この記事を読んでほしい人
このブログでは、ブルーベリー栽培を始めて4年目になるプロが、ブルーベリー栽培の除草作業についてまとめている記事です。
これからブルーベリーで起業を考えている人に向けて発信しています。
ブルーベリーの業界は現在、セミナーも開催されるほど栽培技術が発展してきて、書籍や新聞、メディアに取り上げられるほど有名な業界になりました。
しかし、その分見栄えや良い印象、見てくれだけを公開して、実際の中身やきれいでない部分、大変な部分を隠している発信が非常に多く目立ちます。
この記事では、そういった裏の事情、実際のリアルを包み隠さず発信していきます。
~除草作業の真実~ 除草作業が一番時間と手間がかかる
農起業の本を読んで 除草作業編
とある本を読んで、
「防草シートを敷いて鉢植えにすれば、草刈り作業から解放され、年間200時間も捻出できる」
と書いてありますが、それを真に受けているそこのあなた!
大間違いです。
実際は逆です。
その本で除草作業に言及しているのは、この部分のみでたったの345文字です。
このブログに書いている除草作業のことだけで5500文字あるのに対して、その本ではたったの345文字です。
本当に一番手間がかかり、永続的に必要な大変な作業なのにここに言及していないというのはおかしな話です。
きっとここに言及して、実は作業時間がもっと大幅にあることがわかってしまうと説得力のある書籍として成り立たず、本末転倒で売れるものも売れなくなってしまうからあえてそこには触れていないのでしょう。
設備が完成した後の農園の除草作業について
どんな防草手段をとろうとも、見えない草の種は風で飛んできて鉢の中、防草シート、農園まわりに落ちて成長します。
その種や生えてきた芽を放置すると1週間も経てば、たちまち大きくなり、すぐに種をもちその種を飛ばします。
特に梅雨時期や9月の雨が降り出した時期が一番成長率が良いです。
鉢の中の雑草はマルチングで育ちにくくさせたり、発芽させないようにできる ものの、それでも植物の生命力はすごいです、想像もしないようなところから生えてきます。鉢の隅や防草シートの上ですら条件が整えば所かまわず生えてきます。
特に防草シートが施されていない農園の廻り縁。
また、農園の廻り縁など見えないところから生えて成長しきった雑草は非常に抜きにくくなるので最低でも2週間に一度は農園全体の除草作業は実施する必要があります。
設備が完成する前の除草作業について
私の場合、田んぼではなく、何年間も耕作していない畑でした。
ただ、草は生えてなく、常に除草管理されていて赤土が見える状態でした。
そこの畑を整地して単管や防草シート、鉢などの設備をしていったので1年間は全く草が生えない状態でした。
長年にわたってキレイに除草管理されている畑だと、草の種が落ちていない、または耕耘によって種が畑の中に入っている、のですぐには雑草は生えてこないというメリット、特徴があります。
一番手間のかかる鉢の中の草むしり
除草作業をしていて一番大変なのが、鉢の中の除草作業です。
これをさぼると鉢の中は雑草だらけで草ぼうぼうになります。
非常にみっともないです。
特に雑草と大まかに言われている草は、非常に繁殖力が強いです。
雑草を抜いてそこに放置したら翌日には種を飛ばしていることでしょう。
春の除草作業
3月頃から、昨年こぼれて居た種から発芽が始まります。
春の除草作業を徹底的に実行しないと夏の除草作業が莫大な作業量になってしまいます。
目にはほとんど見えませんが、雑草の種は秋冬の風で農園内にめちゃくちゃ飛んできます。
また、スギナなどの地下茎を生やす雑草は特に注意して除去しましょう。
ほおっておくと大変なことになります。除草剤も効きにくい種類です。
それと土を掘って地下茎を掘り起こす必要もあります。
作業間隔としては1週間に一度農園内をぐるっと除草作業していく程度です。
地下茎を伸ばす雑草
- スギナ(ツクシ)
- ドクダミ
- カタバミ
- クローバー(シロツメクサ)
- ヤブガラシ
- セイタカアワダチソウ
- チガヤ
- ススキ
- ガガイモ
- タンポポ
- ヨモギ
夏の除草作業
