の生育に合わせた肥効のコントロールができるものもある。

日向土(ひゅうがつち)

宮崎県日向地方に産する灰色の粒状多孔質土で、通気性に富むが保水力が無く乾燥しやすい。山野草や洋らん用土として使われる。中性土。

非有効水分(ひゆうこうすいぶん)

土中の水は、化合水・吸湿水・毛管水などいろいろの形で存在しているが、作物が直接利用するのは主に毛管水であり、これを有効水分といい、その他の形で存在する水を非有効水分という。

平床育苗(ひらどこいくびょう)

フレームの中に均一に土を入れて直接育苗する方法で、播種床・移植床として用いられる。

肥料(ひりょう)

植物の生長において、チッソ、リン酸、カリなど必要な養分を供給するための物質。含まれている養分の種類や、製造方法に応じてさまざまな種類がある。

肥料あたり(ひりょうあたり)

「肥料負け」「肥料障害」「こえ負け」ともいう。濃い肥料を施した場合に起こりやすく、障害が軽ければ、葉の先や縁が枯れる程度だが、ひどいときには株ごと枯れてしまう。

肥料三要素(ひりょうさんようそ)

作物の生育には十六の成分が必要とされているが、このうち主な成分は窒素(N)、りん酸(P)、加里(K)、の三成分であり、これを肥料三要素という。

肥料成分(ひりょうせいぶん)

肥料の中に含まれている化学成分をいう。

肥料反応(ひりょうはんのう)

肥料の効果は、成分とともにその反応に左右される。過りん酸石灰の水溶液は酸性反応を示し、硫安の水溶液は中性を示す。また、硫安を施用すると、土の反応が酸性を呈するようになる。このような水溶液の反応を肥料の化学的反応といい、施用した後の土の示す反応を生理的反応という。

肥料副成分(ひりょうふくせいぶん)

肥料の中に含まれている三要素以外の成分を副成分という。例えば、硫安の中の硫酸は硫安肥料の副成分である。どのような副成分を含んでいるかは、肥料選択上大切である。

微量要素(びりょうようそ)

鉄・マンガン・銅・亜鉛・ほう素・モリブデンなども三要素やカルシウム、苦土などと同じく必要な成分であるが、その必要量は微量である。このような成分を微量要素という。これらの成分が不足すると生育が悪くなる。

肥料四要素(ひりょうよんようそ)

作物の生育には16の成分が必要とされているが、このうち主な成分は窒素(N)、りん酸(P)、加里(K)、石灰(Ca)の4成分であり、これを肥料四要素という。

品種(ひんしゅ)

作物で種類の次に位するのが品種である。例えば、ダイコンやリンゴなどはともに作物の種類であり、みの早生はダイコンの品種、紅玉はリンゴの品種である。

品種改良(ひんしゅかいりょう)

栽培性を向上させたり、食味をよくしたりするために、目的に適う遺伝的特質をもつ新しい品種を育成すること。

品種登録(ひんしゅとうろく)

種苗法に基づき、一定の要件を満たした新品種を登録することで、育成者の権利保護(第三者による増殖の制限など)を図る制度。

ピンチ

ピンチングともいい、摘芯(てきしん)と同意語。

ピン接ぎ法(ピンつぎほう)

台木と穂木の胚軸や茎に直接ピンを押し込んで固定する接ぎ木法。ツギピンは径0.5mm、長さ15mmのセラミックのピンで断面は六角形。接ぎ木操作が容易で能率が上がり、ナス科・ウリ科すべてに接ぎ木可能。

ふ行

ファイトトロン

人工気象室ともいい、室内の温度・湿度・炭酸ガスなどの気象条件を任意に自動制御できる施設のうち、植物を対象とするものをいう。室はガラス室として自然光を用いるものと、暗室として人工光を使うものとがある。

ファイトプラズマ

イネ黄萎病・シュンギクてんぐ巣病などの病害を引き起こす細菌類に比較的近縁な病原微生物で、以前はマイコプラズマ様微生物(MLO)と呼ばれた。ヨコバイやウンカなど師管液を吸う昆虫によって媒介され、これら媒介昆虫の体内でも増殖する。

フィジー

カリフラワーの花蕾発育の後期に、高温・乾燥・栄養不良などで、花蕾の発育が十分に行われなかった場合、苞が発達して鳥の毛羽の生えたような状態になる。これをフィジーという。

フィラー

フラワーアレンジメントにおいて、小さな花の総称のこと。つなぎの役目をする。

斑入り(ふいり)

斑とは葉や花びら、茎、幹に出る、本来の色と異なる色のこと。植物に斑が出ている状態を「斑入り」という。実生で遺伝する場合もある。

フィルムコート種子(フィルムコートしゅし)

殺菌剤や着色剤を加えた水溶性ポリマー溶液で、タネに薄い被膜をコーティング処理したもの。発芽時の病害防除効果とともに、薬剤の飛散が極めて低いため、播種作業における安全性も高い。

風化(ふうか)

岩石は長年月の間に、温度・雨・流水・波・結氷などによって、次第に崩れて細かな粒子になると同時に、成分にも変化を起こして土になる。この現象を風化という。

風媒花(ふうばいか)

風で花粉が運ばれることで受粉する花。

フェロモン

動物の体内で作られ、体外に分泌、放出され同じ種類の動物に各種刺激反応を起こさせる物質のこと。昆虫でよく知られ、性フェロモン・集合フェロモンなどがあり、環境汚染のない新しい農薬として注目されている。現在ハスモンヨトウやコナガの防除にフェロモンが利用されている。

不完全花(ふかんぜんか)

雄花と雌花が、例えばキュウリやカボチャのように別々である場合、このような花を不完全花または単性花(たんせいか)という。

副花冠(ふくかかん)

ヒガンバナ科のスイセンの花には、のどの部分に濃黄色のさかずき形のものがついている。花冠そのものではなく、花冠のように見えるので副花冠という。

複合耐病性(ふくごうたいびょうせい)

二種以上の耐病性を持つことをいう。トマトの複合耐病性としては、半身萎凋病の他、萎凋病・タバコモザイクウイルス・葉かび病・条腐病・斑点病などの耐病性を兼ね備えた品種が発表されている。

複合肥料(ふくごうひりょう)

三大要素であるチッソ・リン酸・カリのうち、2成分以上を含んでいる肥料のこと。

覆土(ふくど)

タネをまいた上にかぶせる土を覆土という。トレイ育苗では一般的にバーミキュライト、畑では土と砂をまぜたものを用いることが多い。微細種子の場合は覆土をしないことがある。

複葉(ふくよう)

葉身が分かれておらず1枚だけの単葉に対し、2つ以上に分かれた葉身をもつ葉を複葉という。

覆輪(ふくりん)

葉や花びらに入る斑模様のひとつ。周囲に地の色とは異なる色が入るものをいう。

不耕起栽培(ふこうきさいばい)

水田や畑を耕さないまま、農作物を作付ける栽培方法。耕起しないことでの省力が図られるとともに、前作物の根が枯れた跡に根穴構造が残ることで排水性が向上し、団粒構造が維持されやすいとされる。米国では広く利用されている。国内でも行われている。

富士砂(ふじすな)

培養土の基質材料として用いられる田土や畑土の排水性を良好にするために混合される川砂の一種。火山に由来し、粒径が粗く、山野草の植え込みやロックガーデン用に使われる。

節成育苗(ふしなりいくびょう)

主にキュウリの育苗についての用語である。節成り、つまり雌花が節ごとに着生するか否かは、遺伝的な能力と育苗環境の二つによるが、短日処理(たんじつしょり)や低温によって、節成り苗を期待する育苗方法を節成育苗という。

節成性(ふしなりせい)

キュウリなどで、節ごとに着花結実する性質を節成性という。

腐植化作用(ふしょくかさよう)

土中の有機物が腐植に変化する働きをいう。

腐植質(ふしょくしつ)

土壌中において、主として微生物作用により動植物遺体が暗色ないし黒褐色の無定形の腐植質になる。これが土壌の物理性(通気性・透水性・水分保持量・力学的性質)、土壌微生物に大きく関与する。

不織布(ふしょくふ)

繊維を織ったり編んだりせずに、板状に加工したもの。農業においては保温や防虫のためのベタがけ資材などで利用される。

双葉(ふたば)

子葉のうち、一般的に2枚の葉を展開する双子葉類の子葉に使う呼称。

普通栽培(ふつうさいばい)

栽培の時期や、方法が自然の気象に合っている場合、これを普通栽培という。たとえば、トマトでは春から夏にかけてタネまきから収穫の全部を済ませる栽培が普通栽培であり、苗床で育苗して出来るだけ早く植え付けるのが露地早熟栽培、さらに育苗を早めてトンネルの中へ植え付けるのがトンネル栽培である。また、ハクサイを9月の上旬にまきつけるのは普通栽培であり、1月に温床で育苗し2月にトンネル内に植え付けるのはトンネル早出し栽培である。

ブッシュ状(ブッシュじょう)

丈低く株元から枝が密生して茂った状態。

物理的防除(ぶつりてきぼうじょ)

太陽熱による土壌消毒で病害虫を死滅させたり、被覆資材で害虫の侵入を防いだりと、農薬を用いずに、熱や光、あるいは障害物といった物理的手段を利用して行う防除方法。

ふところ枝

野菜では、ナス・ピーマンのように枝に開花結実させる作物では、内部に伸びた枝が混みすぎると日当たり不良となり同化作用が鈍るため、開花・結実がうまく進行しない。このような内部に伸びた枝をふところ枝という。これは放任しないで積極的に切除して、株全体の採光や通風をよくすべきである。

不稔(性)(ふねん(せい))

花粉や雌しべが正常でないため、受粉してもタネができない場合、これを不稔といい、この性質を不稔性という。

踏込温床(ふみこみおんしょう)

育苗床の作り方の一つで、ワラや落ち葉を醸熱材料(じょうねつざいりょう)として発熱させ、その熱を利用して床土を温め苗を育てる。

冬咲系(ふゆざきけい)

キンギョソウやスイートピー等、無加温のガラス室や温室で栽培して、冬~早春に出荷するのに適する系統をいう。冬の短日条件下でも開花する性質を持ったものである。

冬芽(ふゆめ)

植物の休眠の一形態。冬を越すために、芽をかたい鱗片で覆い、さらに、その表面をろう様物質(クチナシ)や樹脂(トチノキ)を分泌したり、毛を有したり(ヤナギ)して保護するものなどがある。

不溶性りん酸(ふようせいりんさん)

りん酸三石灰(Ca3P2O8)やりん灰石(Ca10P6O24F2)のように、水に溶けないりん酸をいう。

腐葉土(ふようど)

広葉樹の落ち葉が堆積して発酵分解され土状になったもの。保水性と通気性に富み他の用土と混合して使われる。弱酸性で多くの植物に適応する。

プライミング種子(プライミングしゅし)

塩類溶液に一定期間浸漬するなどの方法で、タネの内部生理を発芽直前の段階まで進めておいたもの。通常のタネに比べて斉一に発芽し、不良条件下でも発芽しやすい性質を持つ。トマト・タマネギ・ニンジンなどで実用化されている。「プライミング」は「呼び水」や「下準備」の意味。

ブラインド

分化した花芽が光線の不足などによって、その発育が悪く、完全な花にならない現象をブラインドといい、グラジオラスやアイリスなどは、栽培上、特にこの点について注意を要する。

プラグトレイ

プラグとはクサビの意味。小さい四角錐または円錐状に整形された連結ポットのことで、ピートモスなどの用土を入れて苗を育てる。

ブラシノステロイド

ブラシノライドとも呼ばれる植物ホルモンの一種でセイヨウナタネの花粉から抽出された。他の植物ホルモン類に比べ極微量で作用し、植物体全体の伸長生長や細胞分裂、増殖やタネの発芽などを促進する働きがある。