イネ科が特に成長性、拡散性高くすぐに大きく、種類によっては横にも成長するので除草作業が大変です。
夏の除草作業は毎日2時間は鉢の中、農園内外の除草作業をする必要があります。
特に大変なのが、成長してしまった雑草の除草作業です。
鉢の中の培養土も持ち上げてしまうので、その培養土を鉢の外にこぼさないように丁寧な除去が必要になってきます。
農園内は手作業での除草作業で、抜ける雑草は抜き、抜けない雑草は鎌で切り取り枯れるのを待ちます。
農園外は、除草剤をかけても問題のないところだけ除草剤を使い、ブルーベリーの近くは散布しないようにします。
夏の除草作業が一番大変です。
除草作業をしない、ということは絶対にありえないことなので覚悟して農園を築くようにしましょう。
秋の除草作業
秋もまだまだ雑草は成長します。
9月頃は天候もよく夏みたいに暑さで雑草が枯れることもないので、注意が必要です。
特に雨が降った後の快晴の時が一番成長します。
11月頃になると寒さも増してくるので雑草の成長は鈍化します。
この頃になるとかなり除草作業の手間が減ります。
1週間に一度の除草作業で十分でしょう。
冬の除草作業
成長はほとんどしませんが、生えてくる雑草はあります。
この時期に徹底して種をこぼさないように除草作業をしておけば、夏は雑草がはえにくい農園になります。
除草作業は2週間に一度で済むようになります。
防草シートが逆に手間がかかる要因で、邪魔になる
草を防ぐはずの防草シート。
実はこれ、逆に防草シートや鉢があるせいで、除草作業が捗りません。
もし草が防草シートや防草シートの脇から生えてきたらすべて手作業です。機械を入れるわけにはいかないし、入れる隙間もありません。
除草作業には栽培よりも、内作業よりも何よりも時間がかかります。
露地栽培をトラクターのハンマーモアでする除草作業が一番早いです。
ハンマーナイフモアの種類
手押しハンマーナイフモア
トラクター ハンマーナイフモア
実際に除草作業にかかってくる費用と時間
除草剤費用、使用量
農園の周りのみとなるので、
夏季は月に1回、
冬季は2か月に一回
約年間6回前後の散布です。
使用量 : 2リッター~5リッター
費用 : 2000円~6000円
除草作業時間
夏季5月~10月
毎日2時間
約150日間 合計約300時間
冬季11月~4月
一週間に一度集中的に6時間
約200日間 合計約170時間
総計470時間ほど除草作業に従事しています。
時給に換算してみると、、、
時給1000円 : 年間470000円
時給2000円 : 年間940000円
知らないと誰もが後悔をする。除草作業をやり続けてみないとわからない本当に必要なもの
気力。ただそれだけです。
ただそれだけですが、毎日やり続けてみないとわからないのがこの気力を保つということです。
毎日の継続は大切です。
しかし、毎日除草作業をしていると気がおかしくなってきます。
なんのために農園をしているのだろうか、と。
年間作業時間のほとんどが除草作業となっています。
大変なのは承知!それでもブルーベリー農園を開園したい人へのアドバイス
必要なことを経験則からお伝えします。
私は地植え、防草シートなし、防風ネットなし、単管設備なし、潅水設備あり、マルチングが一番おすすめかなと思います。
地植え
除草作業
地植えであればトラクターやハンマーナイフモアで除草作業ができ、夏の管理も1週間に1度トラクターを転がすだけです。
ただ、トラクターが入る分ブルーベリーの間口は広く最低でも3mごとにとる必要性が出てきます。
pH値・ピートモス・コスト
・pH値は絶対に合わせる必要があります。
ピートモスを主体に土に混ぜるのではなく、60リッターほど穴を掘ってピートモスを入れ、地植えしましょう。
ピートモスは多ければ多いほどいいです。
それと、できるだけ目の粗い繊維の長いピートモスがよいです。細かいと水切れしたときに水をはじく界面性がより強くなってしまいます。
※もし、土に混ぜ込むのであればpHは4.5~6.0の間に入るように調整しましょう。できるだけ低い方がいいです。
これができなく、pHが高いと「クロロシス」の原因になります。