ブルームレス台木(ブルームレスだいき)

キュウリ用のカボチャ台木で接ぎ木することによって、果実の表面に出るブルーム(白い粉状のもの)の発生を抑え光沢をよくし、商品価値を高める。そのような台木品種として、スタークやエイブルがある。

フレーム

板やワラなどで周囲を囲み、上をビニールで覆い、その中で育苗したり冬の寒さから保護するのに用いるもので、太陽熱を入れやすくする。

フロアブル剤

水和剤と同じく溶剤に溶けにくい農薬の有効成分を微粉化し、これを水に高濃度で分散させた剤型。液状のため、水和剤に比べて薬液調整が容易で操作上も安全である。

ブロッキング

育苗の後期に、株間に包丁などで切れ目を入れて断根する作業をいう。(断根・だんこん)。苗の生育を一時的に鈍らせたり、苗の根張りをよくするために行われる。

ブロッチ

花びらに入る濃色の斑点。

不和合性(ふわごうせい)

不和合性とは、雌しべ、雄しべが共に健全でありながら受精しないことであり、自家受粉で受精しないことを自家不和合、他家受粉で受精しないものを交配不和合という。受精する場合は、それぞれ自家和合または交配和合という。これは遺伝する性質の一つで、キャベツ・ハクサイ・ダイコンなどの一代雑種はこの性質を利用して作られる。

分球(ぶんきゅう)

球根植物の繁殖の仕方で自然に数が増えること。その過程は鱗葉の基部にできた子球原基が肥大するもの(チューリップなど)や、発芽伸長した芽の基部が肥大するもの(グラジオラス)など、様々な形態がある。

分げつ(ぶんげつ)

植物の根元付近や切り株から伸びた新芽・側枝を「ひこばえ」と言うが、これが伸びて枝数が増えることを分げつと言う。

粉剤(ふんざい)

粉末の形で散布する農薬のことをいう。飛散しやすいので風のない時に散布する。また、播種・定植時に畝面に用いて害虫の駆除を図る場合も多い。

分枝性(ぶんしせい)

枝の発生の数や強さは栽培にも左右されるが、もともと遺伝的な性質であり、この性質を分枝性という。

へ行

閉鎖型苗生産システム(へいさがたなえせいさんシステム)

育苗期間全般において、苗を空気、水、温度などの人為的制御が可能である閉鎖環境下におき、生産を行うシステム。外部との接触が少ないことから季節や天候などの影響を受けにくく、病害虫による汚染リスクも減らせるというメリットがある。

平坦地(へいたんち)

傾斜度が一定未満の平坦な耕地。政府統計に用いられる定義では、田の場合は傾斜度が1 / 100(100mで1m上昇する地形的傾斜)未満、樹園地および畑の場合は傾斜度が8°(約7mで1m上昇する地形的傾斜)未満のところを平坦地という。

ベタ掛け資材(ベタがけしざい)

春まきニンジン、秋冬・春まきダイコン、春植えレタスなどに、保温・防霜・防風・防虫のため、べた掛けをする資材。軽くて通気性もよく、寒冷紗・タフベル・ワリフなどが使われる。これらべた掛け資材を利用した栽培を、べた掛け栽培と言う。

ベタがけ

保温や防霜、防虫などを行うため、圃場の作物を不織布や寒冷紗などの資材で覆うこと。作物に資材を直接被せる「じかがけ」と、支柱などで作物から資材を浮かせる「うきがけ」がある。

ベッド

温室栽培で、ベンチを設けないで、直接植え込む畝をベッドまたは地床(じどこ)という。

ヘテローシス

雑種強勢(ざっしゅきょうせい)の項を参照。

ベと病

ウリ科・アブラナ科の他、タマネギで被害の大きい病害である。気温20℃くらいで多湿の時に特に発生しやすい。葉に褐色の斑紋をつくる。ウリ科・アブラナ科では斑紋の形は葉脈を境に作られるので角ばっている。予防のためには、換気をして過湿を避け、マルチングや敷きワラで雨滴の撥ね上げを防ぐとよい。

ペレット種子(ペレットしゅし)

形状が不均一な種子や、微細な種子をまきやすくするため、粘土鉱物が主成分の粉体で包み、均一な球状に成形した種子。

変温管理(へんおんかんり)

温室やビニールハウスでの加温を行う栽培のうち、夜間の温度を一定温度で管理せず、作物の生理にあわせて、時間により設定温度を変えて管理することをいう。同化養分の移行をよくし、徒長を防ぐとともに暖房経費が節減できる。前夜半・後夜半の二段階制御が一般的である。

変温処理(へんおんしょり)

タネの発芽には適温が必要な一条件であるが、昼夜とも適温に保つよりも、夜間は低温にした方がよく発芽する。例えばナスの発芽適温は28℃くらいであるが、昼夜とも28℃に保たないで夜間は18℃くらいにすることで、発芽が一層良好となる。このような手段を変温処理という。

ベンチ

温室の中に地面から隔てて棚を設け、この上で鉢栽培、または枠に土を入れて栽培するやり方がある。この場合の棚をベンチという。

ほ行

苞(ほう)

葉の変形したもので、そのわきに咲く花を保護する。ハナミズキやブーゲンビレアで花弁のように見える部分。

膨圧(ぼうあつ)

細胞の内圧と外圧との差。植物細胞では、細胞壁が膨張に抵抗するため、数気圧から数十気圧にもなる。

萌芽(ほうが)

芽を吹くこと。芽生え。発芽。

訪花昆虫(ほうかこんちゅう)

ミツバチなどのように蜜や花粉を求めて花にやってくる昆虫。農業上では、ウリ類など雌雄異花性作物の授粉・着果や、アブラナ科野菜の採種などのポリネーターとして重要な役割を担う。

ほう芽抑制剤(ほうがよくせいざい)

芽の発生やその発育を抑える働きをする薬剤をいう。MH-30などがその例である。

ほう素欠乏(ほうそけつぼう)

ほう素の吸収が欠乏すると、芯止まりや、葉の中肋(ちゅうろく)の内側に褐色のあかぎれ状の組織ができ、生育を阻害する。これをほう素欠乏といい、アブラナ科の野菜やセルリーに起こりやすい。

防虫ネット(ぼうちゅうネット)

作物の上に被覆することで、害虫の侵入を防ぐネット。不織布より目は粗いが、風や霜、軽度の寒さよけにもなる。

放任栽培(ほうにんさいばい)

整枝などの、管理作業の手間をはぶいた栽培方法。

苞葉(ほうよう)

花序の中の部分にある葉の変形したもの。

ボカシ肥(ボカシごえ)

有機質肥料と(粘土や)微生物の力を借りて発酵させた肥料で、チッソ成分をアミノ酸態・核酸で供給する。材料の一例として、大豆混合粕20kg・米糠20kg・ナタネ粕20kg・魚粕20kg・骨粉20kg・発酵菌1~1.5kgを混合し、水分を25%に調整して発酵させる。特に発酵の過程でできるアミノ酸を作物に吸収させ、味・香り・色をよくさせる効果があると言われている。

穂木(ほぎ)

接ぎ木栽培における上部を担う植物体。逆に下部を担うものが台木である。

穂肥(ほごえ)

稲作などの出穂時に施用する追肥。籾の充実や収量増加が目的であるが、過剰の施用では食味や品質を低下させることがある。

ポジティブリスト制度(ポジティブリストせいど)

農薬・飼料添加物などの残留基準を見直し、基準が設定されていない農薬などが一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度。流通する農作物について、食品としての安全性を確保するために2003年の食品衛生法の改正により制定された。輸入品にも適用される。

圃場容水量(ほじょうようすいりょう)

降雨などにより土壌に十分な水が与えられた後、重力によって余分な水が排除され、下層への水の移行がほとんどなくなった時の土壌水分量。植物が生育している時の土壌の水分量はpF2前後。最小容水量(さいしょうようすいりょう)と同意語。
※pFとは、土壌に吸着されている水分を分離する力を表示する単位。数字が大きくなるほど含まれている水分が少ないことを表す。

保水力(ほすいりょく)

土中の水分を保持する能力をいう。

ポストハーベスト

「収穫された後の」という意味。従ってポストハーベスト農薬とは、収穫後の農作物に処理される農薬を言い、主に船便などによる長距離輸送や、長期間貯蔵される農作物での病害虫発生の防除が目的である。

ポット育苗(ポットいくびょう)

ポットを用いて、苗を育てることをいう。植え傷みを避ける利点があるが、時期を失してポットの内壁に苗の根がはびこってしまうと、植え付けてからの生育がひどく遅れる。

ポット

鉢やつぼなどの容器をポットという。園芸上は植木鉢の意味に用い、その原料からポリポットやピートポットなどという。

ボトニング

ボトニングとはカリフラワーの異常花蕾で、植物体がまだ十分に育っていないのに、低温にあって花芽分化を起こし、形の悪い小さい花蕾しかできないことをいい、春まき栽培で発生が多い。他にもリーフィーライシーなどがあり、いずれも播種期の誤りによる花芽分化や花蕾発育の不調によって起こる。これらはもちろん商品価値がない。ボトニング・リーフィーはブロッコリーにも発生する。

ボトリチス

灰色かび病ともいう。この病害は高温多湿のときに発生しやすい。茎葉や花や果実に灰色のかびを生じて生育を害し、ときに大被害となる。

保肥力(ほひりょく)

土がもっている、肥料成分(養分)を保持する能力のこと。土が有機質を多く含み、団粒構造になっていると、保肥力が強くなる。「肥料もちがよい」ともいう。

匍匐(ほふく)

植物の茎や枝が地面を這って伸びること。

ほふく性(ほふくせい)

茎や枝がつる状に伸び、地上をはうような草姿になる植物の性質をいう

母本(ぼほん)

品種・系統の栽培特性の改良や採種のために、特定の株を選び出す場合がある。この選ばれた株を母本という。

ポリエチレン

ー般にはポリと略称される。農業用にはビニールとともにトンネル栽培やハウス栽培の被覆材料としてたくさん使われている。ビニールに比べて紫外線をよく通し、汚れにくい利点があり値段も安いが、保温効果はビニールより幾分劣る。また、トンネルでは霜の害を受ける場合があるので注意を要する。

ポリ鉢(ポリばち)

ポリエチレン製で、主に育苗に用いられる容器。

ポリマルチング

ポリエチレンフィルムを使ったマルチングのことをいう。普通、透明・黒色・緑色のポリエチレンが使われるが、アブラムシ除けの効果をねらった銀色のものもある。

ボルドー液(ボルドーえき)

殺菌剤として使われる農薬の一種で、糸状菌や細菌性病害に対して幅広く予防的な効果を示す。有効成分は塩基性硫酸銅カルシウムで、生石灰と硫酸銅より調製される古典的な農薬である。アルカリ性であるため、他剤との混用には注意が必要である。有機栽培でも使用できる農薬。

ホルモン剤(ホルモンざい)

トマトの落化防止や果実の発育を助長する目的でトマトトーンを用いるが、このように植物の生育その他の生理機能を調節する効果を現す薬剤をホルモン剤という。

ホルモン処理(ホルモンしょり)

生長・開花・着果・果実の発育などに対し、必要に応じてこれらを促進したり、あるいは抑制する目的でホルモン剤を使用することをホルモン処理という。

本葉(ほんば)

子葉の後に展開する、その植物本来の葉。

本圃(ほんぽ)

苗床などのように、栽培のある期間だけでなく、その栽培を完了するまで引き続き使用する圃地を本圃といい、苗床から別の苗床に植え替えることを移植、苗床から本圃へ植え付けることを定植という。

ま行

まきばち

シードパンを参照。

マグネシウム欠乏(マグネシウムけつぼう)