【 ピートモスのコスト 】
1袋(キューブ)320リッター : 約5000円(送料込み)
1本あたり約60リッターのピートモスを使うと仮定する
1000本のブルーベリーを植えると仮定する
計60000リッターのピートモスが必要
60000リッター ÷ 320リッター = 187.5袋 × 5000円
= 937,500円
肥料や塩分の量や土壌への浸透度合いを知る指標となるEC値
・養液栽培を行っている人たちが大好きなEC値はそんなに気にしなくていいです。
気にする人は測定器を買って測ってください。
ブルーベリーのEC値は0.3がベストです。
肥料はピートモスを入れるときに元肥としてpH変化の少ない肥料で大丈夫です。
私の農園は年に肥料を3回まき、養液栽培はなし、水だけで育てています。
耕耘作業・病害虫・農薬散布
・除草作業、耕耘をしたばかりで病害虫がきになるようであれば、農薬散布も検討することをおすすめします。
完全無農薬にこだわりたいのであれば、1年2年は耕耘し続けてから地植えする必要があります。
根腐れを避けたい場合、避けられる土地、根腐れしやすい土地
・水分量は水はけがよく、水がたまらない土地であれば根腐れはまずしません。
田んぼに地植えはおすすめしません。もともと水が溜まりやすいところなので根腐れのリスクが非常に高いです。
トラクターの鋤でブルーベリーの植えるところを筋掘りすれば水はけは一旦改善されます。あとは土質次第です。
防草シート
なくていいです。
あると管理が手間になり、機械を入れられないので除草作業コストが増えます。
それと風で舞い、飛んで行ってしまって人や建物に損害を与えてしまうリスクが非常に増します。
2年~10年ごとに総入れ替えの手間も増えます。
大体の農園がしっかり管理できていなく、カスがまったり、穴から草が生えています。
見映えがいいのは最初だけ。
以上のことから
最初からなく、機械で除草作業した方がコストがかからない
それと作業の簡略化
防風ネット
ほとんど防風の効果はないです。
吹くときは吹きます。
風はびゅんびゅん入ってきます。
一番使用率の高い4mmでさえもほぼ効果ないです。
ただ、境界線や人や動物の侵入は防げます。
この使用目的の方が強いと思います。
風で飛んでいくリスクは多少あります。
しっかり単管パイプに固定できればリスクは小さいです。
単管パイプ
防風ネット、防鳥ねっとを張るために必要なパイプです。
張らないのであれば使いません。
張るのであれば農園を囲ういるパイプの高さは2mで、張っている防鳥ネットの真ん中に地上3mのパイプでサーカス風が一番コストが低く、かつ風の耐久力もあります。
他には看板の設置や旗、幟立てに重宝します。
潅水設備
ブルーベリーは水が大好きです。
特に6月~8月の猛暑日には絶対に潅水してください。
トラクターを入れる必要性があればすぐに収納できる潅水設備、またはそのままでもよい配置が良いです。
マルチング
これは鉢で使うかと思いきや地植えの露地栽培でも使います。
先輩の農園では枯葉をあえて片付けしないでマルチングとして使って防草していました。
マルチングの方法
枯葉
冬に落ちた枯葉をそのままにしておきます。
風で飛んでしまうので安定しない。
コストがタダ。
芝生
管理ができれば最高に見た目がきれいです。
理想郷と言っても過言ではないです。
冬用と夏用の芝生があるので混ぜると1年中青々とした地面になります。
芝生専用の除草作業管理機が必要。
畑に戻すのが大変。
イワダレソウ、ダイカンドラ、クローバー
それぞれ種や芽が販売されています。
コストは安いですが、繁殖力が強いので近隣の畑まで蔓延って、迷惑をかけてしまう可能性があります。
徹底した管理能力が必要です。
最後に
除草作業のことだけで約5500文字も書けるのは私だけではないでしょうか(自画自賛)笑
書籍にすると約10ページ前後にもなります。
本当はもっと書きたいのですが、あまりにも文字が多くなりすぎてしまうと読む人が途中で飽きてしまうことから簡略化されています。
と、いうことで除草のことならなんでも聞いてください。
お疲れさまでした5500文字、、、。