ハクサイなどに起こりやすい。マグネシウムの吸収が欠乏すると、外葉の葉脈の間が緑色を失って淡黄色となり、ついに枯死する。砂地や火山灰土地帯で多発しやすい。トマトやナスにもよく発生し、苦土欠乏(くどけつぼう)ともいわれる。

マクワ質メロン(マクワしつメロン)

マクワとメロンは別の種類であるが、例えばプリンスメロンのように、マクワとメロンを両親とする一代雑種で、その性質が両方の中間を示す品種をマクワ質メロンという。

孫蔓(まごづる)

親蔓(おやづる)の項を参照。

真砂土(まさつち)

花崗岩が風化した赤土で、適度な粘りを持ち排水も良く庭土として使われる。花壇用土や鉢土としては有機物を混ぜて使う。酸性土。

待肥(まちごえ)

根付け肥(ねつけごえ)と同意語。

間土(まつち)

苗・タネ芋などを植えつけたり、伏せこんだりする時、根が直接肥料や熱源にふれないように緩衝役を果たす土をあらかじめ被せておく。これを間土という。

間引き(まびき)

苗床や直まきの畑で、密生している部分の苗を適当に取り去ったり、奇形や徒長したもの、育ち遅れたものを取り除く作業をいう。なお、以上の場合に限らず、花や果実、枝であっても、その一部を取り除くことを一般に間引くという。

マルチフィルム

マルチングに用いるためのポリエチレン製フィルム。反射率が高く地温を抑制できる白色、遮光性が高く雑草を抑える黒色、害虫忌避に効果的なシルバーなどさまざまな種類がある。

マルチング

ワラやモミガラ、またはポリエチレンフィルムなどを使って、株の周囲や畝の上を覆うことをいう。マルチング効果としては、地温調節・水分保持・雑草防止・土の膨軟保持・病害防除などがある。

み行

実生(みしょう)

タネから育った植物を実生という。接ぎ木など、栄養繁殖した植物に対しての用語である。

みじん

1mmかそれ以下の目のふるいを通り抜ける、ごく細かい土のこと。花木の鉢植えなどではこれを除かないと、排水不良を起こしやすくなる。

水揚げ(みずあげ)

切り花の切り口を水の中に入れて、切り口から吸水させることを水揚げという。

水切れ(みずぎれ)

水が「不足している」か「ない」状態のこと。

水苔(みずごけ)

湿原や山地の湿地に生える鮮苔類を乾燥したもの。保水力に富み、取り木、挿し木の乾燥防止、洋らんや観葉植物の植え込みに使われる。

水栽培(みずさいばい)

ヒヤシンスやクロッカスなど、土を用いずに水だけで花を咲かせる栽培方法。肥料を含んだ水で栽培する水耕栽培と混同されることがある。

水代(みずしろ)

鉢植えにしたとき、鉢の上部に水のたまるスペースをあけて植え付ける。このスペースを水代、あるいは「ウォータースペース」という。

ミスト繁殖(ミストはんしょく)

霧状の水のことをミストというが、これを葉面に散布して室内の湿度を高め、これによって挿し木を成功させる繁殖手段のこと。

密植(みっしょく)

一般的な基準より単位面積当たりの栽植本数を多くすること。

む行

ムカゴ

肉芽のこと。葉の付け根部分に生じる芽(腋芽)の一種で、養分を貯蔵して肥大し、母体から分離して次の世代の個体発生の起源となる。オニユリやヤマノイモなどに、その例が見られる。

無硫酸根肥料(むりゅうさんこんひりょう)

肥料の副成分として、硫酸根(りゅうさんこん)を持っていない肥料をいう。

め行

芽かき(めかき)

目的とする収穫物や栽培方法に適していない不要な芽を取り除くこと。徒長や不必要な着花を避け、草姿を整えるために行う。キク栽培などでは、わき芽だけを除くと頂芽に栄養分が集中し、大きくてよい花を咲かせることができる。

芽出しまき(めだしまき)

発芽を一斉にするため、発芽し始めたタネをまくことを芽出しまきという。つまり、タネを一昼夜ほどぬるま湯に浸して十分に吸水させ、これを所要の適温に保つと、よく揃って発芽を始めるので、これをまきつける。

芽接ぎ(めつぎ)

芽を台木に癒着させる接ぎ木法を芽接ぎという。果樹で多く用いられる。

目土(めつち)

シバ張りにともなう作業の一つで、シバを張った次の年には根茎が地表に伸び出すから、土をふりかけてローラーで押さえつけ、この根茎を埋める。これに用いる土を目土という。

目通り(めどおり)

立木の、目の高さの位置での幹の太さ。

芽もの(めもの)

発芽した若い小さい茎葉を目的とした栽培を芽もの栽培という。カイワレダイコン・芽ジソ・べニタデなどがこの一例である。

メリクロン

茎頂培養によって育成された苗のことで、実生苗と区別している。カーネーション・キク・イチゴなどのウイルスフリー株や、ランの無菌培養による増殖株がある。

も行

毛管水(もうかんすい)

土の粒子間の毛管引力によって、保持されている水をいう。

木質部(もくしつぶ)

植物の幹の内部のかたい部分。木化(植物の細胞壁がリグニンを蓄積してかたくなること)した細胞からなる。

木本性(もくほんせい)

木としての性質。

モダンローズ

20世紀に入ってから改良されたバラの品種。

元肥(もとごえ)

作物を栽培する前にあらかじめ田畑に施しておく肥料。種類・施用量は、作物や栽培型により異なる。

モリブデン

微量要素の一つ。必要量はごく少量であるものの、植物のチッソ代謝において重要な役割を担っており、生育には欠かせない成分である。

や行

八重鑑別(やえかんべつ)

八重咲きの品種(ストックなど)において、栽培時に一重株と八重株を見分け、八重株のみを選別する作業。

八重咲き(やえざき)

花弁の数が通常の数よりも多いもの。一種の奇形だが、観賞価値が高いため、花き園芸では八重咲きが一般的な品種もある。

葯(やく)

雄ずいの一部で、花粉を形成する袋状の器官。

薬害(やくがい)

農業上は、農薬を施用した結果、これが直接の原因となってもたらされる作物の生理障害を言う。幼苗時や軟弱栽培、高温期に症状が出やすい。一般的な薬害とは、医薬品の使用による医学的に有害な事象のうち社会問題となるまでに規模が拡大したもの。

薬剤散布(やくざいさんぷ)

病害や虫害の予防・殺菌・駆除のために農薬を散布することをいう。

葯培養(やくばいよう)

雄しべの先端にある葯(花粉の入った袋)を取り出し、寒天培地上で無菌的に培養し花粉から直接、植物(半数体)に育て上げる方法。遺伝的に固定した植物を得る技法として用いられる。

野生種(やせいしゅ)

栽培されている植物、つまり作物に対し、自然に自生している植物を野生種という。

やなぎ芽(やなぎめ)

キクの花芽分化やその発育には日長の影響が大きく、花芽の分化が始まってもその後の日長が適当でないと分化がうまく進まないため、正常な花芽ができない。このような不完全な芽をやなぎ芽という。

夜冷育苗(やれいいくびょう)

果菜類や花きの育苗方法で、日中は苗の生育適温(中・高温)、夜間は比較的低温で管理して、花芽分化や開花の促進、苗の徒長防止を図る。

ゆ行

誘引(ゆういん)

キュウリ・カボチャなど蔓性の野菜はもちろん、倒伏懸念のある作物は支柱を立ててひもなどでくくる。この作業を誘引という。

有機質肥料(ゆうきしつひりょう)

油粕・魚肥などのように、動植物質の肥料のこと。これに対して化学肥料を無機質肥料という。

有機態窒素(ゆうきたいちっそ)

複雑な窒素化合物は微生物の作用をうけて、アンモニア態または硝酸態になってから作物に吸収される。この窒素化合物を有機態窒素という。石灰窒素・尿素などがその例である。

有機農法(ゆうきのうほう)

安全で本物の農産物を作るため、農薬や化学肥料を使用しない土作りを重視した農法。最近有機農産物の表示基準が示された。ただ一般的には栽培に労力がかかり、反収も低いことから特定のグループや一定の条件のところに限られ、広範囲な普及は難しい。

有効水分(ゆうこうすいぶん)

土の中の水は、いろいろの形で存在しているが、作物に吸収利用されるのは主に毛管水だけで、これを有効水分という。

雄ずい(ゆうずい)

雄しべのこと。

雄性不稔(ゆうせいふねん)

葯や雄しべが退化し、花粉が機能的に不完全になることを雄性不稔という。この性質は一代雑種を採種する手段に用いられ、タマネギやニンジンの他、草花などの一代雑種でもこの性質が利用されている。

癒合(ゆごう)

植物では枝の切り口や接ぎ木した部分などの傷口が癒えてふさがること。動物では離れた皮膚、筋肉などが付くこと。

よ行

葉腋(ようえき)

葉が茎につく部分の上側で、普通ここに芽ができる。

養液栽培(ようえきさいばい)

水と養分を培養液の形で施して作物を栽培すること。培地の種類や培養液の供給方法によって分類され、れき耕・水耕・噴霧耕・ロックウール栽培などがある。

養液土耕(ようえきどこう)

土壌を培地として、作物が必要としている肥料成分、水分を必要な量のみ点滴潅水する方法をいう。「潅水同時施肥栽培」、「点滴養液栽培」などとも呼ばれる。

幼芽(ようが)

種子中の胚のうち、先端部分にある芽のこと。発芽後、この部分が生長し、茎となる。

葉茎菜類(ようけいさいるい)

キャベツやホウレンソウ、アスパラガスなど、葉や茎を食用とする野菜。

幼根(ようこん)

種子中の胚の一部分で、根の基となる部分。

葉序(ようじょ)

茎に対しての葉のつき方。各節に1つの葉がつく互生葉序、2つの葉がつく対生葉序、複数の葉がつく輪生葉序がある。

葉鞘(ようしょう)

単子葉植物において、葉の基部が茎を取り巻き鞘状になるものがあり、この部分を葉鞘と呼ぶ。根深ネギの白い部分がこれにあたる。

葉身(ようしん)

一般的に平らに広がった、葉の本体部分。

容水量(ようすいりょう)

100gの乾燥土が重力に逆らって保持できる水分量を容水量といい、土が水分を保持する力の強さを示すものである。

よう成りん肥(ようせいりんぴ)

弱アルカリ性の重い灰色の粉末で20%のりん酸を含む。このりん酸は水には溶けないが、くえん酸に溶ける。肥効は緩やかであるが高い。

溶脱作用(ようだつさよう)

水が土の成分を溶かして下層へ運ぶ作用をいう。

葉枕(ようちん)

葉柄の基部の膨れた部分。

用土(ようど)

セルトレイ・鉢や苗床で栽培するのに用いる土を用土という。肥料成分を適度に含み、病害虫がなく、保水性や排水性に優れたものをあらかじめ作っておく。

幼苗接種(ようびょうせっしゅ)

耐病性判定方法の一つで、特定の病原菌を用いて幼苗期に菌を接種し、抵抗性のテストを行うことをいう。限られたスペースでの大量の検定を目的として行う。

幼苗接ぎ木(ようびょうつぎき)

本葉2~2.5枚のような幼苗で接ぐ方法で、プラグ苗の普及とともに接ぎ木作業が容易なことと、活着率が高いことから近年急速に広まっている。

葉柄(ようへい)

葉身(葉の主要部分)を支えて、茎に付着する柄のように細くなった部分。

葉面散布(ようめんさんぷ)

ヨーゲンなどを用いて葉に散布し、葉面から養分を吸収させることをいう。

抑制栽培(よくせいさいばい)

適期栽培(てっきさいばい)の後に続き、夏の終わり頃から初冬にかけて栽培することを抑制栽培という。ハウスを利用する場合は収穫が冬にわたる。

ヨトウムシ

下葉の裏に産みつけられた卵からふ化した幼虫が葉を食害する。幼齢時は薬剤が効くが、後は効きにくく、ハクサイなどの結球内に食い込んだものは駆除できない。5~6月と9~10月に多発する。定植前にオルトラン粒剤やパダン粉剤などを施し駆除する。捕殺が確実で効果が高い。

呼び接ぎ(よびつぎ)

穂木と台木の茎の側面を刃物で半分程度切り込み、両方の切り面を密着させて固定し、接着面が活着してから、台木は活着上部を、穂木は活着下部を切除して、接ぎ木を完了する。この方法を呼び接ぎという。

予冷(よれい)

野菜や果物を輸送、低温貯蔵する前に収穫後すぐに所定の温度まで品温を下げることを予冷という。適切な低温管理は青果物の鮮度維持に非常に効果的な手段である。

四倍体(よんばいたい)

二倍体の植物をコルヒチンで処理すると、染色体数が倍加して四倍体となる。
通常、四倍体は植物体が大きく、葉の緑も濃くなることが多い。

ら行

ライシー

カリフラワーの異常花蕾の一種で、表面に粒状の花蕾のできることをいう(ボトニング)

落葉樹(らくようじゅ)

生活に不適な季節に葉を落として休眠する樹木。(ブナ、ナラ、カエデなど)

ラフィア

ラフィアやしの繊維(ヒモ)。やわらかく強靭で接ぎ木部分の支持用として主に使われる。

ランナー

イチゴやオリズルランは親株から水平に枝を伸ばし、先端などに子株を作る。この場合の枝をランナーあるいは匍匐枝(ほふくし)、匍匐茎(ほふくけい)と呼ぶ。

り行

リード

ラン科植物が翌年花芽をつけるために新しくできたバルブ。前年生の古いバルブをバックバルブという。

リーフィー

カリフラワー・ブロッコリーの異常花蕾の一種で、花蕾にさし葉の出る現象をいう(ボトニング)参照。

離春化現象(りしゅんかげんしょう)

低温を与えて春化処理した麦種子を高温にあわせると、春化効果が消える。このような現象を離春化、あるいは脱春化といい、デイバーナリゼーションともいう。
ダイコンの春どりトンネル栽培において、この現象を利用して夜間に受けた低温の影響を日中の高温管理で打ち消し、抽苔を回避する栽培が行われている。

立地条件(りっちじょうけん)

園芸経営は、その産地の土壌条件、消費地までの距離などに左右される。このように、その産地がどのような条件下におかれているかを考えるとき、これを立地条件という。

罹病性(りびょうせい)

植物が病気に対する抵抗性を持たず、容易に侵される性質をいう。耐病性(たいびょうせい)に対比して用いられる。

硫安(りゅうあん)

一般的な窒素肥料で、窒素を20%ほど含む。速効性のため、元肥よりも追肥に適する。

粒剤(りゅうざい)

粒状に加工した農薬で、散粒器や手でそのまま使用できる。除草剤や殺虫剤でも、土壌に施用する農薬は粒状の形をしたものが多く、使用が簡便である。

硫酸加里(りゅうさんかり)

普通50%の加里を含む加里肥料。速効性で作物によく吸収され、水で流失することが少ない。元肥にも追肥にも用いる。

流通機構(りゅうつうきこう)

商品が生産者や産地から消費者の手に入るためには、例えば中央市場を通る、仲買人の手を経るなど、いろいろな場合があるが、この間の仕組みを流通機構という。

両性花(りょうせいか)

完全花(かんぜんか)と同意語。

利用率(りようりつ)

施した肥料成分がどのくらい吸収利用されたかを示す数値を利用率、または吸収率(きゅうしゅうりつ)という。

緑黄色野菜(りょくおうしょくやさい)

ホウレンソウの緑色の葉や、ニンジン・カボチャの橙色や黄色の部分には、プロビタミンA(カロテン)が多く含まれる。これらの種類を一括して緑黄色野菜という。プロビタミンAは人間の体内でビタミンAにかわるので、緑黄色野菜はビタミンAの優れた供給源とされている。

緑肥(りょくひ)

デントコーンやソルゴーなどは、刈り取って有機質肥料として用いる。これを緑肥という。ハウスなどでは塩類の蓄積回避を兼ねて緑肥として作られている。これらはクリーニング作物とも呼ばれている。

リレー栽培

夏は気候の涼しい高冷地で育苗し、秋に平坦地に苗を運んで商品生産を行うなど、2ヵ所で引継いで行う栽培様式である。イチゴやシクラメン・ランの栽培などでよく行われる。

りん茎(りんけい)

アマリリス・ヒヤシンスなどの球根は、平たく板状になった茎に肥厚した葉がついてできている。このような球根をりん茎(りんけい)という。

輪作(りんさく)

いくつかの作物を一定の順序で繰り返し栽培することを輪作という。
これは圃地の生産力保持と営農成果向上が狙いであり、種類の選択・組合せ・作付順の他に圃場の使用順序をも合理的に計画しなければならない。

りん酸(りんさん)

りん酸は肥料三要素の一つで、植物の新組織を作るのに役立つといわれている(可溶性りん酸)。記号はPで表す。

鱗片(りんぺん)

鱗片葉。冬芽を覆うなど、かたく保護の役目を持つうろこ状の葉。

りん片繁殖(りんぺんはんしょく)

ユリの球根は、平たくなった茎に、肥厚した葉がついてできたいわゆるりん茎(りんけい)であるが、肥厚した葉をりん片(りんぺん)といい、これを一つずつ取り外して砂や鹿沼土(かぬまつち)に斜めに挿し入れて管理すると芽と根を出し、それぞれが新しいユリとなる。この方法をりん片繁殖という。

る行

れ行

冷床育苗(れいしょういくびょう)

踏み込みなど加温をしないで苗床で行う育苗をいう。

レイズドベッド

レンガや石などを積み上げて囲み、かさ上げした花壇のこと。作業がしやすくなり、水はけ、通風も改善される。

冷蔵処理(れいぞうしょり)

ユリなどの促成栽培には、球根を一定期間冷蔵して開花を早めることが行われる。これを冷蔵処理という。

冷凍野菜(れいとうやさい)

野菜を短時間湯通ししたあと、-25℃くらいの低温で急速に凍結させたものをいう。加工野菜のうちでは最も生に近い風味を持ち、ビタミンの含量も多く、長く貯蔵することができ、調理も簡単であり、有望な加工手段として世界的に大きく伸びている。

冷涼地(れいりょうち)

気候区分において「寒地」「寒冷地」に当たる地域。年平均気温の目安は3~12℃である。

冷涼地栽培(れいりょうちさいばい)

標高500~1,300mの夏季冷涼な地帯で行われる栽培をいい、6月上旬~11月中旬に出荷される。長野県・群馬県がこの中心をなしている。

裂果(れっか)

果実に割れ目ができることを裂果という。野菜ではトマトの場合に問題となっていて、果実のへたの周辺に同心円状や放射状の割れ目が入り商品価値を著しく落とす。品種による多少の差もあるが、吸水状態の急激な変化がその原因になりやすい。

裂根(れっこん)

ダイコン・カブ・ニンジンなどで問題になる。根部の周皮の生育と、内部組織の肥大が不均衡な時に発生する。在圃期間が長く収穫が遅れた場合に多発し、土壌水分の変化が大きく起因する。

連結ポット(れんけつぽっと)

主に育苗用のポット(鉢)が連結している育苗容器の総称。広い意味でセル成型苗育苗のセルトレイやペーパーポットなどが含まれる。

連作(れんさく)

一つの作物を同じ圃場に繰り返し作付けすることを連作という。種類によって連作が可能なもの、不可能なもの、大きな支障はないものなどいろいろあるが、一般には新しい圃場の方が上作が得られるから、連作可能の種類であっても用地は変えた方がよい。

連作障害(れんさくしょうがい)

忌地(いやち)と同意語。

連棟ハウス(れんとうハウス)

両屋根式の農業用ビニルハウスを連結したものをいう。室内が広いので、作業の機械化や自動化が可能になる利点がある。建設経費は単棟式に比べて割安となる反面、雪による倒壊の危険性は高い。

ろ行

老朽化水田(ろうきゅうかすいでん)

これは土が老朽化した水田のことで、土から鉄分が溶け出してしまった結果であると考えられている。秋おち現象など、稲の収量に影響する。

ローンレーキ

芝生の手入れに使う農具の一つ。短い鉄の歯をくし形に並べて柄をつけたもの。草かきなどに用いる。土の表面をくだいたりならす用途のほかに、落ち葉や刈り草の収集など熊手の役割も果たす。

露地栽培(ろじさいばい)

ビニールハウスなどを用いる施設栽培に対し、屋外の畑で行う栽培のこと。

露地早熟栽培(ろじそうじゅくさいばい)

野菜類の栽培で、春先の低温期に加温あるいは保温など人為的な保護のもとで育成した苗を、晩霜の恐れがなくなってから露地に定植する栽培。早熟栽培では、通常の露地栽培に比べて早めに出荷でき、促成栽培や半促成栽培のものに比べて遅めに出荷される。

露地床育苗(ろじどこいくびょう)

露地(ろじ)、つまりまったく被覆しない畑の畝を苗床として育苗する方法で、単に露地育苗ともいう。

ロゼット

節間が極端に短く詰まった茎に葉が水平に放射状に出ており、根から直接、多数の葉がむらがって付いている外観を呈する場合、このようなものをロゼットという。

ロックウール栽培

養液栽培の一つで、土壌のかわりに、培地に鉱物を綿状に加工したロックウールを用い、養液を流して栽培する。近年開発された技術である。

わ行

YR(ワイアール)

Yellows(萎黄病)Resistance(抵抗性)の頭文字YRで、萎黄病に対し抵抗性のある品種。

矮化剤(わいかざい)

生長調節剤の一種。植物の伸長を抑え矮性の草姿に仕上がるので、鉢物や草花などに使用される。ビーナインやスリートーンなどがある。

矮性(わいせい)

主に園芸分野で草丈が著しく低い性質をさす。遺伝的に矮性を示す矮性品種・矮性種もあるが、矮化剤処理や、リンゴのように接ぎ木(矮性台木を利用)によって樹高を低くしている場合もある。

若苗定植(わかなえていしょく)

果莱類では適期より早く植えると草勢が強くなりすぎて過繁茂になりやすく、その後の生育に支障をきたす。ただ、ハウス抑制栽培では高温期の活着促進のため、比較的若い状態で定植する。葉菜類においては、活着促進を図るために、むしろ若苗定植が望ましい。

脇芽(わきめ)

側芽ともいい、植物体の葉の基部から生長する芽(生長点)のこと。

ワシントン条約(ワシントンじょうやく)

絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約。

早生(わせ)

作物の熟期のうち、通常よりも早く成熟するものをいう。

ワッカ症(ワッカしょう)

ダイコン表皮に不整形の黒円を発症するものを俗にワッカ症と呼んでいる。特に12~2月頃の低温期に収穫する作型で被害が多い。
白さび病によるものとされており、品種により発症の差がみられる。

割り接ぎ(わりつぎ)

割り接ぎ(わりつぎ)は、果樹や庭木などを増やすための結び木の類で、古くから用いられている方法のひとつです。木の枝を挿し込み、縛り付けて固定します。を付けることができます。

割りつなぎは、枝や幹を切り落とすことで、木の成長に大きな影響を与えるため、技術が必要なつなぎ木の方法の一つです。なかったり、木が枯れたりすることもあります。組み合わせて、効率的に育てることができる利点があります。

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